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2009年10月24日 (土)

全力で”アウト!”を聞きに行く

人生の中では、絶望的な局面を迎えることもよくある。

それでも開き直って前に進めば、周囲に助けられながらなんとかなることもあるが、予想以上に状況が悪化して、にっちもさっちもいかずに負けを喫することもある。

失職、中退、失恋...と、挫折ばかりの人生だったし、「負け!」の声を聞きながら送ってきた日々でもあった。それでも、”捨てる神あれば拾う神あり”というか、前を進んでいれば助けて下さる方々もいらしたので、今を得ているのだと感謝している。

フィギュアスケートにしても、いつまで、どこまでできるのかは全然わからない。ネットで大人気(?)の湘南乃風の歌にあるように、”その手ヨボヨボになっても”フィギュアを続けられれば最高だと思う。でも、自分の性格から考えると、どうなのかな?とも思える。実際、何度も「もう辞めます」と言って周囲の方々に心配をかけてきた。今年のマスターズも、引退試合のつもりで臨んでいた。仕事との両立が上手くいかず、ボロボロの気持ちになり、リンクに通えない時期もあった。

でも、先生が待っていて下さったので、なんとか辞めずに続けることができた。

今は、その気持ちに感謝しつつ、頑張っている。どこまで頑張れるかはわからないが、とにかく頑張るつもりである。仕事との関係でボロボロになっても、今日を得ているのはフィギュアのおかげとも考え直し、安易に「辞める」ことは口にしないことに決めた。逃げてもなんにもならないと思うのだ。

いい歳をした大人なので、目標も何もない。頑張っても、目指すゴールはないにひとしい。その意味では、絶望的なレースのようにさえ思う。ただ、ひとつだけ、無謀な思いだけは持っている...。  全日本選手権に先生を連れていきたい...。

それが、いかに馬鹿げていて、口にするのも憚るものかは、言われなくてもわかっている。自身の年齢や社会的状況、そして今後の可能性を考えても、万に一つの可能性もないだろう。その大会がいかに大きく、出場権を得るためにどんな条件をクリアしないといけないかは、わかっているつもりである。自分だって観戦者としては何度も会場に行っているのだから...。

それでも、選手として指導者にできる恩返しは、大きな大会に連れて行くことだけだと思う。そのことを、鈴木明子選手から教わった気がする。私だって、連盟に登録されている選手であり、低級とはいえバッジテストを課題として日々を過ごしている。今はローカルな大会を目指して濃密な時間を過ごしているし...。そして、いかに高い峰を見つめながら日々を過ごしているか、それが人生では大切であることも、過去の経験から教えられてきた。もちろん、無理かもしれない、というよりも、無謀であろう。でも、安西先生は言っている。

最後まで・・・希望を捨てちゃいかん。

あきらめたらそこで、試合終了だよ。

どちらにしても結果は出るだろう。「無謀な挑戦は無理でした」と口にする日が来るかもしれない。ホイッスルの鳴らない試合はないのだから...。でも、だとしたら、自分で試合を終わらせる必用はないのだろう。たとえ、負け確定の試合でも。負けのコールを聞くために試合をしているとしても、全力を尽くした方が良いと思う。もしかしたら...可能性があるかもしれない、大逆転が隠れているかもしれない。結局そういうのがなかったとしても、自分から潰すことはないと思うのだ。

気分としては、大投手を目の前にしてバッターボックスに立つ感じである。おそらくは、空振りの三振、死球を受けたら死んでしまうかもしれない。上手く当てたとしても球威に負けてボテボテのゴロになることは目に見えている。でも、全力を尽くすしかない。”アウト!”を聞くだけになるかもしれないが、一塁に向かって走るしかない。イチローなら、渋い内野安打になるところが、自分では悪あがきにしかならないかもしれない、でも、全力で”アウト!”を聞きに行く、それしかできないから...。そんな風にジタバタしていれば、別の選手達が夢を果たしてくれるかもしれない。そうしたら、全力で応援しよう!!

同じ思いを、真央さんに抱いている。「たとえアウトでも、全力で走り抜けて!」と彼女に伝えたい。そう言うと、二つの反論が来るような気がする。

一つは、真央選手はいつでも全力を尽くしている。それなのに、全力でないような言い方はないのではないか?というものである。その思いに対しては、私からは反論できない。言われるとおりだと思う。ただ、頑張っている選手達にも「頑張れ!」としか言えない、負けまいと歯を食いしばっている方々にも、「負けないで下さい」としか言えない、応援する者とはそういう立場なのだ。だから、選手本人が一番思っているであろう、「最後まで全力を」という言葉を、今、記すことしか、私にはできない。

もう一つは、金メダルを目指しているトップ選手に”アウト”とは何事か、という反論である。これについては、見方は様々だと思う。私は、真央選手の置かれた状況は楽観できないと感じている。現在、ロシア杯のSPの結果までがわかっているが、本当に辛い。何かきっかけがあればとか、幾つかの問題が解決すればとか、そういう局所的な事柄で状況が打開できるものではないと感じている。2005-06シーズンのシニア転向以来トップグループを走り続けていた真央選手だが、ここに来てヨナ達に離され、後続の馬群に沈みかねない状況だと感じている。

でも、金メダルの望みが絶たれたわけではない。新聞の見出しに載る「信号」の色が何色になろうと、イギリスのブックメーカーの掛け率がどう変わろうと、それは傍観者の予想でしかない。分析によって確率は大きく変動するかもしれないが、結果は試合が終わるまでわからないのである。だから、目標をどこにもっていくかは別としても、試合(それが全日本選手権で終わるかもしれないが...)で自分の演技が終わるまでは、全力を尽くすことを願うし、私も一生懸命応援しようと思う。自分達で試合を終わらせることはないのだから。

目標は大切だと思う。私の話に戻すが、非常に恐れ多い無謀な気持ちをもっているとしても、それは見果てぬ夢であり、胸に抱く想いであり、目標ではない。現在の目標は、技術的な面では幾つかあるが、試合に関しては、次の大会(旧採点)で2.5点平均を上回ることである。そのために、一つひとつのエレメンツの精度をあげるように個々の練習をし、同時にプログラムを滑り込んでいる。

真央選手にしても、バンクーバーオリンピックで一番高い表彰台に上り、君が代を笑顔で聴いている姿を、私は見たい。これは、トリノよりも前から抱いていた夢であった。でも、現実から考えれば、今は国内代表権を獲れるか、それを真剣に考える段階だと思う。GPFどころではないのではないだろうか?(異論は多々あるとは存じます)

逆に、国内代表権を獲れれば、2月に向けて戦略を立て直すこともできるかもしれない。でも、とにかく真央選手には走り続けてほしい。本人が一番願っていることだとはわかっているが、そう言わずにはおれない。そして、どんな結果であれ、走り続けた先で、笑顔を見せてくれれば....たとえ”アウト”であっても、次の打席があるはずだろう。その前に、守備で勝利に貢献するかもしれないし。もちろん、バンクーバーも始まっていないのにソチに期待する愚を犯すつもりはない。それこそ、試合を自分で潰すことだろう。でも、たとえ負けたとしても、次があることを信じるのは、良いことではないだろうか?全力は尽す=死ぬ気で頑張るというのと、本当に死んでしまうのとは全然違う。自分を追い込むところまで真剣になったとしても、人から追い込まれて駄目になってはいけないのだと思う。退路を断って前進するとしても、行った先で終了では寂しすぎる。

その気持ちをもって、真央選手に言いたい。「バンクーバーでの活躍を、信じています。」と。

そして、この思いを胸に抱きながら、自分も頑張ろうと思う。たとえ、アウトになっても...。

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コメント

お久しぶりです。この文章に感動し、元気をもらいました。ありがとうございます。全日本選手権には、三日とも観戦に行きますよ。楽しみにしています。

さっちゃんママさん、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

このブログが、何かのきっかけになるのでしたら、望外の幸いです。ポツリポツリとやっておりますが、どうか、気軽にコメントをお寄せ下さい。

全日本選手権、私も2日間のチケットが確保できました。楽しみですね!! 町田選手も1位で西日本通過を決めましたし!!

真央選手も、全日本までには前途に光が差すことを願ってやみません。きっと、大丈夫だと思います!

こんばんわ 
ついに寒くなりましたね。
我が家も中学、高校の娘達はインフルに
やられてしまいましたが やはり大人はなにかしらの抗体があるのか 旦那ともども感染しませんでした。本当不思議です。
最近、特にキムヨナ選手が出る大会は何かしら?
なものがあり 本当にTVを見る気がおこりませんでしたが、中国大会は本当に「スカッ」としました。
あっこちゃんのエキシの滑りを見ていると
本当に胸が熱くなります。
これが 本当のフィギュアの大会だってね。
さて、私はガイシのリンクは滑ったことがないので
今年は行ってみたいと思います。
邦和もまた雰囲気が違ってくるかもしれませんね

すけーとおばさん さん、こんばんは。
コメントをありがとうございます。

インフルエンザは、私の職場でもよく話題になります。医療系の教育機関なので、学生達が実習先で感染源にならないか、結構神経を使ってます。もちろん、うがい手洗いなどの予防が大切なのですが、運動習慣などで免疫力を強化しておくのも良いそうです。私自身、スケートを始めてからは風邪を引きにくくなりました。

年代によって新型のかかりやすさが違うというのは話題になりますが、どうしてなのでしょうね?結核などでは菌に触れる機会の違いはよく言われますが、案外、昔の生活の方が逞しい人を育てていたのかもしれませんね。

正直、「なんだかなぁ~」という展開の多い、今年のグランプリシリーズですが、鈴木明子選手の活躍は、一服の清涼剤のように感じます。あと、織田選手の成長も頼もしいです。明子選手、シリーズ最終戦のカナダ大会が残ってますが、確実にポイントをあげてほしいです。

あと、ガイシは私も滑ったことがないのですが、すごく大きなアリーナですよね。開放感がとてもあるんじゃないかな?と想像してます。私は、地元のリンクの営業が始まったので、なかなか邦和に行けなくなったのですが、日曜日にはなるべく行きたいなと思ってます。今日(8日)は地元で大会があるのでこちらにへばりついていますが...頑張ります!

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