靴の調整について
昨日、モリコロに行って、スケート靴の調整をしてもらった。
風越カップ前からエッジの摩耗が気になっていたので、大会が終わって最初の自主練習日であった7月9日に、モリコロで初めてエッジの研磨をしてもらった。その時に、担当して下さったスタッフの方から言われたことが、次の2点である。
- ブレードを止めるビスが斜めに入っているため、ブレード自体がアウト側にズレてしまっている。
- アウトとインのエッジのレベル出しの必要がある。
2.の「レベル出し」とは、初めて耳にした言葉だったのだが、イン側とアウト側のエッジの高さを揃えることと説明して下さった。はっきり言って、当たり前のことと思うのだが、私の靴のエッジはインとアウトとの高さが揃っていなかったそうである。もちろん、ズレは微妙だったのだろうが、このために乗り難いエッジがあったのではないかと、モリコロの方から言われた。
そう言われて、一番の心当たりは、バックインへの乗り難さである。マスターズの動画での振り返りで再三記したが、私はバックインで十分に滑ることができない。それが、プログラムの印象を損なっていると考えている。ただ、滑れない理由は技術不足だと思っており、靴に理由を求めるつもりはなかった。それでも、インーアウトで高さが揃ってなかったと聞けば、「だから滑れなかったのか...」と思わずにおれない。
そう書くと、じゃぁ、レベルを出したら滑れるようになったのか? と疑問に思う方もいらっしゃると思うので、先に結論を記すが....信じられないくらいに滑るようになった。インだけでなく、アウトエッジでの乗りも、良い意味でシヴィアになり、それこそエッジを利かせた滑りができるようになったと思う。ある意味、”目からウロコ”とは、こういうことを言うのではないかと感じたくらいである。
もちろん、今までのパフォーマンスの悪さの全てを靴のせいにしても仕方ない。
やはり、自分の練習不足、経験不足、認識の甘さ、そういう反省は、率直にせねばならない。でなければ、今後の成長は期待できないだろう。ただ、靴の調整でパフォーマンスの向上が図れるのなら、それもありがたいことである。今までの苦労や努力を無駄とは思わないが、今回のことで更なる改善ができるのなら、先行きに希望を持つことができる。
話が前後するが、1.に記したブレードのズレは、更に顕著な問題であったようだ。
写真は、ブレードを中央の位置に直してもらってからの撮影である。黒く色のついた部分が、それまでブレードがあたっていた位置であるから、かなりアウト側に寄っていたようである。この靴を買った時には、ブレードの位置は中央で仮止めしていた。そこでバランスがとれたので、更なる調整は必要ないと、ショップの方から言われたし、私もそう思っていた。ところが、1年半使っている間に、こんなにズレていたのである。
ネジの緩みというのは、考えにくい。私は、練習の後は必ずネジの緩みのチェックをしており、締め直しをしていた。だから、緩みでブレードがズレてしまうことはないと思う。
むしろ、締め直しのためにブレードが少しずつズレていったのではないかと説明を受けた。もともと、ブレードを固定するネジが斜めに入っていたので、そのネジを締めるにつれてブレードが移動していたのでは、ということだ。その斜めに入っていたネジは、私も気がついていた。でも、スケートショップの従業員がした仕事だから、これで良いのだろうと思っていた。にもかかわらず(真相はわからないが)、ブレードがズレないように締め直しをしたから逆にズレていたとしたら、”皮肉”と言いたくなる。世の中では、ありがちなことかもしれないが...。
靴の後ろ側(フォアエッジ側)は、もっとはっきりしている。
やはり、ブレードをセンターにつけ直していただいた後の写真だが、黒くなっている部分の大きさから考えると、今までは、かなりアウト側にブレードが寄っていたようである。そうすると、インに倒れやすく、アウトには乗り難い傾向で滑っていたのではないかと思う。私がスピンがとても下手な理由のひとつは、ここにあったのかもしれない。回転中にバランスをとろうとしても、どうしてもイン側に倒れてしまうことに難儀していたのだから。
しかも、この靴を購入した直後、スタンドスピンの軸がとても安定し、回転速度が増していたのを覚えている。その後、交通事故の後遺症の治療のためにスピン練習を1年間ほどしていなかったのだが、再開後はほとんどできなくなってしまった。練習をしていなかったせいだと思っていたが、もしかしたら、その1年の間(スケーティングやジャンプの練習はしていた)に、ブレードがズレていってしまい、それで、スピンの乗り位置がわからなくなってしまったのではないかと考えるのだ。
先ほども記したが、パフォーマンスの悪さの全てが、靴にあるとは思わない。でも、靴の調整で少しでも光明が見えるのなら助かる、この気持ちは否定しがたいものがある。とはいっても、今までの靴が悪かったわけではない。今まで頑張ってこられたのだから。ただ、更に頑張るために...靴の改善のきっかけが与えられたのではないだろうか?
だから、結局は、自分自身の問題であろう。靴が良ければ嬉しいが、それが絶対的な条件ではない。その靴を使って、自分がどこまで頑張れるか、そのことの方が大事なのだと考えるのである。
この日は、更に、左爪先外側の幅だしをしてもらった。滑走中は常にあたっていたので、左足の小指に立派な魚の目が出来ている。時々、市販薬で治療はしていたのだが、なかなか核まで削り出すことができず、ちょっとしたら元に戻っていた。そうでなくても、左足爪先はきゅうくつだったので、思い切って、幅だしをお願いしたのである。
手書きの円をいくつか描いたところが、爪先とあたっていた部分である。そこを拡げてもらった。これにより、爪先を十分に伸ばすことができるようになり、今まで以上に、足底を使うことができるようになると思う。
最後に、研磨のグレードにも、今後は拘ってみたいと思う。今までのシーズンリンクでの研磨は、いわゆる機械研磨であった。スケートのブレード用の研磨機を使う方法のようだが、フィギュアだけでなく、ホッケーのエッジもそれで研ぐようである。この研磨法では、ブレードの前後に対して垂直に、細かい傷がつくそうだ。それが滑りにくさにつながると、教えてもらった。でも、機械研磨はリーズナブル(1回1000円)だし、今までと同じ研磨法なので、今回もそれでお願いしてしまった。それでも、モリコロでの機械研磨は今までと違い、研磨すぐの練習でも全然違和感がなかった。スタッフの話だと、機械研磨でも細かく研磨する(砥石が違うのだろうか?)ので、一般のそれよりかは研磨直後の違和感が少ないはずなのだそうだ。
技術的な話にはついていけないのだが、それだけブレードやエッジのことを大事に思ってくれるスタッフにお願いするのなら、更にグレードの高い、フィギュア専用の研磨(1500円)あるいは、鏡面仕上げ(機械研磨の後に工程を加えるらしい2000円)だと、どんな風に変わるのか、少し興味が出てきた。研磨によって、スケーティングの伸びが変わるらしいので、それによってもパフォーマンスの印象は違うのかもしれない。
しかし、心配もある。靴の調整によって、あるいは滑走スピードは上がるかもしれない。エッジの乗りも良くなるかもしれない。でも、そうなれば、コントロールには更なる技術が求められるであろうから、スピードが上がったぶんジャンプの踏切に苦労するかもしれないし、ターン後の滑走に神経を遣わないといけなくなるかもしれない。そういうところは、更なる頑張りが求められるのであろう。
最近のコメント