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2008年8月

2008年8月24日 (日)

振付完了

7月のうちに振り移しの大半は終わっていたが、その後はステップやジャンプなどエレメンツの指導をしていただいていた。今日、久しぶりに曲かけをしていただき、最後の終わり方まで振り移しがされた。これで、”アフリカンシンフォニー”は全部の振付をしていただいた。

曲かけと言っても、営業時間中にスペースを縫いながらのものなので、シーズンが始まって貸切で滑り込んでいけば、また変更があるかもしれない。でも、基本的な骨格は出来上がったはずだ。残念なことに、9月には仕事の都合もあって、マスターズのエキシビション大会は断念した。知人も出場するので、応援には行こうと思っているが。地元では12月の大会があるが、初級しか私は持っていないので1分のプログラムで出場すると思う。なので、このプログラムのお披露目は、来年5月のマスターズになるだろう。それまでにエレメンツの精度を上げ、滑り込んでいきたい。

課題は山積である。できるものを積み上げてではなく、できない、あるいは今まで習っていないものもプログラムに入れていただいたので、完成度を上げるためにはかなり練習しないと見通しすらたたないと考えている。

特に...

最難関が、スパイラルシークエンス中のインサイドエッジでのイナ・バウァー。

ほんのつなぎ程度なのだが、私は股関節が非常に固いので、イーグルやイナ・バウァーは全くできない。ストレッチもやってはいるが、進捗は芳しくない。基本的には、インサイドのモホークターンを両足同時にやるようなものなので、エッジの乗り位置を覚えればある程度の形にはなると思う。しかし、「両足同時」というのが、脚が開かない者には至難の業なのだ。

そして、Tストップ。

これはイントロの冒頭にある。Tストップそのものは以前の1級の課題だったので、ある程度の練習はしており、一応形にはなっている。しかし、振付では前後に脚を開いて前側の足でストッピングをし、後ろ側はトゥを突く形となる。バランスをとるのが難しいし、やはり股関節が開かないのでも苦労している。

もう一つ、ブラケット。

これは、ストレートラインの前半にある。ブラケットターン単体ならば、フォアはインもアウトも左右できる。バックからは試したこともないが、多分できないだろう。ステップシークエンスでのブラケットというと、スリーターンとの合わせ技が一般的なようだ。今回の振付でも、左足で、バックインスリーからすぐにフォアアウトブラケットで戻すという形で入っている。これは非常に苦手だ。ここにも、股関節の固さが関係している。

ターン単体なら、下半身だけでなく上半身も連動させて向きを変えられるので、それほど苦労はない。しかし、スリーの後ですぐに戻す場合は、なるべく上半身は動かさず、足元だけでのエッジワークで処理した方がやりやすいようだ。この下半身だけの動きをスムーズにするならば、やはり股関節の稼働域は広い方が良いだろう。なので、苦労している。

練習中は何度も転んで恐怖心すら覚えていた。恐怖心というと大げさに感じるかもしれないが、大人のフィギュアではよくあることだと思う。ジャンプにしても、氷から一旦離れて着地するなど、普通に考えるとすごく難しいというか...やっぱり怖いことだと思う。アクセル以外のシングルジャンプは、今はなんとなく降りられるようになったが、アクセルはまだ体が納得してくれない。怖いので、両足で降りるのがやっとだ。この時に無理をすると、体が緊張してむしろ思うような体勢がとれなくなる。下手をすると怪我の原因になるかもしれない。なので、体が納得して怖いという感覚が薄れるまでは、私は無理をしないことにしている。

そういう事情もあって、いわゆるブラケットも苦労しながらのんびり練習している。ただ、プログラムに入っているため、できるようにならないといけない。なので、動作を吟味しながらじっくり取り組んでいる。

バックでのターンで気をつけないといけないのは、ターンの際に踵側に重心を乗せないといけないということだ。ところが、踵に乗りすぎるとバック滑走では躓いてしまう。これを恐れて乗り位置を甘くするとターンができないし、踵に乗りすぎてバランスを崩せば転んでしまう。しかも、バックターン(この場合はバックインスリー)ばかりに気をとられると、次のフォアターン(フォアアウトブラケット)がおろそかになる。

先生から教わったコツは、バックインスリーの際に進行方向(左足ならば左側の体側)を十分に緊張させ、軸を崩さないことだ。

あと、私の感覚で思うのは、軸と反対側の胸(左足ならば胸の右半側)の緊張も緩めず、最初のターンで回りすぎないこともコツだと思う。回りすぎれば当然、次の戻し(フォアブラケット)が大変になるので。しかし、回しすぎを警戒しすぎると、ターンそのものが甘くなって不正確なエッジでのターン(フラットエッジで氷を削るだけ)になってしまうので、エッジの意識は忘れてはいけないと思う。要するに、回りすぎてはいけないし、不十分でもいけない。上半身は緊張を保ち、下半身は円滑に動かす、このような相反する要請を同時にこなすのが、バックスリー→フォアブラケットの一連の動作では求められるようだ。

そのための練習としては、一番ポピュラーなのは、滑りながら捻りー戻すー捻りー戻すという動作を繰り返すことだろう。もちろん、私は片足ではできないので(これができればスリーブラケットもできているはずなので)、両足で繰り返しながら重心を踵と爪先にタイミング良く置くことを覚えるようにしている。この時も上半身はなるべく動かさないようにと意識している。

タイミングを覚えれば、きっとそれほどの力を使わずにできる動作かもしれない。しかし、崩れそうなバランスを保つためには、やはり上半身の筋力がものをいうこともある。上半身を崩さないためには腹筋・背筋をしっかり保つことは大切であるし、ターンが回り過ぎないためには、先ほども記した通り、大胸筋の緊張で勢いを吸収させることが必要になる。なので、氷上での動作のためには豊かな筋力を養うことも有益ではないだろうか。

他にも、難しいターンもあるし、苦手のスピンもスタンド・シット・クロスと3種類もある。更に、ジャンプはシングルアクセルとダブルサルコウがまだできない課題として残っている。スピンは、頸の調子もあって沢山の練習をするとめまいがひどくなる。なので、少ない機会を有効に使わないといけない。おそらく、最後まで苦労するのはスピンだと思う。

結局のところ、課題山積もいいところだが、大好きな曲で演技できることになったので、頑張るしかないというのが結論だろう。

2008年8月 2日 (土)

THE ICE ’08年7月26日(土) 夜公演後半

(前半についてのエントリーからの続きです)

舞&真央のペア演技が終わり、前半終了とのアナウンスがある。でも、すぐに休憩時間とはならない。氷上に舞台が急造される。確か、その間に、フィナーレの真央&バトルのコラボレーションで使用される曲の候補が紹介されたと記憶している。

http://www.ctv.co.jp/straight/0806251155/figure.html

でリクエストを募集していたそうで、トップ5をこの時間に紹介してくれた。

記録していなかったので、記憶に頼っているが、トップ5の中には、

・天空の城ラピュタの中の曲

・ディズニーのアラジンの中の曲

・アヴェマリア(これが第5位なのは覚えている)

・ダンシングクィーン

の4曲が紹介され、実際にコラボで使用される第1位の曲はフィナーレまでのお楽しみということだった。その他、少数意見として、「川の流れのように」と他一曲(すみません、忘れました)が紹介されていた。

私はもちろんリクエストはしなかったが、個人的には”ドンキホーテ”か”TIME TO SAY GOODBYE”が二人に合っていると思う。美空ひばりよりかは、森進一の「襟裳岬」の方がバトルらしいと思うが、ファンの方々は賛成されないかもしれない。

舞台が設営されたら、昨年も楽しませていただいた、トークコーナーになった。ここまで打ち込んで、思い出しました。舞台準備中にしていたのは、フィナーレで客席も参加する短いダンスの振付でした。本田アナウンサーがビデオで振付指導していたので、思い出しました。その本田アナウンサーが舞台に登場し、ゲストは長洲未来選手と安藤美姫選手。スケートアメリカの前哨戦なのか...?

本田アナウンサーは、選手の気持ちや本音を引き出すのが上手なインタビューをされると思う。ズームイン!!フィギュア以来、多くの選手達と接しているからだと思うのだが、他愛のない内容でありながら会場が沸くような選手の一言をプレゼントしてくれるので、本当に嬉しくなる。

今回のトークでは...

・安藤選手がリンク裏のプリクラで変顔を映していた。「見た~い」との会場の声に、安藤選手が公開は固辞。

・海外にはプリクラは少なくて、高価と、長洲選手。裏技をやっていたようだと本田アナが問うと、操作法がわからないので適当に押していたらフレームが出てきただけと。

・安藤選手からは、色々と教えてもらっていると、長洲選手。スケート技術のことかと思いきや(昨年は3Aの跳び方を教えて欲しいと真央選手に言っていた)、日本語のことらしい。それに対し、RとLの発音を安藤選手は長洲選手から教えてもらっているとのこと。

・昨年、真央選手からみそかつを勧められたので、今回矢場とんで食べたと長洲選手。どこの店舗かを詳しく聞こうとする安藤選手。結局、豚の看板があるかで、ラシック店と特定した様子。「あそこでもみそかつが食べれるようになったから...」とか、栄のタウン情報に拘る安藤選手。長洲選手としては、トンカツに味噌をかけるというので、大きなカルチャーショックを受けたらしい。

・安藤選手なら、未来選手をどこに案内するかとの本田アナの質問に、自分の家の喫茶店とのこと。あんかけスパを食べさせたいとの安藤選手に、「タラコスパ、好きです」と長洲選手。安藤選手はそのままスルーせず、あんかけスパを説明する。アメリカ人にわかるのだろうか...?続けて、小倉トーストも食べさせてあげたいとの安藤選手の解説に、みそかつ以上のカルチャーショックの様子。私的には、そんな高カロリーなもの勧めんでくれと...ちょっとだけ思う。

・実は、安藤選手はみそかつに味噌をかけないで食べていたが、矢場とんで本当のみそかつを食べれるようになったとのこと。「これで、愛知県人(だったかな?)になれました。」と安藤選手が言うと、続けて、「私もみそかつを食べて日本人になれました」と長洲選手。この一言に、会場から大きな拍手。

2年後も、多分彼女はUSA代表だと思う。真央選手が14歳であった時のような露骨な騒動は見たくない。むしろ、日本の心を大事にしてくれるUSA代表がいてくれるなら、そんな嬉しいことはないと、私は思う。彼女はアメリカで育ったのだから、立派に母国の代表になってほしい。でも、遠くで活躍する孫を見守る気持ちで、海の向こうの長洲選手を応援していきたいと、私は感じている。ご両親の祖国でもある日本、そして初めての海外アイスショーを体験したであろう日本は、彼女にとっても故郷であろうから。

・今後の抱負として、長洲選手は、「シニアに出場し、安藤選手にも沢山お世話されるので(のような感じの言い回しだった)、頑張りたい」。言いたいことが、今ひとつわからなかったが、これも彼女の大きな魅力だと思う。スェーデン出身のABBAの英語のイントネーションがネイティブなものとは違ったことが、英語圏での人気の秘密であったと、洋楽の評論家の小林克也氏が言っていた。私達のような日本のネイティブではない、しかも帰国子女でもない、それでも親近感を抱かずにはおれない魅力が、長洲未来選手にはあると思う。

・安藤選手は、「多くの人やファンの支援があって、今は氷に乗るのが苦痛でなくなった。体調も良くなっているので、一戦一戦を頑張りたい」といった内容のこと。”苦痛でない”との表現に一抹の不安を感じる。でも、氷と向き合う距離感を模索するのは、決して悪いことではないと思う。勝利を至上とするのなら別だが、安藤選手の成長や頑張りを演技に観たいのであれば、安藤選手にしかわからない氷との付き合い方を見つけていくのは、良いことではないかと...漠然とだが感じた。

トークコーナーが終わって整氷となる。舞台から去る時に、本田アナは舞台セットにしっかりつかまって氷上を歩いていた。ヒールの靴だと氷はきついだろうな...と。

休憩は20分間くらいだと記憶している。屋外に喫煙コーナーがあり、私はタバコは吸わないが、外の空気を吸いにそこへ行った。以降、後半の演技です。(出演順の番号は、前半から引き続いています)

ここからの入力までには日が経ってしまい、演技そのものの記憶が薄れてしまいました。演技の感想はネットでも多くの方々がレポートしていますので、「それ以外」の雑多なもので薄まった分をつなげていきます。 すみません。

10.ダン・ツァン&ハオ・ツァン CANTO DELLA TERRA

日本でも、そして気迫のトリノ銀メダルで世界でも愛されているジャン&ジャン。多くの方々が感想で言われているとおり、男性のハオ・ツァンの滑りと動きの滑らかさが目を引いた。これが女性だったら、「恋でもしているのか?」という疑問を抱きたくなるのだが、実際のところはわからない。

女性のダン・ジャンが2006年のトリノ以降怪我がちのようであるし、彼自身も2007年東京ワールドSPでのリフトミス(回転数オーバー)で大きく順位を落とすという経験もしており、あと一歩のところで頂点を逃しているペアという印象もある。なので、今年こそはと期するものがあるのではないだろうか。特に、女性の負担を気遣ってハオがいっそう頑張るつもりならば、素晴らしい演技が観られるかもしれない。

曲の”CANTO DELLA TERRA”(邦題は「大地の歌」)は、聴いた覚えがあったので調べてみた。サントリーのモルツスーパープレミアムのCM曲で、アンドレア・ボチェッリというテノール歌手が歌っているそうだ。その時に面白いことを知った。

http://www.sarah-brightman.jp/brightman/ttsg-sarah.html

の記事で教えていただいたが、サラ・ブライトマンの”Time To Say Goodbye ”とのデュエットもボチェッリがしているし、そもそもこの曲の元となった”Con Te Partirò(コン・テ・パルティロ)”はボチェッリが歌っていたのをブライトマンが耳にしたらしい。

ただ、この記事で疑問符をつけたい部分がある。”Time To Say Goodbye”が初めてお披露目されたのがボクシングのヘンリー・マスケの引退試合である、ロッキー・ロッチアーニ戦という部分なのだが...。これは、ヴァージル・ヒルとのIBF・WBAライト・ヘビー級統一タイトル戦(1996年11月23日)のことではないかと思う。

ロッキー・ロッチアーニというボクシング選手の名前に引っかかりを感じて、あれこれ検索して気がついたのだが...(ロッキーというボクシング選手で思い当たるのは、映画のロッキーの名前の由来であるマルシアノしか知らなかったので、第三のロッキーかと思って調べ始めた)。

http://www.boxrec.com/list_bouts.php?human_id=3363&cat=boxer

によると、ロッキーと引退試合をしたというヘンリー・マスケは、1996年のバージル・ヒルに統一世界戦で負けて引退している。昨年、リヴェンジマッチをしているが...。ロッキー・ロッチアーニという選手との試合の記録はない。

”コン・テ・パルティロ”をWikipediaで検索すると、ヘンリー・マスケとバージルヒルとの1996年の試合を引退試合としており、そこで、ブライトマンはボチェッリと共にリング上で歌ったと記してある。私は、こちらの記事の方を信じたい。

この試合、統一世界戦であるので結果的に引退試合となったが、試合前から彼が引退を決意していたかは私にはわからない。敢えて曲のタイトルを変更したのだから、やはりさよならをファンに言うつもりでリングに上がったのだろうか? でも、ヒルに負けつつも、”Time To Say Goodbye”で去っていく姿を想像すると、すごく格好良いとも感じる。サラに余談を続けると、サラ・ブライトマンの公式サイトに記してあったが、”Time To Say Goodbye”は、ドイツで史上最も売れた曲とのこと。この試合でのデュエットがいかに衝撃的であったかが想像できる。

ジャン&ジャン(リストには”ツァン”と記されているが、やはり”ジャン”の方が馴染みがある)とは全然関係のない話を長々とすみませんでした。でも、スポーツや歌の背景には様々なドラマがあって面白いと思った。

演技後、競技会でよく目にするオレンジ色のバナーを振っていた人達がリンクサイドの席に居た。ああいうのは、選手達も嬉しいだろうなと感じた。

11.中野友加里 The Romance

SPの曲で、PIWの豊田公演でも披露された演目とネットで読んだ(私は豊田の公演のチケットを獲らなかったので後悔している)。安定感のある演技であった。SPなので、安定感というのは欠かすことのできない、プラスの意味の感想だ。ただ、フィギュア本来から考えれば、敢えてバランスを危うくする中で生まれる調和こそ醍醐味だと思うので、あまりに安心して観られる演技は面白味に欠けるとも受け取られかねない。でも、彼女の場合は、日本の女子でのビールマンスピンの先駆けとか、ドーナツスピンの魅力の発見とか、伊藤みどり以来のトリプルアクセルの復活(同じ大会でネリディナも成功しているが)といった他者にはない強みを持っている。それらがアクセントとなって、中野選手の演技からは、安定しながらもワクワクさせるものを感じている。

スルツカヤのような足替えビールマンとは違うが、ビールマンポジションから足を替えてキャッチフットに移るコンビネーションはとても美しかった。あと、ジャンプの種類を忘れてしまったが、軸がきれいにとれていたと思う。独特の癖が少なくなっているのだろうか?今後の競技会と合わせて注目&応援をしていきたい。

12.エヴァン・ライサチェック Billy Jean & wall to wall

やはり衣装は黒。

演技は弾けていた。やたら跳び、ステップを踏み、いつになったら滑るんだろうと思いながら見ていた。途中でムーンゥオークを入れていた。曲もマイケルジャクソンだし。

13.サーシャ・コーエン Hurt

一番懸念のあった選手。できれば来て欲しくないというのが、観る前の気持ちだった。

トリノ後のCOIでは素晴らしい”黒い瞳”を演じてくれ、トリノの興奮を静岡まで引き寄せてくれた。それで十分だった。同じ公演でのスルツカヤを目にして、この二人の思い出はトリノの姿で留めておけば良いと感じた。なので、2006年から2年経った現在のコーエンは、目にしたいと思わなかったのだ。

でも、コーエンは居た。若干ふっくらしたのだろうか?そして、キレを包み込む和らぎを演技から感じた。コーエンは相変わらずコーエンだった。でも、きっと人間的にも素晴らしいのではと感じずにはおれない震えが伝わってきた。アギレラの曲のタイトルのように、傷ついた2年間だったのだろうか?でも、傷ついたからこそ得た温かみもあるのかもしれない。

ジャンプは、シャープな回転力よりも高さで確実さを増すように変えてきたように見えた。もっとも、暗い照明の中であったし、コーエンが健在である驚きに目を奪われていたので間違いかもしれない。スパイラルは、コーエンの代名詞であったバックアウトでフリーレッグを前に挙げての、支持無しポジションではグラついていた。でも、シャーロットポジションでは、フォアとバックの両方をみせてくれた。確か、2006年のCOIの”黒い瞳”では、冒頭のバックでのシャーロットを省いていたと記憶しているので、この二つのシャーロットはとても嬉しかった。

紹介のアナウンスでは、今季の世界選手権やバンクーバー五輪を見据えているとのことであったが、本当に競技会に戻ってくるのだろうか?学年では鈴木明子選手と同じであり、中野友加里選手の一つ上なので、年齢で考えれば現実的だと思う。シニアに上がったばかりの若手選手達が元気なアメリカではあるが、オリンピックは特別だろう。チームUSAとして考えれば、2009年のロサンゼルスでの世界選手権で女子3枠を取り、その一つを、二度のオリンピック経験を持つコーエンに与えてチームリーダーになって欲しいと考えてもおかしくはないかもしれない。

不安で一杯だったが、演技の後は、戻ってきてくれてありがとう、という気持ちで一杯になった。

【アンコール】コーエン&ライサ&長洲 We will Rock You

全米チャンピオンが3人揃ったということで、アンコールが用意されていた。

コーエン 2006年、ライサ 2007,2008年、長洲 2008年 の優勝者。

2008年のワールドチャンピオンが男女シングルで揃ったことが、今回の目玉だと理解していたが、こんな隠し玉もあったのかとびっくりした。全日本で言えば、安藤選手(2003,2004)と真央選手(2006、2007)のチャンピンがいるし、この二人は世界チャンピオンの経験もある。

もしも、予定通りジュベールが参加したら、2007年(東京)と2008年(イェーテボリ)の二つの世界選手権の男女チャンピオンが揃ったのだ。愛知に...。ジュベールは来なかったが、ヤグディンが来てくれた。世界選手権で4回チャンピオンになっているのだから、やはり凄いメンバーが揃ったのだとつくづく思う。

COIは歴代のチャンピオン経験者がプロに転向しての素晴らしいエンターティメントを披露してくれる。大人のアイスショーだと思う。でも、”THE ICE”は現役の、今季もチャンピオンを狙っている逸材達の競演となった。ジャン・ジャンにしても、カー姉弟にしても、友加里さん、明子さん、小塚、そして未来!!来年同じショーを行った時に、3つの世界大会でのチャンピオンが顔を揃える可能性だってあるかもしれない。真央選手が連覇して凱旋するかもしれないし。

そういう意味で、このショーは、明日へのチャンピオンズ オン アイスと言えるのかも、と考えた。その輪の中にコーエンを呼んでくれたことに、本当に感謝したい。

さて、演技だが...アンコールなので、それほど一生懸命は観ていなかった。すみません。退場時にコーエンがノリノリで、バックアウトのクロスの連続(左右交互にクロスするので真っ直ぐ後ろに進む)で腰を振りながら戻っていった。途中でライサのムーンウォークの真似をしようとしていたのかもしれない...よくわからないのだが...。

14.ジェフリー・バトル Ribbon in the Sky

女性の観客の方々がキャーキャー言っていた。

途中で南スタンドのフェンスに腰掛けてアピールしていた。

昨年はディズニーのヘラクレスを力強く演じてくれていた。その4ヶ月前の東京での不運に負けずに滑り続けるという、強い意志を演技から感じていた。そういう意味で、バトルにとってこのショーが験の良いものであってほしいと思う。今季も頑張れ!と思う。

豆腐の角に頭ぶつけて...(略

と感じないでもないが...。

大体、バトル&真央でペアって...(後述)。

15.安藤美姫 Bolero

DOIではパっとした印象を持たなかったが、今回は強烈なインパクトを受けた。やはり、DOIでは体調が悪くてパワーが出なかったのだろう。冒頭から、足首でリズムを刻んで氷を押さえており、それが体全体の演技へと伝わっていた。多分...だが、弦楽器で3つ弾く伴奏の2・3拍目を腕の動きで表現していたと思う。それが統一感を現し、演技の印象を決めていたようだ。

ボレロは、音楽表現が命だと思う。ドラマ性とか、具象とか、そういうもの以前に、リズムから生まれる躍動感を空間に表せるか、そういう意味で、安藤選手のボレロは素晴らしかったと思う。圧巻は、バックでのシャーロットからのジャンプ。抜けてしまいシングルだったが、踏み切りのエッジは何だったのか、非常に気になった。もしも、LBOだったら、とんでもないことだと思う。予期せぬ動きだったので、踏み切り足が右だったのか左だったのかも見ていなかったが。ロングエッジ判定に苦労している選手達への挑発とも理解できるのではないだろうか...?彼女にそういう意図があるとは思えないが、演技において正確なエッジワークができることが今ほど価値を持つ時期はないのかもしれない。

16アレクセイ・ヤグディン

リスト表には”Overcome”と書いてあるが、ネットの感想を読ませていただくと違う演目だったらしい。照明が落ちている間に椅子を押して西側サイドに誰かが滑ってくる。すぐに照明がついてわかるのだが、白衣にナースキャップをつけた女性。幸い、客席が近かったのでコーエンであることはすぐにわかった。ボクシング姿のヤグディンが滑っている間、しきりと手に持った用箋挟(仕事用のバインダー)を見ていた。首には聴診器を下げている。ちょっかい(求愛かも)に来るヤグディンを押し戻すのが彼女の役目だったらしい。

ヤグディンは、いつにも増して胴と脚が太くなったようにも感じる。それでも、きれいな回転で3T?を降りてくれた。私がコーエンの方に目をやった時に大きく転倒してしまった。会場がどよめくが、すぐに演技を続けて拍手が鳴る。精彩を欠いているようにも見えたが、やはりネットからの情報だと、膝の怪我がひどいとのことだ。それでも、依頼を果たしてくれた気持ちは、すごいと思う。

あまり格好良いボクサーではなかったが、それでも挑み続ける、そんな姿勢を感じた。コーエンはさっさと戻っていき、残された椅子はヤグディンが片付けていたが...。

17.浅田真央 sing sing sing

革命的。

この一言で良いと思う。

ステージダンスのグルーブ感とスケーティングのスピード感を融合させると、こういう演技になるのだろう。氷の上をスニーカーでも履いているかのように踏んでしまえる真央選手は、間違いなく最高のエンターティナーだろう。

小塚選手も氷上を自在に踊れるが、彼はあくまでも滑って演技している。信じられないような方向にエッジを向けることもできるが。真央選手は、トゥであろうとエッジであろうと、氷をとらえたらすぐに離すことができる。だから、軽々と氷上を翔けられる。そして、巧みにターンを織り交ぜるので、観る方は唖然とするしかない。

この曲もボレロと同じで、冒頭からのドラムのリズムをいかに表現できるか、それが勝負だと思う。トランペットやクラリネットのアドリブの基になっているのも、このドラムなのだろう。ドラムのリズムはボレロのよりも速く、細かく、そして躍動的である。だから、ボレロよりも難しいのではないかと考える。曲同士に優劣をつけても不毛だが。

しかも、曲の大半はアドリブ部分である。曲が演技を助けることは期待できない。むしろ、聴衆も観衆も一人のパフォーマンスに集中する場面だ。緊張感がみなぎる。このアドリブいかんで、ステージの成否が決まると言っても過言ではない場面だろう。よく、こんな部分を演技の曲に選んだと思う。冒険と言えないだろうか。

帽子の扱いなどは、幼さを感じたりもしたが、スケートの部分は貫禄を感じた。このギャップを沢山の人達が楽しんでいるのだろう。もちろん、私も。

DOIでの”tango por una cabeza”でも思ったが、本当に信じられないことをする。

フィナーレとして、リクエスト第一位の曲で真央選手とバトルとのコラボレーションが披露された。曲目は、今年のディズニーの映画で使われるというもので、全然知らない。でも、お姫様が王子様と出会う、全幕もののバレエでよくある終幕の結婚式の場面に似た雰囲気は感じた。赤いコスチュームにティアラをつけた真央選手がまず登場。軽くステップを踏みながら滑っている。そして、王子の登場。

王子...私は真央選手のファンなので、そもそもこの企画には感情移入できないので感想を言っても仕方ないが...あまり格好良くない。単体ならリンクに映えるのだろうが、真央選手のオーラがまぶししぎて、「スミマセン、オオスカンノン、ドコデスカ?」と道を尋ねる外人みたいに見えてしまった。ジェフリー・バトル自身は好きなスケーターだし応援している。優勝した世界選手権でのフリー”アララト”は本当に素晴らしい演技だった。あまり得意でないと他の人から教えてもらったが、彼の3ルッツの空中での姿勢が私はすごく好きだ。上半身を思いっきりふり絞って軸をしっかり自分のものにしてしまう。ああ、ルッツはこうやって跳ぶものかと感動してしまったことがある。

でも...真央選手とコラボするには...ジュベールの方が...と素直に思った。アイスダンスのようにローテーショナルリフトをする場面があったが、見るからに重そうに持ち上げていた。彼は自分の体を空中に跳ばすことには長けているだろうが、女性をサポートするのには慣れていないのかもしれない。シングルの選手だから当然だが...。

やっかみの気持ちはもちろんだが、浅田真央のファンとしては楽しめないコラボであったのは確かだ。でも、何の演出もなければ、「現世界チャンピオンの二人が揃っているのに何もしないのか」と思うだろうし、勝手な言い分だと我ながら思う。やはり、デュエットでは角が立つので、安藤選手とヤグディン(怪我なので実際には無理だが)の世界チャンピオン経験者も交えて、4人でのコラボが一番穏健かもしれない。うん、グループ交際がいいよ。二人っきりはまだ早いと思う。

全体の感想については、前に沢山触れたので、ここでは特に良いと思う。一番思うのは、また来年もあってほしいということ。そして、今年出場してくれた選手達が笑顔で、胸を張って来年も参加してほしい。もう一つ言えば、スイス国旗がリンクサイドで揺れなかったのは寂しかったので、来年はランビとマイヤーにも来てほしい。

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