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2008年11月

2008年11月30日 (日)

昨日~今日、そして、明日

今週の火曜日に1級のバッジテストがあったのだが、結果は駄目だった。とてもショックだ。

全くの不合格というわけではなく、ステップはOKで、必須もジャンプコンビネーションのみの課題を残しての不合格、いわゆる「1課題残し」という形になった。なので、次回のテストでシングル&シングルのジャンプコンビネーションだけを認めてもらえば、1級は合格としてもらえる。その意味では、前進でもあったのだが...。

苦手のスピンや問題のあるスリーターンではなく、自信のあったジャンプで落ちたというのが、すごく尾を引いている。特に、シングルサルコウ+シングルトゥループのコンビネーションは、練習では失敗した試しのない、自分としては固い課題であった。テスト直前の練習時間でも、3回試みて3回ともできたので、安心してスピンやステップなどのチェックに時間を使っていた。

それが、本番では、サルコウを降りてフリーレッグを後ろに回す時に、右足に力が入らなくなって崩れるように転倒してしまった。タイミングを間違えたわけでも、軸が傾いたわけでもないと思う(軸については、ビデオ録画などで確認していないので定かではないが...)。いつもと同じようにサルコウを降りたつもりなのに、なぜか足が踏ん張ってくれない。それで倒れてしまった。本来は試技は2回のところ、もう一度チャンスを下さったにも関わらず、3度とも同じように転倒してしまった。

結果を言われる前から、それでは、ジャンプコンビネーションの課題は不合格になるのはわかっていた。せめて、セカンドジャンプまでつなげられたなら、温情はあったかもしれない。でも、ファーストジャンプで3回とも転倒したのなら、「コンビネーションはできていない」と判断せざるを得ないと思う。ジャッジの先生からは、単独ジャンプは跳べているのだから、ただつなげるだけとアドバイスを頂いた。そう、その「つなげるだけ」のはずのコンボが、なぜかできなかったのだ....!!!

体調は、悪かった。風邪とか怪我とかというわけではないのだが、3日前の土曜日、夜の貸切練習中に、突然脱力感を覚え、スピンで軸がとれなくなってしまった。練習のしすぎでスピンの調子が悪くなることは時々あるので、次の日から休息を増やしながらスピン練習を中心にしていった。もちろん、ジャンプを含むバッジテストの課題は並行して練習したが。それで、テスト当日には、調子が悪いなりに7回転はできるようになり、テスト本番でもトラベリングをしながらも7回転して、一度の試技で認めていただけた。

結局のところ、それで力尽きたのかもしれない。

フィギュアスケートでは、プログラムを最期まで演じきるスタミナも求められるので、筋持久力をつけることは心がけていた。でも、実際には、仕事上の疲れやテストの緊張などで、ジャンプコンビネーションの頃には右脚がバカになっていたのかもしれない。情けない話だが、それが自分の実力だったのだろう。あとひとつ、その課題をクリアできなかった。それでも、全面的な不合格ではなく、ジャンプコンビネーションだけの課題残しにしていただけたのは、ジャッジの先生方の温情だと感謝している。次のバッジテストで、ポン・ポンと跳べばそれで終わりなのだ。だから、今まで通り頑張ろうと思う。

正直、かなり凹んではいた。同時に、不安でもあった。自信を持っていたジャンプで落ちた。練習だって、結構やっていたと思う。なのに、本番でできなかったことが、次の本番でできるようになるのか...? もう、駄目じゃないかとも思った。もしかしたら、そうなのかもしれない。次で確実に合格できるという保証は、ない。

でも、頑張るしかない。保証があるから頑張れるとは限らない。むしろ、不安だからこそ、練習し、努力するしかないのだと思う。

今日(既に昨日だが)、NHK杯に行って帰ってきた。真央選手が、見事な演技で試合に勝った後のインタビューで、苦しかった2週間を振り返って、次のように言っていた。

「でも、ジャンプを練習してきましたので。」

真央選手だって、不安と闘っていたのだろう。世界レベルの試合で、結果を求められる立場なのだから、私と比べることなぞ申し訳ないほど巨大なプレッシャーと付き合っているのだと思う。そして、そのプレッシャーを打ち破る言葉として、「練習」を挙げていた。また、こうも言っていた。

「これからも試合がありますので、今日よりも良い演技ができるように練習します」

「練習」は、彼女にとって明日があることも意味するのだろう。過去の失敗を拭い去るために、今、練習する。それで成果を挙げた時にも、これからのことを考えて練習場所へ臨む。彼女にとって、栄光の場所とは、明日の練習場所へと向かう出発点に過ぎないのかもしれない。たとえオリンピックの表彰台の一番高いところであっても、そこから見つめるのは、日の丸でも、聖火でもなく、明日の練習場所の扉なのだろうかと、インタビューを聞きながら思った。

ならば、私だって...。明日(もう今日か)、またリンクに向かおうと思う。次のテストへの不安があるからこそ、練習し、身体つくりにも努力しようと反省した。

「優勝、おめでとうございます。」

この言葉を噛み締めながら、自分も頑張っていこうと思う。

2008年11月24日 (月)

第77回全日本ジュニア選手権大会 1日目女子SP '08.11.23.(日)

名古屋の日本ガイシアリーナで行われている、全日本ジュニアの初日に行って来ました。

本日(平成20年11月23日)は、朝の貸切練習に出たのですが、その前日は21時から23時まで夜の貸切があり、ここ1週間ずっとトレーニングや練習の日々でしたので、仕事のストレスとあいまって、かなり疲労がたまってしまっていました。なので、練習から帰った午前中は休養をとり、15時頃からゆっくり出発することにしました。それでも、17時開始の女子SPには間に合うはずでしたが、乗り換え(笠寺駅は快速は止まりません)のタイミングを間違えてしまい、大幅に遅れての到着でした。

ちょうど、笠寺駅で私が降りた名古屋行きの列車に、男子ジュニア特別強化選手の佐々木彰生選手が先生方と一緒に乗るところでした。陸橋を通って2階入り口から会場に入ったのですが、入ったらすぐに、ロビーで水津選手がその場ジャンプの練習をしていました。その他にも多くの選手達がウォームアップをしたり、場内の演技を観ていたりして、全日本というよりも、ローカルな大会という雰囲気でした。客席入り口では、門奈コーチに声をかけて控え室へ向かおうとする中村愛音選手を見かけました。表情がとても穏やかなのが印象的でした。

列車の間違えもあり、私が到着した時には、3番滑走の佐藤菜乃初選手の演技中でした。他に、石川翔子選手と、村元哉中選手の演技が観られなかったようです。

コンピューター集計の新採点方式ということもあり、早速、日本スケート連盟のサイトには結果が出ております。詳細は、そちらを参照していただけたらと思います。

http://www.skatingjapan.jp/National/2008-2009/fs/national_jr/data0203.htm

がURLです。

日本ガイシアリーナ(旧称はレインボーでした)は、NHK杯や全日本選手権も開催した大きな会場ですが、スケートリンクはホッケー競技と併用ということもあり、氷の質は固いという評判です。氷の厚さもそれほどないのかはわかりませんが、ジャンプの着氷の時に”ドン”と響きます。おそらく、踏み切りの時にもエッジがかかりにくい氷質ではないかと想像しました。

いつもと同じように、一般客席はジャッジとは反対側(入り口から入ってすぐの側)で、選手達やご家族の席も同じ側でした。しかも、ジャッジ側から見て左手に飛び込み台があるのですが、その付近の席は着席不可とされていました。ですので、ジャッジとは反対側のリンク寄り3分の2くらいの客席で観る感じになっていました。客の入りは多かったですが、それでも、7~8割程度で、座る場所がなくて困るということはなかったです。

印象に残った選手を上位からあげていくと...

やはり、SP首位に立った中村愛音選手は別格の感があります。

6分間練習では、それほど目立った感じはしなかった(第2グループでしたが、同じグループに水津、藤澤、松原と有力選手が揃いました)のですが、演技の初めから勢いが違いました。曲のレクイエムのアレンジがドラマチックで、その曲に中村選手の演技が重なると、誰でも飲み込まれてしまうのではないかと思います。ジャンプは、3ルッツ、3F-2T(だったと思います)、2Aときちんと決めました。スピンの軸もきれいですし、ステップシークエンスもグイグイと力強く進んでいく印象を持ちました。

FSも頑張ってもらい、全日本選手権の出場を決めてほしいです。多くの人達に観ていただきたいSPです。

2位の今井遥選手も、やはりさすがという演技でした。

27番目の滑走でしたので、演技が21時近くになり、結構な数の観客が帰った後の演技でした。正直、彼女の演技を観なかったのはもったいないと思います。とてもキビキビとした演技で、勢いと自信を感じさせました。ジャンプは、3F+3T(だと思うのですが...2Tかもしれません)、と3ルッツ、2Aだと思います。私自身の疲れもあるのか、トリプルとダブルの見分けの自信がないです。客席の反応も、明らかなトリプルでもあまり歓声がわきませんので(地元選手の演技中なら別ですが...)、トリプルに見えても本当にそうなのか、よくわかりませんでした。

ストレートラインに、バックループを入れていたのが目を引きました。あと、大きなカーブを描きながら滑っている最中に、モホークターンを織り交ぜていました。なんということのないターンですが、大きな滑りの中に交ぜるとアクセントになる感じを受けました。ジャッジ席から見て左側のホッケーゴールのあたりで、コンビネーションスピンを終えた後につまづきましたが、大きく崩れることなく演技を続けられました。

第3位の鈴木真梨選手は、東日本大会を7位で通過した選手です。真っ白なワンピースで、見るからに「白鳥」という感じでした。曲も「白鳥の湖」の終幕の部分で、ブルメイステル版やセルゲーエフ版では、王子がロットバルトと闘って勝利する一番のクライマックスの部分です。「こんな所から始めるのか...」と思ったのですが、そこから幕が降りる大団円の部分までノーカットで2分50秒を費やして演技を終えました。初っ端からクライマックスというのには違和感を覚えましたが、美味しいところを継ぎ接ぎにした編集よりかは聴きやすかったと思います。

演技もブラボー!でした。堂々と白鳥を演じており、曲の感じをよく表していたと思います。ジャンプは、3F+2T、3L、2Aを降りていました。もう一つ言い訳をしますと、大抵の選手がターンの後クロスしてすぐに跳ぶルッツなので、以前のように左バックアウトで長い距離を助走するということがなく、ルッツなのかフリップなのか、あるいはトゥループなのか、私には見分けがつきづらいです。ですので、このレポに間違いがあった場合は、ご容赦をどうかお願いします。

鈴木選手は、この「白鳥」が得意なのか、東日本大会でもSP2位になっています。ところが、FS14位で総合7位の成績なので、今大会でもFSの出来が正念場かもしれません。

4位の西野友毬選手は、SP4番滑走でしたので、私はギリギリ観ることができました。スパイラルで、BOでのY字のポジションはきれいでしたが、ノーマルでのチェンジエッジは強引に行っているように見えました。演技開始から40秒以上たってから最初の3F+3Tに入りました。その後3Lで転倒しました。ストレートラインでの滑りはいま一つかなという印象です。ターンは両足を交互に使うのは良いのですが、時計回りのものが多かったようです。左右の足を使うのと同様、時計回りと反時計回りの両方のターンをまんべんなく交ぜていくのが理想だと思うのですが、苦手なターンがあるのかなと想像しました。

ドーナッツスピンのポジションはとてもきれいで、身体がしっかり引きあがっているので、上半身のラインもスラっとした感じでコンディションの良さを感じました。

第5位の佐藤菜乃初選手は、私が会場に来た時に演技をしていたので、しっかり観ていないです。

第6位の高山睦美選手は、ジャンパーとして注目されていた選手ですが、ここ数年の成績は振るわなかったと記憶しています。滑走姿勢がクロス以外でも”く”の字に曲がっていて腰が低くなり、あまり良い印象を持ちませんでした。しかし、最初の3Lが非常に高く、力強くランディングしていました。伊藤みどりさんのジャンプに似ているのではないでしょうか?他は、3F-2Tと2Aをクリーンに降りています。

7位は、村上佳菜子選手です。

1位の中村選手から村上選手までの5名は、いずれも東日本代表の選手達です。今回、西日本代表が7人しかいないということもあるのですが、東日本勢の活躍を感じます。

西日本でも観た、村上選手のチャップリンメドレーですが、曲の感じを本当に上手に表現していると思います。リズム感と曲想のつかみ方では、ジュニアの中でも群を抜いているように思います。それが、独特のカナコワールドというか、コミカルな演技の雰囲気として客席にも十分伝わってくるのではないかと思うのです。ジャンプは、最初のルッツがシングルに抜けました。でも、3F-2Tと2Aはきちんと決め、傷を広げずに演技を終えました。ドーナッツスピンの途中で曲の感じがガラっと変わるところがあるのですが、その変化に合わせて、ドーナッツをしながら手をピコピコ振るのが面白かったです。

第8位は國分紫苑選手です。札幌のROYCE' F・S・Cの所属と紹介されています。有名なチョコレート会社がスポンサーについているのでしょうか?

非常にほっそりした体型の選手です。しかし、前の選手の採点を待っている間、フリップを両足を揃えて着氷する練習を続けていましたが、踏み切りがとてもしっかりしていましたし、軸もきちんととれており、十分な筋力を感じました。曲は、ギター演奏での”火祭りの踊り”です。アレンジは違いますが、2006年に大田由希奈選手がFSで使った曲と記憶しています。ジャンプは、練習していた3Fに2Tのセカンドをつけ、単独では3Lだったと思います。それと、2Aはランディングがアティテュードで流れていました。表情や姿勢はもちろん、指の一本いっぽんまで気持ちのこもった表現となっており、体力というよりも精神で踊っているという迫力を感じる演技でした。

なんというか、ジュニアのレベルではない気迫を感じる選手です。ただ、選手自身が自分の演技に押しつぶされたりしないか、素晴らしい演技だからこそ、一抹の不安を抱きました。

あと、期待したり、印象に残った選手達を簡単に記します。

10位の押川ロアンナ選手は、蛍光色のオレンジのワンピースで、曲も演技もエスニックな雰囲気のあるものでした。石川翔子選手が大きな声で声援を送っていました。

13位の藤澤亮子選手は、ピンクの衣装でした。小さな身体で軸をギュっとまとめるのが特徴です。ジャンプのタイミングが合わなくなっているのか、フリップがシングル、3ルッツがステップアウトになりました。しかし、非常になめらかなスケーティングで、ステップも難しいものをさりげなくこなしていたことに、非凡さを感じました。曲がノービスで使用するような子供風のもので、それでは気持ちを込めての演技はしにくいのでは、と思いました。

18位の毛間内かれん選手は、今年の全日本ノービスAで3位となり、カテゴリーが上の全日本ジュニアの出場権を得た選手です。お姉さん達と互角に戦い、見事FS進出を果たしたのは非常に大きな活躍だと思います。

衣装は黒地のユニタード(上下一体のパンツ型のレオタード)に蛍光色の黄緑のラインが何本か入ったものです。曲は、今年のDOIで羽生結弦選手が使用したのと同じ、ムーランルージュのものです。キャメルスピンからドーナッツに至るところで、キャメルのポジションで最初から足を曲げていたのが気になりました。ドーナッツに早く移ることを意識しているのかもしれませんが、仰向けとかそういう難しいポジションでないのなら、やはり足を伸ばした方がきれいだと思います。

ジャンプは、3Lだと思うのですが...ノービスの選手で跳べるジャンプとは思えないので、ちょっと自信がないです。3T-にコンボのTが2回転か3回転かはわかりませんでした。2Aは非常に勢いがあり、回転が終わるまで上昇していたという感じでした。エレメンツから次のエレメンツに移る時にぶつっと切れてしまうのが勿体なかったです。フィニッシュのポーズも、両足をついて、両手でバンザイというもので、もう少し工夫ができるのではないかと思いました。

19位の水津瑠美選手は、深いグリーンのワンピースにレース風の金色の飾りがあしらわれていました。3T-3Tは決まったのですが、フリップがダブルになり、アクセルはシングルでした。少し体型がふっくらしているのではないかと思います。演技中に、報道関係のカメラの”パシャパシャ”という音が、他の選手の演技中よりも聞こえた気がします。

2008年11月22日 (土)

結果は出るものであり、出すものではない

医療の現場で働いてきて、気がついた答えが、「結果は出るものであり、出すものではない」ということだ。よく、スポーツ選手は「結果を出す」と言うし、それは否定しない。でも、私達医療者は、時として望まない結果でも甘受せねばならない時がある。

お世話している患者さんの容態が急変したり、時には亡くなったりする事態は、常に念頭においている。もちろん、そうならないように努力しているし、細心の注意を払っている。それでも、人様の身体は、私達人間の思うままにはならないものなのだ。良い結果に至るようにと祈りつつも、結局は、結果は出すものではなく、自ずと出るものであり、それを受け容れねばならないこと、それは厳粛な気持ちで感じている。

「変えることのできるものを変える勇気を、変えることのできないものを受け容れる冷静さを、それらを見分ける知恵を、与えて下さい。」(ライホルト・ニーバー)

記憶によるが、ニーバーのこの祈りのうち、一番難しいのが、変えることのできることと、変えることのできないこととを見分ける知恵であると言ったのは、小林秀雄だったと思う。でも、ことは、本当はもっと簡単なのだろう。私達には、そもそも、「わからない」ことなのだから...。変革可能性など、わからない。だから、蛮勇がはびこったり、臆病者が機を逸したりする。でも、それが歴史であり、それが人の営みなのだと私は考える。むしろ、変えられるものと、変えられないものとが、「わからない」ことを受け容れる冷静さが、医療者には求められるのだとも考える。

果たして...この方の病気は快方へ向かうのか?

誰がわかるというのだろう...? あるいは、それを見分けられたからといって、果たしてそれが知恵と言えるのだろうか...?? どんな結果に至るのかわからない。徒労に終わるのかもしれない。それでも、最善を尽くす。その結果については、甘受します。常に私達の同僚達は、そんな思いで日々を働いていると信じている。結果が出れば嬉しい。患者さんやご家族、あるいは医療チームの面々と喜びをわかちあう。たとえ、それが死への旅立ちでも、ご本人の尊厳が護られ、ご家族が慰められるのなら、良い結果と言えるのかもしれない。でも、時として、悲しい結果もある。やるせない気持ちを抱いたことも何度かあった。力不足を嘆いたことは....あった。でも、良い結果を導けるか、あるいは自分の力不足を嘆くようになるか、どちらになるかを判別できる知恵など、求めたことは一度もなかった。

とにかく、頑張る。結果は受け容れます。

もう一度、ニーバーの祈りに戻るならば、変革が可能か否か(そこで働きかけるべきなのか、それとも静観すべきなのか?)がわからないから、人は過ちを犯すのかもしれない。それどころか、「何を」変えようとしているのか、自分が向かい合っている対象すらも見えなくなることもある。でも、そういった人の愚かさは、決して悪なのではないと、私は信じている。むしろ、その愚かさを受け容れることこそ、人生や歴史からいただいた知恵なのではないだろうか?悲劇は避けたい。そのための努力は欠かせない。でも、だからといってどうなるのか...一寸先は闇でもあるし、光明が差しているようでもある。

話題を代えて...浅田真央の「月の光」。

光の部分だけでなく、月の陰の部分も表現できれば、更に延びるのかもしれない。光は抽象であり、陰は具象(concreteness)である。具象(concreteness)の"cre"の部分は、音楽用語のクレッシェンドなどと同様、成長するとか、生じるという意味を語源としている。三日月(crescent)もそうだ。昔から、人は月の暗い部分にも思いを寄せる力があった。そこに何があるのかは、「わからない」。でも、具体的な(concrete)な「なにか」があるはずだ。そこに光があたり、満ちていく(increase)ことを、人々は知っていたのだろう。もちろん、減衰(decrease)して欠けていくこともあるのだが...。

選手の活躍を祈っている。でも、実体の伴った成長のためには、陰の部分を知ることが求められる。”天才”であってもである。今の真央選手について、フランス大会の敗因を探る報道がされていたが、少し無理やり感があるように思う。調整法に難があったことを指摘して、「だから、これは本来の彼女ではない」と言ったとしても、結果はもう出てしまったのだから。それに、次こそ「本来の彼女」が現れるのか、たとえ十分にジャンプ練習ができたとしても、保証はしかねるだろう。もっと具体的な陰が、彼女を覆っていると私は考えている。

もちろん、私にとっても「まさか...!」の結果だったが、試合なのだからあり得ることでもある。むしろ、世界女王の重荷を背負い、優勝して当然との雰囲気のなか、よくぞ2位に踏みとどまったと思う。ジャンプについては、数々の変調が感じられるし、NHK杯にも不安が残る。何より、トゥジャンプの乱れは深刻かもしれない。なので、NHK杯が誰が勝つかは、わからない。候補の一人に真央選手がいることは確かだが、フランス大会でのSPのルッツを見る限り、彼女は混乱の渦中にあると考えられる。あれでは、トゥを突いてのジャンプは跳べない。

それでも、真央選手ならば...と信じられる光もある。何より、国内の試合でファンを失望させたことがないという実績が、彼女にはある。その責務に耐え続けているナショナルチャンピオンでもあるのだから。真央選手なら、きっと私達を満足させてくれるパフォーマンスをみせてくれるだろう。結果が何位かはわからないが、真央選手がベストを尽くしてくれれば、あまり関係ないようにも思える。

とにかく、虎の子のフリップ。このジャンプが彼女の生命線だと思う。その出来で、セカンドジャンプが生きてくる。泥臭くても良いから、セカンドにつなげてほしい。3-2になっても勝てるだけの力が、「ジャンプだけではない真央」にはあるのだから!!(それでも、ジャンプに拘るのが真央選手らしいと、私も思ってしまうが...)

奇しくも、荒川さんがタラソワ時代に苦しんだジャンプだが、真央選手はその壁を乗り越えることができるのだろうか?

私の理解では、トゥループはリズムで跳び、サルコウはインエッジで跳び、ループはアウトエッジで跳ぶ。フリップはタイミングで跳び、ルッツは根性で跳ぶジャンプだと思う。アクセルは、多分、勇気だろう。

タラソワの振付では、どうしてもフリップのタイミングと曲とが合わなかったと荒川さんがインタビューで言っていたと記憶している。ジャンパーではないタラソワでは、そういう振付や曲とジャンプのタイミングとの齟齬は、あり得るのではないだろうか?ヤグディンの頃は、そのあたりをモロゾフが補正していたのかもしれない。

それでも、結果は出るのを待つしかない。その時に向かって、真央選手とタラソワが努力を続けていることを信じられる、それが一番の救いである。

2008年11月16日 (日)

プレーバック NHK杯フィギュア30年

波乱の多い今年のGPシリーズもファイナル進出者がだんだんと決まっており、いよいよ佳境にさしかかったかなと思います。日本が誇る浅田真央選手と中野友加里選手が韓国・高陽でのファイナルへの切符を手にするかは、シリーズ最終戦のNHK杯で決まることになると思います。二人とも初戦が2位だったので、NHK杯までに残りの椅子が2つ残されているのかも心配なところです。

その意味、あるいは安藤選手の可能性という意味でも、今週のロシア杯も注目なのですが、このエントリーの話題はテレビ放送のことです。

タイトルにもありますとおり、NHK杯30周年を記念しての特集が今週の11月19日(水)から11月22日(土)まで、NHK-BS1であるようです。リンクは↓です。

http://www.nhk.or.jp/sports2/winter/winter.html

各回50分枠の番組なので、ひとつの演技をどのくらいの時間で放送してくれるのかが心配です。でも、昔からのファンには懐かしく、最近のファンには勉強になる映像を盛りだくさん放送してくれるのではないでしょうか。

私自身は、フィギュアと本格的に向かい合ったのは、浅田真央登場以降の2005年からなので、いわゆる”ニワカ”組に属します。もっとも、最近のファンもトリノ近辺だけでなく、2007年の東京ワールドからという方々もいるので、区分は更に細かくできるのかもしれませんが...。ただ、歳は食っているので、子供の頃にお茶の間でNHK杯を観た覚えはあります。一番昔が、第2回大会で女子シングルでデニス・ビールマンが優勝した放送でした。レークプラシッドオリンピックでも4位入賞したのを覚えていたので、元祖ビールマンスピンは印象に残っています。あとは、結城幸枝という選手の名前は、なぜか覚えています。

テレビで観て印象に残っているのは、あとはアイスダンスなのですが...第13回目の大会になる1991年のウソワ&ズーリンの四季(冬だったかな?)です。あんなに美しくドラマチックな演技はみたことがなかったです。確か、男女の像に命が吹き込まれて踊り出す、そして再び元の像に戻るというテーマだったと思います。二人が絡み合うミッドラインのステップシークエンスは涙ものでした。ちょうどソ連崩壊の年だったので、選手達も必死な時代だったのではないでしょうか。次の年のアルベールビルは伊藤みどりさんの3Aと金メダルなるかに話題が集中しておりましたし、私も応援していました。でも、ウソワ&ズーリンの四季(銅メダル)とクリモア&ポノマレンコのG線上のアリア(金メダル)の、二つの旧ソビエトの競演は深い印象を持って観ました。

最近では、やはり、第27回目の大会になる2005年大阪なみはやドームでの、村主選手復活のラフマニノフです。これは生で観に行ったのですが、股関節周囲炎をおして最後まで滑りきったスケートカナダの姿とあいまって、後半のストレートラインでの拍手が忘れられません。この大会の高橋選手のSPのロクサーヌも凄かったし...。ライザチェックには悔しい大会だったかもしれませんが。あとは、テレビ朝日を救った2006年の長野での女子シングルです。優勝しかファイナル進出の道がないという崖っぷちでのチャルダッシュで、見事優勝を飾った真央選手の姿に一番喜んだのはNHKよりも、その年からGPS(NHK杯は除く)の放送権をとったテレビ朝日だったろうと思いました。

プレイバック放送ではどんな選手が出るのかわかりませんが、とても楽しみにしています。ところで、ユタカの部屋も扱うのでしょうか...。それだけで、50分枠全てが埋まりそうですが。

2008年11月 9日 (日)

バッジテスト1級を受験します

地元のリンクでのシーズンが始まり、早速11月下旬に県連主催のバッジテストがある。熱心な子供達は通年リンクのある愛知県まで、夏でもテストを受けにいくが、私にはそれほどの元気はない。そして、今年は7月にバッジテストの内容変更があり、せっかく1月に1級ステップを合格させていただいたのに、必須を受験していなかったため、1級全てを受験しなおしとなってしまった。社会人の事情とはいえ、もったいない話だ...。

クラブの先生の承諾をいただけたので、今回は1級のステップ、必須両方を受験することにする。個人レッスンの先生にもお話し、現在おさらい中だ。

合格の見込みは...自信ない。新課題の”チェンジ”図形は、できるといえばできるが、チェンジエッジと上腕のローテーションのタイミングがあわないと中途半端な動作になる。むしろ、両腕はブラブラの状態で足だけでエッジをコントロールせよという方がナンボか楽なのだが...課題は課題なので、きちんとできるようになりたい。特に、アウトのハーフサークルからインエッジへチェンジするのが苦手だが、チェンジさえすれば残りのハーフサークルは失速してもバランスは保てるので、チェンジの上半身の戻し(というのかわからないが、独特の動作がある)を頑張りたい。

スリーターンは、相変わらず氷を削る癖が残っている。何度も練習し、先生方(本当に多くの先生にお世話になっている。感謝しています。)のアドバイスを総合すると...

1.右足はきれい

2.左足はターンの時にフリーレッグが軸足から離れ、更にピョコンと膝の方へ跳ね上がる。

3.このフリーレッグの跳ねがエッジの跳ぶ原因ではないか。

4.ターン後半のバックインよりも、ターン前半のフォアアウトでエッジにのっていない。

というところまで、要因がわかってきた。

なので、ゆっくり、ゆっくり矯正中である。相変わらず、劇的に改善!という見込みはないが、地道に頑張っていきたい。ただ、11月末のバッジテストに間に合うかはわからないので、スリーターンのまずさを指摘される可能性はある。新テストでは、ワルツスリーのようにスリーターンを連続して図形を描く課題はない。しかし、バックのクロスエイトでフォアアウトに踏み替えて片足滑走からそのままスリーターンとか、スリターンとスィングロールの組み合わせのステップなど、随所に出てくる。連続でないからこそ、1回のターンの質が問われるのではないかと心配している。

たとえそれで不合格になっても、スリーターンは今後も付き合っていかねばならない技術なので、仕方ないかなと思う。結果を出す自信はないが、努力だけはせねば...という気持ちだ。

スタンドスピンも、相変わらずトラベリングとポジションの不正確さはあるが、ブレードを替えてからは、それこそ劇的に回りやすくなった。まずさの指摘はあるとは思うが、現状でも合格レベルと認めていただけると思う。ポジションの問題は、両腕をクロスした時に脇が空いていることと、フリーレッグがパラレルのパッセの位置にないこと。特にフリーレッグは、軸足から中途半端に離れているのをよく指摘される。これを意識すると、バランスを崩しがちになるのが悩みである。まだ時間があるので、少しでも改善したい。

このように記していると、「そのレベルでよく受験する気になるな」と思われるかもしれない。実際、自分でも不安に思うことはある。受験する以上は合格したいし、駄目もとで受験するのはあまり良いことではないと思う。でも、100点を目指すが、100点をとらねばならないということではないと思う。現状でも70点の見込みがあるので、受験許可をいただけるのだと思うし、残りの日数で75点、80点と少しでも得点を上げる努力をしていけば、欠点があっても良いと思う。

欠点は、今後、何年かかってでも付き合っていけば良い。来年オリンピックが控えているわけでもないのだから。

「自信はないが、許可をいただけたのだから、頑張る。」それが、正直な気持ちだ。あ、ジャンプは...多分、大丈夫でしょう。シングル+シングルのコンビネーションの課題は、サルコウ+トゥループでと先生から指示があった。

2008年11月 3日 (月)

第25回西日本フィギュアスケートジュニア選手権大会 女子SP('08.11.2.)

困った...9月末の中部選手権3日目のレポートがまだ下書きのままで、もう西日本が始まってしまった。グランプリシリーズでもエントリーにしたいものがあるし...。

でも、速報性を考えれば、やはり今日観てきたことを先にエントリーした方が良いと思う。

本日('08年11月2日 日曜日)、大阪プール・アイススケートリンクで開催された西日本大会(シニアは第34回、ジュニアは第25回)を観に行きました。時間の都合で、ジュニア女子のSPだけの観戦となりました。

会場の大阪プールは、なみはやドームよりかはアクセスが良く、大阪駅から徒歩で梅田に行き、そこから地下鉄御堂筋線で本町、そして中央線で朝潮橋と行き、20分くらいの所要時間かなと思います。朝潮橋は地下鉄ですが線路は地上の高架となっており、駅の連絡通路から会場まではすぐです。

雰囲気はなみはやドームに似ていると感じました。大きなドーム型の屋根の下にリンクがあり、ジャッジ席に向かって右側に飛び込み台があります。会場は、ジャッジ席と反対側だけに観客入場が許され、ジャッジ側は報道関係者や連盟関係者が数人居た程度です。観客の入りは結構あり、観客用の席(ジャッジと反対側)は7割ほどは埋まっていたと思います。選手関係者だけでなく、一般のファンの方々も多かったと思います。

ジャッジ席に向かって左側(入場口方向)には電光掲示板がありますが、今回は使用しておりませんでした。演技中の時間表示と演技後の点数表示は、飛び込み台の下あたりにあるアイスホッケー用の表示板で行っており、採点される選手の演技終了時点での順位は得点とともに発表されますが、他選手の順位は一切表示されないため、順位の変動が全然わかりませんでした。特に私は11番滑走から観戦し始めましたので、その時点での上位選手がわからず、難儀しました。

第3グループからの観戦で、印象に残った選手達の演技を報告します。

<第3グループ>

14番滑走 中村愛音

 リンクサイドに門奈裕子コーチが付いていました。パンフレットのコーチも門奈コーチとなっておりますが、所属は邦和スケートクラブとなっています。

6分間練習から好調な様子で、3ルッツをきれいに降りていました。衣装は黒で中央に十字架があしらわれており、'05年世界選手権の荒川選手のFS(チャイコフスキーのロミオとジュリエット)に似た感じと思いました。曲は”レクイエム”。多分、モーツァルトの作曲だと思います。アレンジはわかりません(マキシムっぽい感じもしますが、確信はないです)。

冒頭から滑りが大きく伸びやかで、ターンも堂々としており、自信を感じました。そして3ルッツはきれいに決まり、バックアウトのスパイラルも安定して6秒間を保ち、大きな半円を描いていました。中部選手権で失敗した3F+2Tも決まりました。ただ、イーグルからの2Aでステップアウトし、その後のスピンは軸がブレてました。そしてストレートラインに入りますが、リンク中央のジャッジ席付近で輪を描くように少し逆戻りをし、堂々とアピールしていました。多分、良い印象をジャッジ達に与えたのではないかと思います。

フィニッシュのポーズの直後から歓声が沸きました。得点は、56.96で、それまで首位であった上野沙耶選手(チャルダッシュで3S+2Tを降りました)から13点を上回るダントツの1位に立ちました。

15番滑走 菊田実希

 ミッキーこと菊田選手の演技は初めてみました。福岡のパピオフィギュアスケートクラブの所属ですが、シカゴで練習している選手と記憶しています。あまり好きではないので、お母様(在米のスポーツライター)のブログは読んでおりませんが、菊田選手の演技にはとても良い印象を抱きました。

曲は”ダークアイズ”。編曲はトリノオリンピックでのコーエンのものとは違います。

どちらかというと、キャラメルボックスのようなカッチリした体つきですが、滑りは非常に軽やかで滑らかでした。梅田香子氏のブログ(それでも昔は愛読していました)によれば、トリノオリンピックでの金メダルペアである、トトミアニア&マリニン組と同じリンクで練習していたそうです。そういう環境の良さもあるのか、スピンの軸やポジション、ジャンプ(特に3S)の踏み切りなど基本的な技術がとてもしっかりしていると感じました。いわゆるアメリカ仕込みというのでしょうか。今後がとても楽しみな選手です。

ジャンプは2A(これは踏み切りから回転を急いでいた感じ)、3S+2T、2ルッツで、フィニッシュのポーズもしっかりと決めていました。得点は44.9点です。

16番滑走 松原彩華

 紫の衣装で、丈は短いですがフレアのあるスカートがきれいでした。演技開始のポーズが片足を軸足に交差(左右の脚の前後の位置を見逃してしまいました)してトゥを突き、両腕はゆるやかに左右へ伸ばしています。十字架につけられたキリストのような格好かなと感じました。曲は”Dance Macabre”、今年のキム・ヨナ選手と同じ、死の舞踏だと思います。中部選手権ではファーストジャンプは3Fだったと思いますが、今回は3ルッツ、しかも助走でバックスネークを2回ほど入れて踏み切ってました。あれは意図的にスネークをしたと思うのですが...。でも、転倒です。成功したらすごく盛り上がったのだと思います。転倒を引きずることなく、3S+2Loと2Aはきちんと降りました。スパイラルでは、バックアウトの時に片手ビールマンで、もう一方の手はヒラリ、ヒラリと2度ほどくねらせていました。片手ビールマンでもう一方の手のヒラヒラは、グランプリ東海の伝統なのでしょうか?続くバックインでのスパイラルは両手のビールマンで、この対比が面白かったです。

得点は転倒による減点が1.0あり、44.08点でした。

<第4グループ>

18番滑走にエントリーされていた延原友梨奈選手は棄権とアナウンスされました。

20番滑走 小松原美里

 岡山の選手のようです。長い手足を十分に伸ばし、とても美しい演技でした。スピンも軸がしっかりとれ、特にコンビネーションの終わりにもってきたスタンドスピンは非常に美しかったです。何気ないエレメンツを正確かつ美しく演技するのは、練習の賜物ではないかと思います。

曲は”Art On Ice” ジャンプは3S+2T、2ルッツ、2Aでした。ジュニア選手権の出場資格である、バッジテスト6級では女子はダブルアクセルまでを跳べれば良いのですが、上位にくる選手はトリプルを武器にしております。

演技後のレヴェランス(お辞儀)もきれいでした。「優れたダンサーはレヴェランスも美しい」と言われますが、それを地でいっている感じです。得点は、49.94 点です。

<第5グループ>

23番滑走 細田采花

 コーチの名前を見て、「もしや...」と思ったのですが、帰宅後ググってみたらやはり...探偵ナイトスクープで登場した子なのですね。コーチに宛てた手紙(浜崎あゆみの歌の歌詞を本人がコーチ宛てのメッセージに替えた)を拾った人の依頼で調査が進んでいったと記憶しています。番組でも関西大学のリンクで練習している姿が映っていましたので、有望とは思っていましたが、まさかこんなに凄い選手だとは知らなかったです。

6分間練習では、同じグループの村上佳菜子選手と見分けがつかないくらい、身長や雰囲気が似ているように感じました。衣装は、淡いパステルカラーの緑色のワンピースでした。曲は”Tchaikovsky Remix”とありますが、チャイコフスキーのどの曲を素材にしているのかはわかりませんでした。曲調は抑揚があまりなく、衣装とあいまって大人しい印象を受けます。

しかし、演技は高難度で、特にジャンプは3ルッツを降りたのにびっくりしました。コンビネーションも3S+2Tで、2Aは左バックインのスリーターンからただちに踏み切ったと思います。右バックアウトでの助走がないぶん、難しい入り方だと思います。

ストレートラインも、後半のチョクトゥ(だったと思います)でペースが落ちましたが、それまではステップも正確で非常に見ごたえのある演技でした。得点は、52.34点です。

27番滑走 村元哉中

 名前は”かな”と読むそうです。シニアの村元小月選手の妹さんのようです。

曲は”さくら”で、電子楽器の伴奏にバイオリンのソロが入るアレンジです。衣装も淡いピンクで曲の雰囲気にぴったりでした。

ジャンプは、最初の2ルッツでステップアウトし、おそらくここで予定していたであろうコンビネーションジャンプが入らず仕舞となり、2A(バックスパイラルからすぐに踏み切ったと思います)、3Sと続きました。 ストレートラインも丁寧に踏んでおり、各ターンで描く図形もおおきくはっきりしておりました。

得点は、46.12点です。

すみません。あと村上佳菜子選手だけですが、限界に近いので寝ます。続きは明日にします。本当にごめんなさい。(11月3日深夜1時記)

おはようございます。一晩寝て復活しました。このエントリーで報告しているジュニア女子SPの結果は、連盟のリザルトサイトでもアップされたようです。全日本ジュニアへの枠は、7で藤沢亮子選手が出場しなかったので、彼女プラス上位6名が通過となるのではないかとお世話になっている方からうかがいました。ただ、未確認情報であることをお含みおき下さい。その6位には上述の菊田選手となっており、そこから13位の渡邊真子選手までは5点差です。トップから3位までの中村、細田、小松原選手までは少し抜けた感じですが、4位の村上選手から20位の友滝選手までは10点の間に17名が接しており、誰が全日本のキップをとるかわからない状態だと思います。

延原友梨奈選手は、今年の6月に岡谷のアイスショーで元気な演技を観たので(ヴァネッサ・メイの”Choreography”というアルバムの一曲目のサブリナ ダンスだったと記憶しています)、棄権はとても残念でした。藤沢選手は棄権とのアナウンスはなかったので、ジュニアグランプリシリーズでの活躍が評価されて全日本は推薦枠をとれたのではないかと想像しています。今回観られなかったのは残念ですが、名古屋での全日本ジュニアを楽しみにしています。しかし...出場選手を考えると、シニア同様ジュニアもプラチナチケット化しそうな心配があるのですが、まさか...大丈夫だと思いますが...。

その藤沢選手と共に12月に韓国で開催されるジュニアグランプリ ファイナル出場を決めたのが、村上佳菜子選手です。2年前の西日本選手権では、撮影者用の大きなビブスを付けてお姉さんの友季子選手の演技をリンクサイドから撮影していた子が、本当に大きな選手になったのだなぁと、しみじみ思います。今回の大会もシニアのお姉さんと揃っての出場です。観客席のジャッジ席に向かって左側後方にグランプリ東海の選手達が応援していたようで、吉田美理選手の元気そうな姿も見かけました。おそらく友季子選手も一緒だと思います。

28番滑走 村上佳菜子

 6分間練習は好調で、高さのある3ルッツを堂々と決めていました。その後は、やはり高さのある1Aを繰り返し跳んでおり、踏み切り時の氷の感触を確かめているのかなと思います。

会場の大阪プールなのですが、施設のサイトでのイベントスケジュールで確認すると、10月一杯までプールからアイスリンクへの転換工事をしていたようで、工事完了の最初の稼働がこの大会だったようです。ですので、リンクはできたての状態で大勢のスケーターに踏み固まれたという経験がないのかもしれません。転換工事直後は、例えば2007年にさいたまスーパーアリーナで行われたジャパンオープンでのリンク作りでは、本番前日にボランティアを動員して集中的に氷を踏み固めたとも聞いています(伝聞情報です)。今回の大会の前にこのような作業がされたのかはわかりませんが、リンクコンディションは普段、練習しているリンクとは異なることがフィギュアの大会では往々にしてあると思います。

今回の大会では、それほどジャンプ失敗が目立ったわけではありませんが、中部選手権での、特にシニア女子の状況は、会場の愛・地球博記念公演アイススケート場の氷が固い(本当に固いです。滑るのには良いのですが、体重の軽い女子が跳ぶとなると..)こともあったのではないかと私は考えています。ですので、普段はフィギュア専用の恵まれた氷で練習していたとしても、大会で結果が出せないという事態は想定しておく必要があるのかもしれません。

話が逸れましたが、村上選手が慎重に、何度も1Aを高く踏み切っていたのは、そういう氷の質を確認してのことかなと思ったのです。もしそうなら、こういうところにも、国際経験が生きているのかもしれません(想像ですが...)。6分間練習の最後に、3F+2Tを降りました。調子は良さそうです。

直前に演技をした村元選手の得点発表を待っている間に、リンクサイドの山田満知子・樋口美穂子両コーチに向かって、うんうんと2度うなづいていました。そして、両腕をギュっと力を込めてから脱力する仕草を繰り返していましたので、かなり気合が入っていたのかもしれません。

ただ、ジャンプに関しては、樋口豊氏風に言えば、「今日は村上さんの日ではなかったかもしれませんね」です。序盤の滑走は非常に早く、最初から非凡さをアピールしていたのですが、3ルッツで転倒、続けてリンクを縦断しての3Fでも軸が大きく右に傾いての.転倒でした。「頑張れ」の声があちこちから聞こえます。ダブルアクセルも空中ではっきりと軸が傾いていましたが、根性で降りたという感じです。

衣装は縦に白と黒のツートンカラーのワンピースで、曲は”Limelight Theme,Modern Titina Chaplin Reoue-Green”とあります。ググってみたところ、”Titina”はモダンタイムスの挿入歌のようです。おそらく、チャップリンの映画の曲をいくつか使ったプログラムだと思います。コミカルでキャッチーな村上選手らしいものです。ジャンプが失敗すると気合の空回りが目立ってしまいがちですが、堂々とした演技で曲の雰囲気をよくつかんでいたと思います。スピンもステップも速度がダントツで、やはり外の世界から凱旋してきた選手という印象を持ちました。ただ、ストレートラインのブラケットは、少し甘いのかもしれません。

演技後にメモを書き込んでいたので、表情を見るのを忘れていたのですが、それほど悲観した雰囲気でもなかったとも思います。こういう経験を踏みながら選手達は大きくなっていくのかもしれません。得点は転倒による減点が2.0で、46.50点でした。PCSは中村選手とほぼ同じなので、コンビネーションを含めてジャンプが決まれば、二人の空中戦となっていたかもしれません。もしそうなったら、ジャンプは3Fからのコンボを持つ村上選手、ステップとスピンは中村選手に分があるのかもしれません。今後が楽しみです。(追記、中村愛音選手も3F+2Tのコンビネーションでした。ジャンプは互角ですね。)

全体として、高いレベルでの接戦を堪能できました。高難度の技術だけでなく、基本的な要素もしっかりしている選手達がいたことは、今後に明るい希望だと思います。特に、小松原選手はジャンプも安定していましたので、これから伸び伸びと育ってほしいなと願っています。選手の良し悪しを観る視点は様々ですが、私はノーマルポジションでのスパイラルに注目しています。フリーレッグを頭ー体幹のラインから外へはみ出して挙げている選手は、背筋と内転筋が弱く、エレメンツのポジションについて指導者から細かく教えられていないと考えています。でも、予選を勝ち抜いた選手達は、さすがにそういう点では気にならないものだと改めてレベルの高さを感じました。

女子ジュニアは、関西・四国勢の強さを感じます。これは、関西大学の支援も大きいのかなと思います。名古屋を中心とした中部勢も、伝統に加えて中京大学にサブリンクも予定され、エリート候補の育成まで行ってくれると思いますので、シニアトップ選手に次ぐ世代も期待できると思います。

ただ、リンク環境が良くなっても、コーチの先生方の多忙さはどうなのだろう?とも心配しています。シニア、ジュニア、ノービス、そして初心者を有力なコーチが一環して指導するシステムが主流だと思いますが、爆発的に増えた入門者への対応がもう少し整理されないと、素質はありながらも伸び悩む選手が多く出てくるかもしれません。その意味で、大学は選手だけでなく、指導者育成にも力を注いでほしいと願っています。特に、初心者対応を考えずに有望ジュニアの青田買いをする姿勢には、若干の疑問を持っています。筋力と意欲に富んでいる大学生の初心者を指導すれば、スポーツ科学的に多くの知見が得られると思いますし、選手としては活躍できなくても、大学卒業後に指導者になる逸材も出るかもしれません。とてももったいないと思っています。

そういう思いを含めても、とても楽しく、今後に夢の持てる数時間でした。

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