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2010年5月 4日 (火)

三銃士と共に

「三銃士」と聞いて、”仮面の男”と応える人は、よほどのフィギュア通だと思う。もちろん、長野のキャンデロロの方が有名なのかもしれないが。

このブログにコメントを下さる、すけーとおばさん さんも記して下さったことがあるが、名古屋のスポーツランド邦和で練習をしている男性3人が、今年のマスターズを目指している。ただ、非常に残念なのだが、一番若い方が仕事の都合で当日に出場できなくなってしまった。先日の、私のクラブでの貸し切りにビジター参加して下さったのだが、次の機会を目指して頑張るそうだ。

彼のそういう姿を思うと、出場できることを感謝せねばと、ひしひしと感じる。

人間だから欲もあり、見栄もある。虚栄心から称賛を求める気持ちが自分にあることを、私は否定できない。もちろん、純粋で真摯な気持ちからフィギュアに向かっている自分もいるのだが、格好良いところを見せたい、という思いはある。なので、無様な演技では惨めになる。それでも、目標を抱いて頑張れることは幸せであり、それ自体に価値があることを忘れてはならないのだろう。5月15日が無理ならば、次の目標を見つめながら練習を続ける姿から、私は学ばないといけないのだと考えている。

その彼を含めて、頑張っている三人組を見ていて思い出したのが、「三銃士」だった。

今回は出場できない若手の彼がダルタニャン、だから物語はまだ始まったばかり。ガスコーニャから出てきたばかりで、銃士隊に加わっていない時期なのだろう。アトスは...最年長で取りまとめ役の彼、アラミスは。。。ハウスも踊れる彼、ちなみに、リシュリュー卿は、私達が居候のようにお世話になっているクラブで子供達の指導をされている方(私と同組で出場)と...。私は、快楽主義の考え方や体型からも、ポルトスが適任かと。太陽のように燦然と輝くルイ14世は、皆の振付をして下さった先生がいいな...と、願っている。

最近NHKでも、三谷幸喜による人形劇も放映されているようだが、私は那須田稔氏による本で初めて読んだ。有名な、"One for All,All for One"を「みんなは一緒」と訳しているので、この言葉の出典が「三銃士」であることを知るのに何十年もかかった。知るきっかけになったのが、”仮面の男”(映画の)だったのだが(笑)。

余談になるが、上記の言葉について、平尾誠二氏の新訳を取り上げているサイトを見つけたが、どうしようもない駄文だと思う。”All for One”を”All for Won”に言い換える根拠はどこにあるのだろうか?ワンという語感が似ているからというのでは、こじつけというのにも苦しい。私は、勝利至上主義の肯定のための詭弁でしかないと理解した。

もしも、”All for One”を「みんなは一人のために」と訳すのに疑問があるとするのなら、”One”という言葉の理解に焦点を当てた方が良いと思う。「一人」だけでなく、「一つ」という意味を込めて、「皆が一つとなるように」という訳し方もできるのではないだろうか?いかにも日本人的発想との批判も聞こえそうだが...それは、甘受します。

私自身は、「全員が一人のために」という発想は斬新だし、「99匹の羊を残して1匹の羊を探しに行く」というイエスの言葉にも通じる、西洋的ヒューマニズムの雰囲気がとても好きだ。私が提案する「皆が一つとなるように」という訳し方も、個々を大切にする全体というニュアンスを壊さないと思うし、全体(all)が目指す高みを示すという意味では優れた点もあるのではないかと思う。なんにしても、”One”という英語の含蓄の深さの勝利であり、それ以外の何ものでもないが...。もっとも、原文のフランス語も同様なのかは、全くわかりません。

ただ、社会人として思うのだが、企業や事業体は個々の集合体(all)であるだけでなく、それ自体が一つ(one)の何かでなければならないと思う。それが、ブランドと呼ばれるものなのかもしれない。フィギュアスケートに話をもって行けば、ひとつひとつのエレメンツとひとつのプログラムとの関係にも通じるのかもしれない。

一つ(one)ひとつのエレメンツは、その集合体(all)としてのプログラムを構成する。でも、エレメンツの集合体=プログラムと、すぐには言い切れない。単なる集まりを脱して、プログラムという一つのもの(one)に昇華することが大事なのではないかと思うのだ。そういうoneを目指していると、当然のように、一つひとつのエレメンツも価値が高まっていくのかもしれない。練習で跳ぶジャンプよりも、プログラムで跳ぶジャンプの方が難しい。技術的に難しいだけでなく、ジャンプ自体に意味が込められた分、あだやおそろかにできない難しさが生まれてくるのだ。プログラムの中で、ジャンプそれ自体が意味を持ち始める。それが、”All for one”というものではないだろうか?この場合の”one”は、であるのと同時に全体を包含するものでもある。

哲学的ではあるが、oneをwonと言い換える解釈よりも潔いと思うのだが...。

その意味で、バンクーバーの女子シングルの戦いは見応えがあったと私は思う。

浅田真央の凄さは、二回の3A成功だけでなかったと思う。「鐘」というプログラムに挑み続け、戦い続けたことでもあった。比較せずにはおれないのだが、アルベールビルの伊藤みどりはどうなのだろうか?彼女の前半での3Aの失敗はなぜ、悔やまれないのか?後半で3Aを成功させたからである。「ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番」は語られることがない。プログラムではなく、3Aというたった一つのエレメンツだけが、価値を持っているからであろう。そこが、「鐘」と戦い続けた真央選手との違いだと考えている。

「鐘」というプログラムにこそ価値があるから、3Tの失敗が悔まれるのである。あのプログラムの完成形を見たい!という声が、どれほど高かっただろうか?その声を聞くたびに、日本のフィギュアスケートファンの意識の高さを感じずにはおれない。皆が、エレメンツの集合体を超えた一つのプログラム(ONE)を見たかったのではないだろうか?

ヨナのプログラムに至っては、いわんやである。あのプログラムのどこが良い?と言われるのは、褒め言葉以外の何物でもないかもしれない。ウリとなるエレメンツがないのだから...(笑)。確かに彼女のトゥジャンプのコンビネーションは凄いし、鮮やかだ。でも、冒頭に持ってくるお約束には、私は飽きている。水戸黄門やウルトラマンのように、フィニッシュなら拍手喝采なのだが...。それでも、あの演技は真央選手を超えた次元であることの理由は、幾つでも見つけることができる。

ジャンプのランド後の工夫のバリエーションについては、まりりんさんのブログでコメントしたが、なにより凄いのは、上半身と脚とで別の演技をしていることである。ストレートラインで顕著なのだが、彼女は上半身でカウンターメロディーを、ステップワークで主旋律を奏でているように、私は感じる。あれは、尋常ではない。

バレエの場合は、脚でリズムやテンポ、腕で旋律を表現するように指導されることがある。でも、フィギュアスケートでは、「滑り」で旋律を奏でられるのだ。だから、上半身では別の表現も可能になる(のかもしれない...極めて困難な課題ではあるが...)。この、常識では考えられない常識(滑りで曲を表現するというのは、よく考えれば、フィギュアでは当然のことである)は、ある種のコロンブスの卵であり、ヨナはその先駆者なのかもしれない。もっとも...私が先例を知らないだけかもしれないが。

なんにしても、身体全てを使ってひとつの世界を創り上げた真央選手に対して、身体の上下で違う雰囲気を表現してのけたヨナが優った、そういう戦いだったのだろう。

あと、プログラムの勝利という点では、レピストとポイキオの健闘も触れねばならない。両選手とも、欧州選手権よりも格段に優れた演技だったと思う。特にレピストは、なにか可能性を感じた。それがどんな可能性なのかは、考えている暇がないので、ヒマが出来たら見直してみたい。ただ、「欧州の復権」を賭けた演技だったように思う。タンゴにしても、ジャズにしても、アメリカ原産だが、欧州で育った文化もあるし...。

「三銃士」から、思いっきり話が逸れてしまった。

とにかく、ポルトスにはそれなりの役回りがあるし、キャラ的にも魅力があると思う。でも、”仮面の男”のように引退したわけではないのだから、技術的にも光ったところをみせねばならないだろう。出場できない方々のためにも、感謝して頑張る所存である。

それが、マスターズなのだろう。一人だけではなく、皆と共に、何かを目指して頑張っていきたい。

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コメント

5月に入っての更新!楽しみにしていました。
ご結婚についても 順調にお話も進んでいるようで
なによりです。私もとてもうれしいです!!!
ま、男性は結構 結婚しても続けられますから
(うちの旦那もそうでした)ご心配なく。
初めが肝心ですから こういった趣味を持ってますよ
と理解していただいているんだから 大丈夫ですよ。


今日は旦那からお古のipodを渡され
使い方の講習をされました。
あはは・・・私は動かし方も分からないんですよね。
リンクで年配の方がipodを使っているのをみて
いいな~~~と思っていたのです。
しかし・・・字が小さくて見えない~~~

ところで邦和にはいつ参上していただけるのですか?
また、楽しみに待っています。
(それまでに私もトウループが一回回れていますように・・・)

すけーとおばさん さん、こんにちは。お返事が遅くなって、本当にすみませんでした。

その分、リアルでお会いできましたので...よしにして下さい
m(__)m。

>>ま、男性は結構 結婚しても続けられますから
(うちの旦那もそうでした)ご心配なく。

ご主人の場合は、合気道でしょうか?
そりゃ、続けてもらった方が、家内安全の面でも安心なのでは...。

本当は、結婚後はスケートへのウェートをかなり減らすつもりだったのですが、今回の結果から、意地でも続けるつもりになりました。万が一、藤森先生達が、このブログの読者で、そういう意図で採点をsageたのでしたら、その慧眼にひれ伏しますが...まず、ないでしょう。

とにかく、意地でも、頑張ります。

ipodは魅力ですよね。リンクでも、使っている人が結構いて、「格好良いなぁ」と思ってます。元々アップル製品には憧れを持っていましたので、ipad(最近発売されたヤツ)はほしいなぁと思ってます。

あれをリンクサイドに持ち込んで、ビデオ撮影したのを取り込んで、あ~でもない、こ~でもないってみんなで話し合えたら、格好良いじゃないですか?途中で画像を静止画にして、軸線なんかをバシバシ書いたりして...。

もっとも、ipadでは、携帯して滑ることはできませんが...。ちなみに、私の携帯プレーヤーは、シャープ製のです。なんと、5日後に奥さんになる予定の方が、同じ製品を持っていたと...ちょっと、運命を感じました。

>>(それまでに私もトウループが一回回れていますように・・・)

どうか、焦らずに、頑張って下さい。
空中での回転のコツは、踏み切りまで前に伸ばした左手でクラッカーのヒモを引っ張る感じだと思います。”パーン”と鳴るタイミングで両腕を締めれば、ナチュラルに回れるかと...。ただ、空中で回ることより、しっかり踏み切ってまっすぐ跳び上がる方が大切だと思います。なので、無回転のトゥジャンプを繰り返せば、きっと「回れそうかな」と思う時が来ると思います。

その時が、チャンス! だと思います。

また、邦和に行くこともありますので、声をかけて下さい。よろしく、お願いします。

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