« ジャンプの体系について(私案) | トップページ | 倦まず弛まず »

2008年9月 8日 (月)

ハーフサークルについて

ココログのアクセス解析で検索ワードをみてみると、時々ハーフサークルなどコンパルソリー課題についての言葉がみつかる。それとは関係ないが、ある大人スケーターの方のブログにもハーフサークルが課題との記述があった。多分、コンパルソリのコツをネットから探してみようと考えている方々は結構いらっしゃるのではないだろうか。

私の思いつくままに字面を並べているこのブログが、他の方にどのくらい役立つかはわからないが、「枯れ木も山のにぎわい」とも言うし、私が考えていることを記させていただけたらと思う。ただ、スケートのコツはひとそれぞれの相性もあるので、自分には合わないと思ったら容赦なく却下してほしいとも感じる。

<ハーフサークル>

・全体に通じて言えるのは、体の引き上げの感覚を大切にすること。筋トレ重視の私ではあるが、やはりフィギュアスケートはバランスのスポーツでもあると思う。もちろん、バランスをとるにも、体幹のインナーマッスルを始め、様々な筋肉を使うが、「意識」や「感覚」を得ることは、筋力を増すこと以上に大切である。

・後述すると思うが、バックインでのハーフサークルでは、私は”マンボウになった気持ち”という感覚を大切にしている。間違ってもヒラメやカレイではない。マグロもどうかと思う(アクセルジャンプなら、マグロ的な勢いの良さは大切だと思うが)。こういうのは、わかる人にはわかるが、わからない人には「なんだそれ?」となってしまう。でも、身体感覚というのは、そんなものだと思う。マニュアルに記述してある通りにやれば、誰でも体得可能というものでもない。その代わり、練習していれば、いつかはできるようになるものだが。

・もう一つ、上半身のローテーションの意識は、極意に近いものがあると思う。ローテーションを上手に行うと、失速しつつある滑りが生き返る(=速度を回復する)感覚を覚えることがある。普通に考えて、初速から減速したものが、新たな力を得ないのに速度を増すことはあり得ないと思う。なので、主観的な感覚によるものだと思う。あるいは、高速スピンへの移行のように、回転角が減ることで、保存されていたエネルギーが速度増加に向かうというように、物理的に説明できるのかもしれない。主観であろうと、客観であろうとどちらでも良いが、上半身のローテーションを大切にすれば失速を免れるという事実は、忘れてはいけないと思う。

・結局のところ、コンパルソリは、片足で滑るバランスと上手なローテーションが複合した動作だと思う。蹴り出しのスムーズさは大切だが、強く蹴れば元の位置へ戻れるというものでもない。逆に、練習中に失速して途中で止まっても、それは悲観するものでもないと思う。バランスとローテーションをきちんと意識できるようになれば、自ずと氷を滑るようになっていく。勢いだけで結果を出そうとするよりかは、経過を大切にしてのんびり結果を待った方が良いこともあると思う。これは、無理やりダブルを跳ぼうとするジャンプでのケースでも言えるが。

・コンパルソリの練習し始めは、片足で滑るだけで精一杯であり、上半身はぐらつくし、腕を水平に保つなんてとんでもない、という状況かもしれない。少なくとも、私はそうだった。それで先生に何度も注意を受けた。でも、自分的にはそれでオッケーと思っていた。もちろん、それで十分とは考えていなかったが、今はできていないことを自覚していれば、いずれできるようになると考えていたので。それよりも、今できそうなこと、とにかく(上半身がグラついてもいいから)片足で滑ること、最初はそこから始めていた。

・以前、練習仲間の方と論争になったが、上半身をしっかり保たないときちんとエッジに乗って滑れないか、あるいは、きちんとエッジに乗らないと上半身は安定しないか、どちらなのかは、大きな疑問である。今の段階での私の結論は、両方ともあり得るということである。コンパルソリを練習する時、やはり上半身をしっかり保つことを、私は大切にする。そして、蹴りだし直後からエッジにきちんと乗ることも必要だと思う。両方を同時にきちんとやらないと、きれいなトレースは描けないだろう。

・でも、両方が同時にできない段階なら、どちらかを頑張れば良いのではないかとも考える。理想はあるが、それに拘っていたら、”二兎を追うもの一兎も得ず”になるかもしれない。むしろ、何かが上達すれば、それに連動して他のものも上達するのがフィギュアの面白さでもあると思う。上半身が安定すれば、自ずとエッジも定まってくると思う。エッジに自信がつけば、上半身や腕の動きを意識するゆとりも生まれる。

・「これができないから、あれもできない」ではなく、「これができるようになれば、あれもきっとできる」といった、ポジティブな考え方は、フィギュアにはなくてはならないものだと私は信じている。

・ただ、今の自分に足りないもの、今後越えないといけないハードルは明確にした方が良い。これは、コンパルソリだけに限らないが...。なので、インストラクターの先生に教えて頂くことは大切であるし、可能ならば上級者の練習の様子をしっかりと見ること、これに勝るものはないかもしれない。でも、一足飛びに上達するものでもないので、自分なりに上達のロードマップを描くことは大事だと思う。

前置きが沢山になったが、ハーフサークルを個別に考えていきたい。

<フォアアウト&イン>

・最初の姿勢を大切にしてほしい。滑ることに意識を置くあまり、きちんと姿勢をとらないままに蹴り出しをして、結局バランスがあやふやになって苦労するというケースもある。バックほど蹴り出しが難しくないので、おろそかにしがちになるが、引き上げの意識をしっかり保ち、両腕と両肩を氷面に対し水平にする。この姿勢をきちんととらないと、バランスを維持することは大変になると思う。

・ローテーションについては、私は複数の先生から二種類の方法を教わった。両腕を90度に開き、滑走につれて少しずつ回していき、半円の半分のあたりで前に出す腕と横に出す腕が代わるようになるのが、ひとつ。もうひとつは、最初の姿勢は同じだが、滑走中も腕は回さず、半円の半分で一度両腕を下ろして、前と横に出す腕を代えて水平に挙げなおすというものである。一人の先生ではなく、複数の先生方に教わったのは、私の事情である。子供達にそのようなことがあると混乱させてしまうので好ましくないが、大人はそれぞれの先生方の考えを客観的に受け留めることができるので、私は良かったと感じている。ローテーションはコンパルソリの肝でもあるが、それぞれの方法に理があるので、両方のやり方でできるように練習した。というか、一方ができたら、自然ともう一方もできるようになっていたが...。

・蹴り替えは、後ろTの形をとって行うのが一般的だと思う。それまでのスケーティングレッグを90度横にして、後ろT字の横線の部分にするのは少し難しい(後ろT字の縦棒は蹴り替え後にスケーティングレッグになる方の足)。アウトエッジで滑っていた場合には、T字にする時、軽くインにチェンジエッジして、ちょっと勢いをつけて横に向けている(私の場合)。インエッジで滑っている時には、ほんの少しインへの加重をきつくしてから横に向ければ良いと思う。この蹴り替えの時に一瞬インに入れるというのは、バックの時にも使うテクニックだと思う(先生の手本を見よう見真似でやっているだけなので、確信はもてないのだが)

・滑走中にフリーレッグをどこにつけるかも、先生によって指導が異なる。内踝といわれる先生もいるし、フリーレッグを進行方向に対して直角に向け、踵につける(後ろT字の形)といわれる先生もいる。どちらも共通するのは、フリーレッグをスケーティングレッグに密着させること。練習のし始めは、フリーレッグをブラブラさせてバランスをとることをしやすいが、見栄えだけでなくバランスを保つことを考えても、フリーレッグをきちんと収めることは大切だと思う。

・半円の大きさは、身長の3倍だったと思うが、それと同時に、自分がどこを滑ってどこに向かうのかをイメージすることはとても大切だと思う。「正確にエッジを当てれば自然と円形に滑っていく」と私に言った方がいたが、正直、大間違いだと思っている。フィギュアスケートは、ボディコントロールの側面がものを言うスポーツでもある。物理的条件を組み合わせれば正確に滑れるというものではない。自分のパフォーマンスに自分で責任を持つという意味で、自分のパフォーマンスをイメージする責任がスケーターにはある。そのイメージの実現のために身体をフルにつかわねばならない。

エッジの角度と勢いを定めれば自ずとトレースを描けるという考えは安易である。

なので、「あなたはどこに滑りたいの?」という質問に常に答える用意がなくてはいけないし、自分の描きたいトレースを常に頭にイメージして滑らなければ、フィギュアスケートとは言えないと思う。もっとも、ステップ中のロッカーの場合は、S字トレースを描けたか否かよりもフォアインからバックインに入れられたことだけで満足している自分もいるのだが...。

<バックアウト&イン>

・バックは蹴り出しが命だと思う。ここでスムーズにエッジに乗れるかで、後半の勢いが決まってしまう。なので、練習の始めは、半円を描けるかよりも、スムーズに蹴り出しができるか、あるいは蹴り出しの直後からバックエッジに乗れるかを意識した方が上達が早いと思う。

・半円の前半部分では、フリーレッグはイン&アウトともに前方へ出すのが一般的だと思う。ここから少しずつ体を伸ばしていき、後半は踝につけて次の蹴り出しに備えるのだと思うのだが、フリーレッグはグラつかない方が良いのは、フォアと同じである。「グラつくな」と言ってもグラつくのが悩みの時期もあると思うが、これは正しい姿勢を覚えるのが早道だと考えている。アウト&イン共に、蹴り出し直後はフリーレッグと同側の腕を前に出す、いわゆる”ナンバの姿勢”をとると思う。蹴り出したらすぐにこの姿勢をとれるか、身体に覚えこませることが大切ではないだろうか。これは、理屈もあるのだが、何より感覚で覚える必要があると思う。

・このバック滑走での姿勢だが、ナンバであると同時に半身でもある。イン&アウト共に円周の外側に体を開くことを要求される。というのも、バックのハーフサークルの場合、フォアとは違って両腕はなるべく円周に沿って大きく開くことが要求される(と思う。自分はそうしてきた...こればかりで申し訳ないが...)。両足で立って、腕を片方を前に、もう一方を後に開いてみればわかるが、両腕を前後に開くためには上半身をしっかり捻らなくてはいけない。この捻りが大切なのだ。

・ちょうど、ネジを巻いたゼンマイのようなもので、バックで蹴り出した直後にきちんと両腕を前後に開けば、上半身の捻りに力が蓄えられている。スケーティングレッグで円周を進んでいるうちにこの捻りは解消され(腕を回すのではなく、円周に応じて腰が回るのだと思う)、この時に開放されるエネルギーもコンパルソリでは使っていると思う。蹴り出しの勢いだけでは、例えば整氷から時間の経った荒れた氷でサークルを描くことはできないだろう。やはり、片足でのバランスと正しい姿勢によって蓄えられたエネルギーの開放も作用しているのではないだろうか?

・半円の半分で腰は回りきり、捻りによるエネルギーは使い終わってしまう。なので、ここで両手の前後の位置を逆にして、もう一度捻りを生じさせる。で、最後まで滑りきることができる。やっぱり、コンパルソリはローテーション命なのかもしれない。

・それで、”マンボウになった気持ち”だが、この前後の腕の開きのことを言っている。フォアでのハーフサークルは、両腕を90度に開くので、横方向の関係も作用する。でも、バックでのハーフサークルは、両腕を前後に開くので、横への開きはない。人間の体は上下に大きい(=身長が高い)。それに加えて、前後への開きも大切になるので、扁平な体を縦にして泳いでいるマンボウみたいだと感じている。バックでのハーフサークルの姿勢の場合、進行方向(背中側)の手(スケーティングレッグ側)がマンボウの胸びれ、顔側の手(フリーレッグ側)とフリーレッグがマンボウの尾びれの位置にあたる。トレースが波打ってはいけないが、マンボウのように上下と前後にバランスをとって上手に進むのが、バックでのハーフサークルのコツだと考えている。

・それで、両腕を前後に開くと上半身に捻りを生じるということだが、言ってみれば当然のことである。これは、コンパルソリだけでなく、ジャンプの回転を生む力にもなる。ジャンプの踏み切りの時には左腕をしっかり前に出すと先生に指導される。右腕はなるべく後ろにとも言われる。両腕をこの位置にすれば、上半身にナチュラルな捻りを生じるのはバックのハーフサークルと同様である。結局、ジャンプも助走から踏み切りまではコンパルソリの応用なのだろう。

・右利きの場合は、左回り(=反時計回り)なので、後ろ向きジャンプの場合は、必ず左腕を前に出す。そうすると、ルッツやフリップはスケーティングレッグと同側の腕を前に出すことになる。ハーフサークルの姿勢と腕の前後位置は逆になっている(左足のバックエッジに乗る時は、左腕を後ろにし、右腕を前に出すのが基本)が、そのために左バックエッジから踏み切るジャンプはエッジエラーが起こりやすいのかもしれないと思った。

« ジャンプの体系について(私案) | トップページ | 倦まず弛まず »

コメント

書くのが遅くなっちゃった。
いや・・・凄いボリュームです。

賛同できるところ、??と思うところ色々ありますが、先生が違うと、色々言うことも違うんだなぁと参考にナリした。

コンパルソリーがステップの技術と直結(といっても違うところもありますけど)するのは当然ですが、
ねくすとさんが言うように、コンパルソリーの技術ってジャンプとか、スピンとかに凄く通じる物があると思います。
少なくとも、うちの先生もそう言ってます(笑)

「マンボウになった気持ち」
最初意味が分からなかったのですが、読んでくうちに納得です!!
でも、この表現、伝わりにくいかも(笑)表現としては好きですけどね。

>参考にナリした。
「参考になりました。」でした。済みません。

>yuujiさん

コメントをありがとうございます。長文を読んで下さっただけでも感謝です。あと、エキシビションお疲れ様でした。動画で拝見しました。素敵な牛さんでした。
応援に参りたかったのですが、色々ありまして...あと、頸と肩の痛みが強くて寒い中での観戦は、今は辛いです。リンクやプールで自分で動かす分には良いのですが...。仕事中はいつもタオルを肩にあてて保温に努めてます。炎症を起こしていないので、練習は続けています。

コンパルソリについては、エントリーを出してみて改めて感じたのは、自分でも確信の持てない事ばかりということです。私もインストラクターの先生から手取り足取り教わってきたのですが、その先生の承諾を頂いて教室で習った時期もありますので、先生によってやり方に違いがあるのは実感しています。

あと、肝心なところは、正直、教えてくれなかったです。やり方は丁寧に教えて下さいますが、結局は「自分で練習しなさい」 「できるようになりなさい」という感じでした。バックの極意(?)である、”マンボウの気持ち”はそのような試行錯誤の中で自分で見つけた感覚です。

でも、それが良かったのかなと思います。何度も練習して、本当に大事なことは自分で”わかる”こと、もしかしたら、それが名古屋流なのかもしれません。

姿勢については、かなり厳しく指導されました。ローテーションの意味、そして失速してもエッジを外さなかったら進み続けられる(上手に表現できないのですが、何かがあるのですよ)ことなどは、この姿勢重視という先生の指導から教えられたことだと思います。

でも、ハーフサークル、サークルなどコンパルソリは初歩的なものでも、よくわからない不思議な世界です。なんとなく、なんとなくで練習しているだけというのが、本当のところかもしれません。大橋和夫先生の「基本レッスン スケート」は今も参照しておりますが。ですので、私の記すところと違うと考えられても当然かもしれません。結局のところ、

”Do't think , Feel!”

がコンパルソリの極意かと。

また、よろしくお願いします。

あと、蛇足ですが、お二人のエキシで、出会った後にエスカミーリョが背中側にフリーレッグを交互に入れていくバッククロスをやってました。スタンドスピンで前Tのポーズをとった後です。

あれは、私もルーチンで練習しておりますが、バックアウトにエッジを乗せる良い練習だと思ってます。

こんにちは!私のブログへの書き込みありがとうございました!コメントに気づくのが遅くなり、すみません。
私はバックのハーフサークルでつまづいているので、とても勉強になりました。蹴り出し直後も焦ってしまいますが、「ナンバの姿勢」を意識したいと思います。それができたら、「マンボウ」も意識したいと思います!
これからも勉強させていただきます!

キタムラさん、おはようございます。

コメントをありがとうございました。
現在は医療関係の仕事をしておりますが、一年だけ保険のセールスマンをしたことがあります。ですので、ファイナンス関係の勉強も少しだけしており、キタムラさんのブログで、また勉強させてもらえたらと考えています。

セールスマン当時は、最大の敵がAIG傘下の某有名生保の通販商品でした。最近のニュースをきくと、隔世の感があります。

コンパルソリ、特にバックは難しいと思いますが、身につくと色々な動作に応用できます。どうか、頑張って下さい。蹴り出し後の姿勢は大切だと思います。
ただ、先生によって指導の仕方は違うかもしれませんし、ブログに書き込んでいる時は氷上ではなく、床で動作を思い浮かべていますので、間違いもあるかもしれません(ごめんなさい!)。このあたり、訂正の作業もせねばなりません。

ですので、ネットにそんなこと書いてあったなぁ~、くらいの気持ちで受け留めて下さい。上のコメントにも記しましたが、大橋和夫氏の「基本レッスンスケート」という本は、持っていると重宝すると思います。絶版で中古しかありませんが、私は満足しています。

長々としかエントリーが書けませんが、どうか気長にお付き合い下さい。楽しいスケート生活をお祈りします。

この記事へのコメントは終了しました。

« ジャンプの体系について(私案) | トップページ | 倦まず弛まず »

バナー

フォト
無料ブログはココログ