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2008年9月28日 (日)

’08年中部選手権2日目('08年9月27日)

1日目に続き、9月27日(土)にあった2日目も中部選手権を観に行った。この日も仕事の予定が入っていたので、夕方からの観戦になった。ノービスAは観れず、ジュニア男子SPから。

昨日のシニア男子が3人だったのに比べると、ジュニア男子は5人でにぎやかだった。何年かしたら、この選手達がシニアへと上がるのだろう。ただ、ノービスはAB合わせても男子は5人の出場で、最年長は小学6年生なので、男子シニアがブロック大会で10名を越えるのは、今後も難しいかもしれない。

ジュニア男子SPでは、木原龍一選手が6分間練習からタイトな3回転ジャンプを決めており、目を引いた。ただ、本番ではステップアウトが続いたと記憶している(メモをしていなかったので、すみません)。それと、今年からジュニアに上がった吉野晃平選手。THE ICEでも披露してくれた「情熱大陸」だったが、ラテン的なリズムを上手に生かし、好感の持てる演技だった。上下の動作がはっきりしており、ダイナミックさを感じる。ジャンプは失敗していたが、成長期の途上だと思うので、今後の練習次第でどんどん伸びていくのではないだろうか。滑りが滑らかだし、期待の持てる選手だと感じる。

ジュニア男子で全体を通して感じたのは、上半身の弱さだった。伸ばした腕が猿手(肘が伸び切て肘頭が下に向いてしまった形。「あ~あ」と言う時にする仕草に似た腕の形)になっているのが気になった時間が多かった。ダンスほど腕の形を厳密には言われないのだろうが、猿手になるのは大胸筋や上腕二頭筋、それと肩周囲の細かい筋肉の未発達によるものと、私は考えている。腕立て伏せとかを練習メニューに入れると良いと思うのだが...。サッカー選手が上半身を鍛えるのは、相手からのチャージにも崩れない安定性を得るため。同じ発想はフィギュアにも求められると思う。もちろん、サッカーやアイスホッケーのように誰かが迫って来るわけではないが、フィギュアの場合はスピードや回転によって生じる反動が敵にあたる。動作の際に必ず生じる反動を上手に処理し、常に安定した態勢を保つためには、やはり上半身の筋力は必要である。それをおろそかにすると、スピードや反動に負けて腕が体幹から置いていかれてしまうと、私は考える。見た目もあまり良くないのだが、なによりバランスを崩しやすく、ジャンプの入りで不利になりやすいと思う。

ジュニア選手権女子は、見ごたえがあった。特に第2グループに有力選手が固まっていたが、中村愛音選手が素晴らしい演技を見せてくれた。THE ICEの時よりも体が絞れているように見えたし、迫力を感じた。ジャンプも滞空時間が長く、回転の軸も戻っていたようだ。コンビネーションでは、第一ジャンプの3Fでランディングに失敗して転倒してしまったが、空中ではしっかり回っていた。助走からフェンスに近づいていたので、それが気になったのかなと、見ていて思った。転倒ではあるが、迷いのない思い切った踏み切りで、復調の印象を持った。先輩の鈴木明子選手も頑張っているし、クラブ内(明子選手は会社のスケート部の所属だが,,,)でも刺激しあっているのだろうか?邦和スケートクラブでは、同じ女子ジュニアで、三ツ矢真惟子選手、峯尾旭選手も、きれいな軸と滑りで印象に残る演技だった。やはり、中村選手に力が戻ると嬉しいものを感じる。

今年からジュニアに上がった松原彩華選手は、プログラムに”Dance Macabre”と書いてあったが、演技を観て「死の舞踏」のことだとわかった。確か、サン・サーンスの作曲の方だと思う。トリノ五輪でスルツカヤがSPで使ったリスト作曲(マキシムバージョンだが)ではない方だった。昨年と同じプログラムだと記憶している。滑り込んでいるのか、とてもゆとりを感じる演技だった。ジャンプは、思いっきり遠くにトゥを突き、力をしっかり溜めて踏み切っている。私は、この跳び方を自分の時もイメージさせてもらっている。女子選手は、特にトゥループでは右バックアウトになったらスケーティングレッグのすぐ側にトゥを突いて回りながら踏み切る傾向があるように思う。それが、踏み切り時のスッポ抜けや空中でのパンク(軸を締め切れずに落ちてしまう)につながるのではないかと考える。踏み切り時の力のベクトルが明後日の方向に行くので、失敗につながりやすいのではないだろうか。

松原選手のような踏切りは、姿勢を維持するのに大変ではあるが、やはりトゥジャンプでのトゥを突くことの大切さを教えてくれているように感じる。

ジュニア女子選手のジャンプで思うのは、ルッツの助走で右バックインにかぶせる形で左バックアウトにクロスするのは良いのだが、結局エッジはインに寝て踏み切っているように見える場合もあったことだ。クロスしても上半身(やはりここに来るのだが)の姿勢をまっすぐに維持できなければ、エッジはエラーしやすいと思う。ルッツとフリップのエッジを厳しく見るのは、もう既定の路線なので仕方ないのだが、筋力の弱い日本選手たちには不利なルールと、つくづく感じる。強引に足首で外へ倒すのではなく、全身の軸でアウトエッジを保つことが肝要だと思うのだが...。

選手権女子は、後藤亜由美選手が気を吐いていた。SPで42.80点でトップに立った。まだ高校1年生で、昨年はジュニアに出ていたようだ。リンクサイドには、一宮の女性のコーチが立っていた。

曲はジプシー・キングスとプログラムに書いてある。「それは演奏者では...」と小一時間...。実際の曲名は、”Vamos A Bailar(バーモス・ア・バイラール)”で、もちろんジプシー・キングスの曲。なのでボーカル曲なのだが、上手にイントロや間奏だけで編集してある。タイトルは「さぁ踊ろう」という意味で「ルンバ&ファンクな曲」(GIPSY KINGS THE VERY BEST OFの歌詞カードより)なので、ボーカルが凄くエモーショナル。でも、インストロメンタル部分も滅茶苦茶かっこう良くて比較的長いので、私自身、マスターズで使えないかと考えていた。同じことを後藤選手(振付は宮本賢二さん)も考えたのか、一つの競技会用の作品に仕上げてしまった。もう、とにかく格好良かった。3T+2Tの第一ジャンプでステップアウトしていたが、そんなのは関係ないくらいに会場を暖めてくれた。

ちなみに、”GIPSY KINGS THE VERY BEST OF”というアルバムは、とてもお買い得感のあるCDだと思う。バンボレオやジョビジョバといったヒット曲はもちろん収録されている。「鬼平犯科帳」のエンディングテーマの”インスピレーション”がトリをつとめているし、サラ・ブライトマンの”DIVA”に収録されている”ラ・キエロ”がジプシー・キングスの曲だったこともこのアルバムで知った。キリン端麗生のCM曲もある。そして、白眉は、晩年のチャップリンが涙したという”A Mi Manera(マイ ウェイ)”、そして幻の(amazonに注文してかなり経つのにまだ来ない)名盤”ルバイヤート”に寄せた”Hotel California”だろう。

後者は、本家イーグルスのツインギターのリフレインが好きなのでそこだけ物足りないが、伝説の名カヴァーヴァージョンと言っても良いと思う。脱線が長くなったが、後藤選手の使った曲は4曲目に入っている。

2位は浅田舞選手。曲は、”Somewhere in time”。邦題は「ある日どこかで」という映画のサウンドトラックで、アイスダンスのデュプレイユ・ローゾン組がトリノシーズンに選んだ曲と同じだと思う。もう、とにかく、映画みたいだった。本田武さんがリンクサイドで見守っていたが、その隣に、山田満知子先生(次の滑走が吉田美理選手だったからだと思う)。持参の椅子と毛布にくるまれて舞選手の演技をじっと追っている満知子先生を見ていて、とても懐かしい風景のような気がした。曲が曲だけに、ほんのひと時のタイムトラベルだった。演技後、本田さんに山田コーチが何か声をかけていた。舞選手の演技のことなのか、世間話なのかは、もちろん客席からはわからなかったが。

ジャンプは随分戻ってきたと思う。ステップも情感を込めて軽やかで、開放された喜びを感じるような、舞選手らしい演技だった。ストレートラインでつまづいたのは、仕方ないと思う。点数的には残念だが、それだけのリスクを賭けて難しい技に挑んでいるのだろう。

もう一人、とても印象に残ったのは、曽根美樹選手。SPは”篤姫”ということで、出だしから日曜夜8時のNHK総合だった。でも、決してウケを意識しての選曲ではないと思う。本当に気持ちを込めて滑っていたし、曲の流れと振付に乖離はなかった。イメージ先行の無理を感じなかったのだ。点数は、信じられないくらいに伸びなかったが、私はとても好きになった”篤姫”だ。最初は、袖が薄手ながらもちょうちんみたいに膨らんでいて違和感を覚えたが、終盤のレイバックでその袖がたなびき始め、着物調の上着と穏やかなコントラストを醸し出していた。「ああ、曽根選手はこういう世界を描きたかったんだ」と感じた。

お茶の間の沢山の人達が見て、聞いている”篤姫”。曽根選手も感じるものがあったのだろう。その、曽根選手の”篤姫”を、観ている私も感じることのできる、要するに「共感できる」演技だったのだ。非常にわかりやすく、優しいSPだった。終盤のストレートラインは、大河ドラマのオープニングでは流れない部分だったが、とても軽やかで清清しい曲と動きだった。曲の抱く世界を観客に提示する、フィギュアスケーターにとっては本当に大切な役割だと思う。西日本選手権行きは、今日のフリーにかかってくるが、是非、沢山の方々に観ていただけたらと思う演技だった。

大島遙選手と立松香織選手が欠場していた。大島選手は、ずっと中部のフィギュアを引っ張ってこられた選手だし、ジュニアで活躍した立松選手がどんな演技をみせてくれるか楽しみにしていた。なので、とても残念だった。

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