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2009年2月 7日 (土)

4大陸選手権のFSと結果点数の予測

頭の怪我の療養(というほどでもないが...昨晩も練習に行ってきたし)をしている間に、バンクーバーでは、4大陸選手権が始まっていた。本日の夜から地上波でテレビ中継をするらしい。結果は、ネットに出ているので、演技の実際に注目して観てみたいと思う。

女子SPだが、浅田真央選手が6位というのには、びっくりした。サンデー毎日の記事の内容が気になっているが、まだ読んでいない。懸念を払拭する頑張りを祈らずにはいられない。

ただ、4大陸選手権そのものは、SPの出来から考えると、結果を問うべき状況でもないと思う。シニア昇格から初めて、真央選手が表彰台から落ちてしまうのかは気がかりだし、3位の可能性は信じたいが、キム・ヨナ選手に負けるとしても、今回は受け容れるしかないようにも思える。借りを返す機会はきっとあるだろう。

そんなことを考えながら、気になったことがあった。フィギュアスケートは、毎年ルールが変わっているので、得点は年度ごとに高い・低いがあるのは仕方ないと思う。でも、同じ大会での総得点に占めるSPとFSの割合はどうなのだろう?ということだ。

例えば、私の印象なのだが、ヨナ選手はSPでは圧倒的に強いが、FSでミスして伸び悩む傾向がある気がする。反対に、真央選手はSPで出遅れ(コンビネーションジャンプの失敗が多いように思う)、ジャンプが沢山飛べるFSで得点を挽回するイメージがある。なので、総得点に占める割合としては、ヨナ選手はSPが多め、真央選手はFSが主という感じではないかと思うのだ。もし、そうなら、真央選手の挽回をFSで期待できるかもしれない。

この印象が違っているとしても、ある選手の総得点におけるSPとFSの割合の傾向を知っていれば、SPの点数からFSや総得点の予測ができるのではないかと考えるのだ。

で、計算してみた。まずは、真央選手....。

2008-09シーズンの、TEB(フランス大会)・NHK杯・GPF・全日本のSPとFS、FS/SPの平均とそれぞれの標準偏差を出すと

平均 SD
SP 63.36 3.04
FS 119.07 6.48
FS/SP 1.88 0.06

SDは標準偏差の略。説明はこちらを見てほしいのだが、SPで言えば、ほぼ70%の確立で、平均値(63.36)プラスマイナス標準偏差(σ=3.04)の間に入る計算になる。もっとも、全体の値が正規分布をとることが前提だが。

そして、真央選手の今回の4大陸選手権でのSPの得点が、57.86である。正規分布ではほぼ96%が含まれる、プラスマイナス2σ(標準偏差の2倍)の幅が、57.28 ~69.44なので、およそ想定できる範囲一杯の低い得点と言えるかもしれない。

問題は、このSPの得点をもとに、同じ大会でのFSの得点を予測できるかということだが、FSの得点を同じ大会でのSPで割り算した値の、2008-09シーズンの平均をみると、1.88である。なので、今回のSPの得点57.86を1.88倍したのが、FSの平均的な予測値となると、私は考える。計算すると、108.8点になり、総合得点は166.6点である。

この得点は、今シーズンのGPFで言えば、4位のロシェットの166.36とほぼ同じであり、3位のコストナーの168.01にあと少しである。これを考えると、真央選手の表彰台は、まだ希望があると思われる。標準偏差(1σ)の幅で予測すれば、

FS(総合)は105点(163.3点)~112.1点(170.0点)

    の間にあると考えるのが妥当と思われる。

ちなみに、同じ計算をキム・ヨナ選手と、ロシェット選手でしてみた。

キム選手のSP72.24は、2008-09シーズンの3大会(USA,CHN,GPF)の平均+2σである71.18を更に越えている得点であり、ひらたく言えば、考えられないくらいの高い得点である。もっとも、データが3大会しかないので、説得力はあまりないが...。このSPの得点をもとにして、FSと総合得点を予測すると、

FS(総合)は、130.9点(203.2点)~139.26点(211.50点)

 という信じられない得点となってしまう。

というのも、FS/SPの割合で言えば、2008-09シーズンは、真央選手が1.88に対し、キム選手は1.87で、ほぼ変わりがないのだ。なので、「キム選手はSPで良くてもFSで失速する」との予測が立てにくい。

先ほども記したとおり、2008-09のデータは3大会分しかない(真央選手は全日本もあるので、4大会分)ので、この計算はあまり説得力がない。なので、2008-09だけでなく、2007-08シーズンと2006-07シーズンのデータも集計してみた。真央選手は15大会分、ヨナ選手は11大会分である。

これによると、FS/SPは、真央選手は平均1.92(SD 0.23)で、ヨナ選手は平均1.90(SD 0.18)である。真央選手の方が大会毎のバラつきが大きいが、平均では二人ともSPの1.9倍がFSの得点という傾向が出ている。二人とも、2006年から2008年の3シーズンを通してよりも、2008年単年の方がFS/SPの値が小さいので、今年の値(真央1.88、キム1.87)を使うのが妥当だと思われる。もっとも、本当にヨナ選手が総合200点越えを果たすとは...にわかには信じられないが。でも、3シーズン通しての、FS平均-2σが106.23点なので、アクシデントがない限りは、180点越えは9割がた考えられる。

(2月7日午前中に追記)

先ほども記した通り、真央選手の予想の幅が、FS(総合)で105点(163.3点)~112.1点(170.0点)なので、ヨナ選手とは総合得点で、少なくとも10点は離されると予測するのが妥当と思われる。

ただ、気になる数字がないわけではない。相関係数の計算ができないので、逆相関の有無は調べられないのだが、ヨナ選手について、各年度のFS/SPの平均を出し、それを下回った大会を調べたところ、次のようになった。これらの大会では、SPが良くてもFSで伸び悩んだと思われる。

2006-07年 カナダ、世界選手権(東京)

2007-08年 GPF、世界選手権(ヨーテボリ)

2008年    USA、GPF

この6大会のうち、4大会が真央選手との直接対決である。真央選手との直接対決のうち、FS/SPが単年の平均を上回ったのは、2006-07シーズンのGPF(サンクトペテルブルク)だけである。ここから言えることは、次の二つである。

1.全大会を通しても、総合得点におけるSPとFSの割合は真央選手もヨナ選手も同じであるので、SPで出遅れてもFSで逆転できるとは考えにくい。

2.ただし、ヨナ選手は真央選手との直接対決ではFSで得点が伸び悩む傾向がある。

仮に逆相関があると仮定して、FS/SPではなく、2008年の真央選手のFS得点の平均と標準偏差で考えるならば...平均+σで、125.6点までは、今シーズンの採点傾向でも期待できる。そうすると、

ヨナ選手がFSで伸び悩み、FS114点(3シーズンの平均ーσ)では総合得点は186.24点である。

真央選手がFSで頑張って、FS126点を出すと、総合得点は183.86点で、やはりキム選手には届かないが、かなり競り合うかもしれない。

なので、FS/SPの相関が今回、二人とも同じように出るとしたら、順相関(FS/SP)なら、真央選手は170点を越えるかどうかというところであり、ヨナ選手は200点を越えるかもしれない。。。?でも、今までの傾向のように、ヨナ選手が真央選手との直接対決でFSで得点をとれなければ、180点後半をとった選手の勝利になる可能性も考えられる。そのためにも、ヨナ選手が、SPで考えられないくらいの得点をマークしたように、真央選手もFSで、130点を目指す得点が必要になる。

もっとも、私自身は、どうしても真央選手に優勝してほしいわけではない。今回の検討でわかったのは、「過去の直接対決ではFSで挽回して逆転勝利もあったが、3シーズン通してみれば、ヨナ選手もFSで得点を重ねている」ということであった。私には、SPでリードしてもFSで失敗するヨナ選手のイメージがあったのだが、そうでもなさそうである。なぜ、直接対決では真央選手に挽回の機会を残してきたのかはわからないが、仮に今大会でヨナ選手がSPとFSの両方を揃えて真央選手に勝ったとしたら、真央選手もSPの重要性を再認識する必要が出てくるだろう。

もしかしたら、またもやFSでヨナ選手を逆転して、辛くも表彰台に乗ることよりも、SPでの出遅れ対策に取り組むきっかけを得た方が、真央選手にとっては良いのかもしれないと感じる。

最後に、ロシェットだが、2008年のFS/SPは2.08で、3シーズン通しても2.03であり、真央選手やヨナ選手よりも高い。おそらく、SPよりもFSの方が点数を出しやすい選手なのだろう。なので、FSで順位を後退することは考えにくいと思われる。2008年のGPFでも、SP6位をFS3位とし、総合4位にあがっている。

ただ、FS/SPが高いのは、SPが60点を満たない試合が多かったのも関係している。SPが50点台でFSが100点を上回れば、FS/SPは2倍になる計算だ低くてもFSで点数を稼げるタイプの選手と言えるだろう。なので、SPのパーソナルベストを更新した、今回の4大陸選手権でのSP得点 64.74点へ単純に2.08 をかけると、134.7点になってしまう。これは、あまりに実情から外れた値である。これを考えると、FS/SPの過去の傾向を、今大会のSP得点に掛け合わせるだけでは、妥当な予測はできないかもしれない。(ここまで読んで下さったのに、すみません。でも、発見もなかったわけではないです。)

ちょうど、SP,FS,総合の全てでパーソナルベストをマークした2008年のスケートカナダの得点が、SP 64.74  FS 124.15 総合 188.89であった。この大会のFS/SPは、124.15/64.74で、1.92である。この値は、2008年のFS/SPの平均ーσの1.93に近く、SPが高得点であった時のFSを予測するのに適切な値だと思われる。

なので、ロシェット選手は、

FSが124.3点で、総合得点は189.04点と予測される。もう少し低めに予測すれば、3シーズンのデータ(11大会分)の平均値ーσの105.64点をFSの一番低い可能性と考えても良いかもしれない。

そうすると、総合得点は170.38点となる。会心の演技ならば180点台の後半で、優勝の可能性もある。もっとも、キム選手が190点を越えれば届かないが。悪くても、170点はマークして、真央選手と順位を争う可能性もある。

かなり長く、煩雑になったが、まとめると次のようになるかもしれない。可能性がありそうな順に記すと...

可能性1.ヨナ選手が真央選手との直接対決をものともせず、優勝。

  ヨナ選手190点台  ロシェット選手 180点台 真央選手 170点台

可能性2.ヨナ選手に、真央選手との直接対決の傾向が出る

  ヨナ・ロシェット・真央の3選手とも180点台での争い

可能性3.ヨナ選手の圧勝

  ヨナ選手 190点台 ロシェット・真央選手 170点台

SPの出来でFSの得点予測ができないかと思い、エントリーを作成してみたが、FS/SPの値を求めても、SPが突出して良ければ現実的でない予測値となってしまう。何より、SPの出来とFSの調子とが相関するのか、その関係を押さえないと意味がないかもしれない。

それでも、ヨナ選手は真央選手との対決する大会では、FSが崩れる傾向があったことがわかったのは収穫である。あと、FS/SPというひとつのデータだけでなく、なるべく多くの大会得点結果を集め、照らし合わせるのも、有効かもしれないと感じた。

このエントリーで使用した得点のデータは、主に”フィギュアスケート資料室”(リンクはこちら)の「試合結果」というページから参照させていただいた。

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