バッジテストは全然ダメでした...
昨日、2級ステップのバッジテストを受験しましたが、合格のレベルに全然達せず不合格でした。事前の準備に全力を尽くしましたし、本番でもそれほど大きなミスはなく課題を滑ったのですが...。結局、滑りやステップの質を問われたようです。
たとえば、フォアアウトからバックインへのスリーターンから、反対の足に踏み替えてスリーターンを繰り返す課題がありますが、ターン後のバックインでロングアクシス(スタートの基準になる一本の線)まで戻ってくることはできるようになったのですが、そこにたどり着くまでにフラついてしまう...といった感じです。全課題にそのような「基準に達しない質の悪さ」が認められるようで、特にスリーターンでエッジを削ったり、トゥで回転することは厳しく指摘されました。
ジャッジの先生からも言われ、自分でもわかっていますが、「基本ができていない」、その一言です。
この指摘ほど辛いものはありません。マスターズでジャッジから評価されたのも同じ事柄だとは思うのですが、ある意味、引退勧告にも近い言葉であるように感じています。試合に出場すること、バッジテストを受けること、そういった挑戦から身を引いた方がいいのではないか、大人愛好者ならそれらしく身の程を弁えるべきであるという響きを感じております。正直、「できていない」と言われても、自分ではどうして良いのかがわからないのです。
たとえば、基本のもととなる基礎...基礎的な体力の増強にはここ3年ほどかなりのエネルギーを費やしてきました。ジムでの体力測定の結果でも、反復横とびや立ち幅跳びなどの瞬発系の値はかなり高い水準にあります。ジャンプの軸の保持で重要になるであろう(仮説です)握力も年齢の水準を大きく上回る数値になっていますし、別の測定機会の結果ですが、上腕や背筋といった上半身の筋力もやはり良い数値が出ていました。走力では子供達をはるかに凌ぐ結果を出していることは、前のエントリーで記しましたし、おそらくは水泳でもクロールならば同じだと思います。あと、バレエレッスンは経験の差がものを言っており、まだまだ子供達をリードしています。
でも、氷上では全然です。
滑走スピードでも、長時間の滑走の持続でも、子供達には全く歯が立ちません。スピン、ジャンプ、ステップなどのエレメンツに至っては話にもなりません。自分よりも経験の少ない、はるかに年齢の小さな子でも同様です。フィギュアスケートにおける基本では、幼稚園園児のレベルと言っても差支えないのかもしれません。ならば、他の大人の方々と比べたらどうなのか?と言っても、子供達と一緒にバッジテストを受ける大人は周囲にいませんし、リンクでも大人の方々は独自の世界を持っていますので、比較することはできないと思います。ただ、マスターズでの得点を基準に考えるのなら、私の演技への評価は全体の中でも低いものと理解することができます。なので、「大人の中でも基本ができていない」と言うのが妥当だと感じます。
(’09.12.29.追記)
もっとも、マスターズ出場者の方々のキャリアは様々でしょうし、中には選手経験者、あるいは大学時代から競技を始めた方もいらっしゃいます。ですので、私のように40歳からスケートを始めて経験5年目のケースと同列に比べられないと、考えることもできます。大人から始めた者は技術習得のうえで何を目指せば良いのか?どんなロードマップを描けば良いのか、それがわからずに、がむしゃらに頑張っているのが現状です。(追記以上)
正直、非常に憂鬱です。
ただ、いつもの考え方であり、唯一の解決策でもありますが、「できていないことを自覚すること」これが、たった一つの救いだと信じています。
どうするれば、できるようになるのか...。というよりも、「できるようになった」と評価してもらえるのかは、わかりません。スリーターンにしても、もう3年以上も悩み続けていますし、その悩みに対応した練習を繰り返しています。”できないものは、できない!!”と言い切れたらどんなに楽か、と思うこともあります。そもそも、癖というのは、人が見て、指摘してわかるものであり、自分ではわかり難い問題でもありますので...。ただ、フィギュアスケートに限らず、舞踏や演劇など、相手に観て頂くことで成立するジャンルには、どうしてもそういう問題はついてくるのかもしれません。なので、何回指摘されても、「できません」とは言えない自分がいるのです。できるようになるための糸口が見えないとしても、「わかりました」と言うしかありません。
もう一つだけ、暗い思いがあります。練習段階から注意を頂いてきたにもかかわらず、改善できなかった癖に、バックアウトスリーを腰で回すというのがありました。おそらくは、他のスリーターンでも同様の癖はあるのでしょうが、右回り(時計回り)のバックアウトスリーで円を描いていくステップの時にひどいです。この時のスケーティングレッグである左足のエッジの使い方と、ターン前の背中側への捻り、そして先生からアドバイスを頂いたのですが、フリーレッグ(右足)のつま先の向きと押さえがポイントであることはわかり、少しずつは良くなってきてはいました。でも、無理やり感は除けないままでした。それでも、規定の3回のステップで円を描いてスタートに戻ってきたとは思うのですが...。
ここでも質を問われるのですが、このケースでは質の改善が「できません」と言わざるを得ない事情があります。もちろん、言葉として発することはありませんし、なんとか打開策を見つけて、少しずつでも改善はしていきますが、絶対に心得ておかねばならない問題があるのです。それは、営業中の滑走方向に逆行しているということです。
単に時計回りのスリーターンを練習するのなら、ストレートラインやサーペンタインのように滑走方向に逆らうことなく続けることができます。でも、営業時間に円を描く練習は本当に危ないです。ましてや、滑走方向(左回り)に逆行してバックのステップで描くとなると、他の滑走者とのニアミスの可能性がとても大きくなります。このことは、本当に大きな悩みでした。幸い、私の場合には貸切練習の機会もありますが、選手達がジャンプをバンバン跳んでいる中では、状況は営業中とあまり変わらないかなとも感じます。それでも、なんとかスペースを見つけ、状況に応じて円の大きさを変え、氷上がダメならばと陸上でも練習をしてきましたが、質の改善はなりませんでした。
むしろ...左のバックアウトに十分に乗って時計回りに描く円など、営業中は絶対にしたくない...とも思っています。でも、練習はせねばなりませんので、絶えず周囲をうかがい、不意に人が接近してきたらすぐに対応できる、要するに動作の軸をセンターに近づけたターンでやっていました。今の自分には、それしかできないのです。それでも、少しずつ練習を重ねていけば、質の向上と安全の確保は両立するのかもしれません。子供でも、選手でも、安全確保は使命であると思います。でも、体が大きく、体重も重く、氷上では機敏に動けない大人の私は、彼ら以上に安全にウェートを置かねばならないはずです。特に、看護師であり、時々リンクでも怪我人の救護活動をさせてもらっている私が、人を怪我させるわけにはいきません。
「基本ができていない」と言われるのは辛いですが、それでも、絶対に譲れない事柄が別にあることも本当のところです。それを大事にしたうえで、フィギュアスケートの技術向上も果たしていくつもりではありますが...。でも、私は、スケーターである以前にナースなのです。リスクを事前に察知し、しかるべき対応をするのも看護のひとつです。
スパイラルも同じ事情です。特にバックスパイラルは前方にブレードを向けます。この姿勢で滑走方向に逆走せよ(RBIとLBOスパイラル)なんて...営業中の練習を想定するならば、あまりに馬鹿げています。ジャンプ・スピンに加えてスパイラルを規制しているリンクがあるのも当然かもしれません。それでも、課題である以上は練習せねばなりません。無理を通さないのなら、知恵を使って質の改善をすべきなのでしょう。やはり、貸切練習の機会は貴重ですし、今回の準備の間にも幾つかのヒントは出てきました。スリーターンよりもスパイラルの改善は、私には現実的だと思います。
バッジテストでは、脚は挙がりませんでした。それも、不合格の要因の一つだと思います。それ以前に、エッジに乗らずにフラットで滑ったことが指摘されましたが...。脚の挙がりについては、右腿の怪我という理由がありますので、少し気楽に考えています。エッジワークについては、先に記したように工夫をしつつ、練習していけば合格のレベルに達すると思います。
やはり、問題はスリーターンでしょう。もしかしたら、数年間は合格のレベルに達しないのかもしれません。でも、私は結果よりも経過を重んじていますので、「できない自分」を見つめながら、少しずつ癖の詳細を分析し、改善の道筋を先生と一緒に歩んでいけるならば、それは大きな成果になるのではないかと信じています。指導して下さる先生がいること、そして先を進んでいく子供達の背中を追うことができること、これほど幸せなことはないと感謝しております。大人ゆえの愚痴も時には言いたくなりますが...ハンデがありすぎる...ブツブツ。
バッジテスト開始直前に、ある子が、真央選手が全日本で優勝したことを友達に言っていました。私はまた聞きで結果を知ることになったのですが、2位以下の結果はわからなかったので、明子さんのオリンピック行きは、今日、録画を見て知りました。世界を目指す選手達の戦いから見れば、ほんの小石に躓いているようなものかもしれません。でも、丹念に小石を拾い、道を均すからこそ、気持ち良く進めるのかもしれません。スリーターンが上手になれば、”アフリカンシンフォニー”のフリップが跳びやすくなる、それを信じて、頑張っていこうと思っています。
あと、明子さん!! 本当に良かった。
真央さんも...。
安藤選手の昨日の演技は、私は良かったと思います。ガス欠しながらも、2回目のアクセル前に一生懸命踏み切った姿が、今年の安藤選手の安定感を象徴しているように感じました。彼女は、本当に強い選手です。段々とクラッチに(勝負強く)なっていると思います。
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