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2007年9月

2007年9月 8日 (土)

軸をつくること

軸について考えるエントリーの3つ目です。フィギュアスケートにおいては「軸」はとても大切な概念であり、私が陸上で行う練習の大半は軸のためと言っても過言ではありません。ですので、しつこくなりそうですが...エントリーを重ねていきます。

今、頭で考えているのは...

1.軸をつくる

2.軸をまとめる

3.軸をとる

       の3ステップです。

1.「軸をつくる」ことは、このエントリーで考えていきます。2.の「軸をまとめる」というのは、体にある運動の軸をなるべく細くした方が運動(主に回転ですが)もタイトになるようです。そのために何を意識したら良いのかを考えるつもりです。ただ、このことについては、私にはわからないことが多く、手探りの状態なので上手に文章にまとめられるかが不安です。3.の「軸をとる」というのは、普段は体の中心を縦に通っている軸線が、運動の性質、例えば片足バランスとか、空中での回転(右利きの人は右軸をとります)とかでは、軸の位置を意識して変える必要があるようです。そういったことを考えてみれば、自分の技術向上にも役立つかなと思っております。

それで、「軸」を考えるうえで、ステップ1.となる「軸をつくる」ですが...(以下、~である調で記します)。

基本的に、人には運動するための軸は備わっていると思う。二本の脚で立位をとるためには、重い頭を高い位置で支えられるバランスが必要なのだが、日常の中では何気なくできているようだ。それは、立位をとった時にバランスをとるための軸が、既に形成されているからとも言える。歩くことを覚え始めた子供はよく転ぶが、これはもちろん、体の骨や筋肉が未発達なためでもある。でもそれだけではなく、立った時にバランスをとることを十分習得していないためでもあると思う。バランスをとる働きは、小脳という頭の後ろの下にある脳が役割を担っている。なので、脳梗塞などの病気で小脳の機能が障害されると、筋力はあって麻痺ではないのだが体のバランスがとりにくいという障害が起こることがある。体の軸が失われる現象と私は考えている。

実際、リハビリテーションの現場では本当に多くのことを教えていただける。単に筋力を増すだけではなく、養った筋肉をいかに上手に使うか、そういうことの大切さを教えていただいている気持ちになる。普段何気なく行っていることが、いかに絶妙な仕組みで作用しているか、日常の大切さを学んでいると言っても良いと思う。だから強調させてほしいのだが、誰にでも「軸」はある。あるいは、病気でそれを失った方々は、再び軸をつくるためにリハビリをしていると言っても間違いではないと思う。

もちろん、歩行するためにも体に軸がなければできない。頭から体幹に至る中央に軸線があり、それを中心に肩や骨盤を前後に小さく振りながら歩行しているイメージだ。この前後のスィングをせずに脚だけを振り出して前に進もうとすると、まるでロボットの歩行のようにぎこちなくなる。(最近はとても滑らかに歩くロボットもあるようなので、ぎこちない歩行の喩えにするのも適切でないのかもしれないが...。)ここからも、普段の生活でも無意識のうちに体は軸を保っていることがわかってもらえると思う。

もう一つの例だが、私達がトイレに入る時、よほど広くなければドアをくぐって180度方向転換をしなければドアを閉めたりしゃがんだりできないと思う。ターンやスピンの練習の時、「回転運動は普段にはない動き」と先生から教わるし、私も仲間に言ってしまうことがある。もちろん、720度(360度を2回転)とか1080度(同じく3回転)などといった多回転運動はまず考えられない。でも、90度や180度のターンは椅子に座って机に向かうとか、車の乗り降り、あるいは方向転換などでよくあると思う。360度にしても、来た道を引き返そうと思ったけどやっぱり止めた、などといった状況ではあり得る。こうした日常生活でのターン(たいがいは両足を交互に使ってゆっくり動作するが)も、もちろん体に軸が備わっていなければ不可能である。

そうすると、日常生活で無意識に使っている体の軸と、フィギュアスケートで養わなければいけない運動軸の違いなのだが...。基本的には日常生活での軸の応用だと私は感じている。ただ、”意識して使えるか”が問題になるし、軸をまとめていく必要もあると思う。例えて言えば、日常の歩行とファッションモデルのウォーキングは、軸を使っての歩行という共通点はあるが、軸の使い方が全く異なるというのと同じだと思う。何気なく歩くのと、魅せる歩き方では、同じような運動でも質が異なるのだ。この相違は、軸への意識の違いでもあるし、いかにコンパクトに運動軸をまとめているかの違いでもあると思う。

前者の”軸への意識”の大切さについては、以前のエントリーでしつこく記したと思う。また、後者の”軸をまとめる”については、別エントリーで考えるつもりだ。その中間にある、「軸をつくる=既にある軸を意識できるようになる」ためにどうするか?をもう少し考えたい。

普段の生活でも備わっているはずの体の軸を、何気なくではなく意識して使えるためには、どんなトレーニングが必要なのか...?最近の美容関係のテーマでもあるような気がする。少し前に、体の内なる筋肉を意識するためのエクササイズをNHKで紹介していたし、ピラティスもそういう目的ではないかと思う(しっかり勉強した訳ではないが)。いわゆるインナーマッスル(関節や体幹の内側の筋肉)を意識して使うことが軸の意識にもつながると思う。もちろん、それらの筋力の増強は軸の強化にもつながるだろう。具体的なエクササイズについては、もう沢山の情報があるのでそちらに譲りたいのだが、少しだけ記す。ただ、エクササイズの適否には個人差が大きいと思うので、回数やおもりの重量などの記述は省かせてほしい。あくまでも、「こんなエクサイズはどうでしょうか?」という程度の話であり、気になった方法があれば専門のサイトで更なる検討をしていただけたらと思うのだ。

私は、大腿骨から骨盤と腰椎をつなぐ腸腰筋のエクササイズには数年前に通信販売で買った腹筋エクササイズの器具を使っている。名前を忘れたのでググッてみたが、現在は”ABスリマー”という商品名で販売しているようだ。これを、体を起こすのと同時に両膝を体幹の方へ引き寄せるように挙げれば、多少は効果があるのではないかと期待している。ただ、この運動は腹直筋など他の筋肉も関わってくるし、インナーマッスルの名の通り表から見ても筋肉の発達は確認できないので、あまり強くはお勧めできない。気長にやっていれば、何かいいことがあるんじゃないか、くらいの気持ちでやっている。

中臀部筋は骨盤の位置を安定させるためには非常に重要だと考えている。これは、理学療法士さんに”フロア ヒップアブダクション”という方法を教えていただいた。少し調べれば、「ああ、このポーズか」とすぐに理解していただけると思う。

腹筋については、表層にある腹直筋も大事だと思うのだが、インナーマッスルとして腹横筋や腹斜筋への意識が骨盤や腰椎の安定のためには欠かせないと思う。このためのエクササイズは、どちらかというと、ピラティスなどに取り入れられているのではないだろうか?私は、バレエの先生に教えていただいた方法で、深い呼吸を繰り返しながら背骨をまっすぐの状態での、ゆっくりとしたシットアップ(最後には上体を屈めていくが)をやっている。

インナーマッスルを意識して軸をつくるためのエクササイズとして、一番お勧めできるのは、両足(裸足の方が良いと思う)を並行にぴったりつけ、体をピンと伸ばして頭をずっと上の方に持ち上げる感覚(いわゆる”引き上げ”の感覚)を保ちながらゆっくりと両足の踵を持ち上げ、またゆっくりと降ろしていく方法だ。本来はカーフレイズというふくらはぎの筋肉のためのエクササイズだが、ポイントは両足を揃えること。そして、体の引き上げを維持してゆっくり行うこと。上手くすると、体の芯に筋が通り、そこでバランスがとれているのがわかると思う。このエクササイズは日元倶楽部という会社の方にオーダーメイドのインソールを作っていただいた時に教わった方法だ。

作っていただいたインソールについては、「軸をまとめる」のところで記せると思う。

インナーマッスルのことから外れるのだが...。強調したいのは、首の位置の安定である。頭は地面から一番離れた所にあり、重量も体重の13%くらいあるそうだ。なので、頭がグラグラしていては軸が安定しないだろう。胸鎖乳突筋などの首の筋肉を太らせると首が太く見えてしまい、それは演技の印象を悪くすると思う。なので、首の回りの筋肉(僧帽筋)を鍛えることをスポーツトレーナーからは提案された。軸受けをきちんとしておけば軸も安定するという理屈とのことだ。主にラテラルレイズというダンベルを使ってのエクササイズをしている。他に、やはり通信販売で購入したボディーブレードを愛用しているので、これでも僧帽筋などを鍛える運動をやっている。ボディーブレードは気軽に筋トレができるので、とても重宝している。

あと、腕はフィギュアの動作の際にはやじろべえのようにバランサーの役割をするので、正しい位置に置くことが大切になる。実際には、意識がそこまでいかず不適切な腕の動きためにバランスを損なうことを経験したりする。肩の筋肉である三角筋は腕を上げ続けるのに必要だが、ここを鍛えることで両腕で大きな楕円を保つことが容易になる。フィギュアの動作というと、腕は常に同じ位置にはないという印象を持たれる方も多いかもしれない。でも、自分がトレーニングしていて感じるのは、両腕の位置(特に高さ)が安定していると軸がとりやすいということだ。見た目には忙しく動かしているように見えても、両腕をダランと下げている姿勢はないと思う。常に一定の高さは保っており、しかもその高さが安定していると軸も安定する。逆に、腕の動きの意識が乏しく、変な位置に腕が下がっていると跳べるはずのジャンプも出来ないことがあるし、スピンの軸が外れてしまうこともある。なので、腕を支える肩回りの強化も軸を保つためには大切だと考えるのだ。このエクササイズは、前述のラテラルレイズと、やはりダンベルを使ってのショルダープレスを行っている。

最後になるが...。運動のための軸を作るのに理想的なトレーニングは、クラシックバレエのバーレッスンだと思う。バレエというと、優雅な動きや豊かな表現力というイメージもあるが、その土台となる安定した姿勢の保持がなければ一切が無になってしまう。美味しいケーキの条件に質の良いスポンジが挙げられるようなもので、人を魅了する動作には安定した姿勢の保持が絶対に必要だ。なので、バレエのバーレッスンでは正しい姿勢で軸を保ちつづけ、しかも四肢を適切に動かすためのレッスンを繰り返し行う。手足をどんなに素早く動かしても、体の軸はブレない。そういう身体機能を有することは、フィギュアスケートにも大きなメリットがあると思う。クラブの子供達の多くがバレエのレッスンも受けているようだが、その恩恵は今後現れてくるのではないかと期待している。

以上、思いつくままに記したが、勉強不足であったり表現が適切でなかったりする所に気づくと思うので、随時書き改めていきたいと思う。なお、筋肉には遅筋だけでなく速筋もあるし、それがフィギュアの動きでは重要になることも多々ある。なので、ゆっくりした筋トレだけではパフォーマンスの向上にはつながらないと思う。要求される動作を吟味し、そのためにどんな機能が求められているのかを考えてトレーニングを検討していくことは、非常に重要だと考える。ジャンプにしても、単に下肢の筋トレをするだけでなく、高くまっすぐに跳ぶこと、陸上で跳んで回ってみること、そして氷上でトライしてみることと、様々な練習法を組み合わせると、効果が上がるのではないだろうか?

2007年9月 2日 (日)

8月の振り返り

「軸」について、もう少しエントリーを重ねたいのだが、月が変わったので前月のまとめを簡単にさせてほしい。

仕事では、学生達に目標設定の大切さを伝えている。彼女・彼らもかなり苦労して日々の行動計画を立ててくるが、その日に実現可能な具体的行動や評価可能な数値を盛り込んで目標を表現できる学生は、あまり多くない。でも、目標を立てて実施・評価する、そして更に新しい目標に進んでいくという、いわゆる”Plan→Do→See→”の流れは、実務ではとても重要だと考えている。なので、学生のうちにそういったことを勉強してほしいのだが...どう教えれば良いのか...正直、難しい。

自分に対する勉強のひとつとして、フィギュアの練習で目標管理を試してみることにした。でも、フィギュアは仕事ではないので、かなりゆる~い、試みになると思う。楽しくなければ生きていけないので...。

で、8月の目標は次の2つだった。

1.バッククロスからのスタンドスピンを7回転(5回中3回)

2.シングルサルコウジャンプ、流れのあるランディング(7回中4回)

評価日を決めてはいなかったが、ちょうど昨日練習に行ったので、その時に具合をみてみた。

1.のスピンだが、スタンドスピンは上手になったと思う。スピンはこれしかできないのだが。左フォアアウトのハーフサークル→左フォアアウトのスリーで入る(スタンドスピンは大抵アウトスリーから入る)やり方でも、6~7回転はコンスタントにできた。最後の7回転目は、軸がブレても根性で脚をつかずに回りきるレベルなので、バッジテストなどではカウントされないと思う。でも、私は「回った」ことにしてしまう。それが私のゆるさなのだが...。

で、問題のバッククロス(時計回り)から左FOのハーフサークルを経てスリーで入る方法でだが、昨日はとてもスムーズに軸がとれた。そのおかげで、9~10回転を5回中4回まわれた。一回の失敗は、近くに滑っていた子供に気をとられて軸を失ったためなので、確度は目標設定する前よりも上がっていると思う。

ということで、この目標はクリアとする。本来としては、年内取得を目指している1級のバッジテストの課題は片足5回転以上なので、スタンドスピンだけならもう十分のはずだ。でも、先輩方のお話をうかがうと、ひとつの目処は10回転にあるらしい。もちろん、上手な人はもっと回れるようだが。なので、9月の目標はスタンドスピン10回転に置いてみる。1ヶ月で達成可能かは微妙なところだが...。

あと、「軸」の検討が終わったら、スピンについてもブログで記せたらと思う。特に私の場合、左バックインエッジの使い方に大きな問題を感じている。筋力で補正しているが、スピンの苦手意識は、LBIに乗った時に左軸が安定しないことにあると考えている。そのあたりのことも触れられたらと願っている。

スピンは、他にシットとクロスとバックスクラッチを教室で習ったが、今は遊びのレベルで練習するのみ。シットは2級の課題なので、近いうちに本格的な練習を始めるが、あまり沢山の課題を設定しても体がついていかないので、のんびり考えている。

2.のサルコウジャンプだが、昨日は調子が良かった。踏み切りの正確性と高さを出す努力はまだまだ必要だが、とりあえず、「サルコウの踏み切りで1回転して右バックアウトで降りてランディングのチェックを3秒間保つ」ということはコンスタントにできている。時々転倒もするが、これは確度を犠牲にしてでも高さと空中姿勢を追及しているためなので、良い意味での転倒だと考えている。練習でも安定性は大事だが、小さくまとまるよりかは、次につながる思いっきりの良さも欲しいかなと、ちょっと欲張っている。

高さについては、数値での目標設定ができないので、結局ジャンプの自己評価は確度(何回中何回ランディングできたか)とジャンプの回転数(私の場合はシングルしかできないが...)になってしまう。でも、数値評価できない、質の良し悪しの感覚は、多分跳ぶ人たちは持っていると思う。私も、もう少し踏み切りで脚の力が氷面に伝わればと思うのだが、なかなか上手くいかない。ここでも左バックインのエッジワークの問題が顔を出す。

ジャンプは、1級の課題であるスリー、トゥループ、サルコウは一応の目処がついている。トゥループは油断していると跳ぶ前から回転を始めてしまう癖(右バックアウトを滑らせながらも上体は正面に残さないと出てくる)があるので、決して簡単なジャンプではないのだが、転倒は滅多にない。スリーだって奥の深いジャンプで、思いっきり踏み切って空中でしっかり半回転しようとすればランディングで失敗することもあり得る。いつも思うのだが、私にとっては簡単なジャンプはない。あるのは、「跳べるジャンプ」と「跳べないジャンプ」それと「習っていないジャンプ」の3種類だけだと思う。

ループは現在練習中だが、全然形になっていない。踏み切り自体に課題が多すぎるので、目標設定を表現できる段階ではない。強いて言えば、踏み切りの形でしっかり右バックアウトに乗って滑ること...か。ループが跳べる人を本当に尊敬してしまう。

とりあえず、ジャンプはもう少し前進するまでは目標から外しておき、別のことに重点を置くことにする。もちろん、練習は続けるが。

それで、9月の目標だが、次の2つとする。

1.スタンドスピンをバッククロスから入って10回転(5回中3回)

   ※回転数はパッセの形から数え始める。軸がブレてもフリーレッグがつかなければ回転と認める

2.バックインのサークルで出発点へ戻って来れる。(5回中3回)

   ※サークルはいびつで可。連続して8の字を描けなくて良い。

1.は自分としてはかなり高めに設定した目標なので、1ヶ月でクリアできず10月に繰り越しても良いと考えている。

2.は非常に低いレベルの目標設定だが、バックインのサークルエイトは2級の課題。コンパルソリに関しては、既に先生から1級の課題はOKをもらっているのでバックインを教わっている。かなり飲み込みが悪いのだが、いつものことなので、のんびりやっていこうと思う。年内に1級取得が目標なので、バックインサークルも年内に形ができれば上等だと考えている。

2007年9月 1日 (土)

軸と表現について

エントリーを分けて、軸についてもう少し書かせて下さい。

先のエントリーを読み返していて、スタミナ切れで軸を失うと転倒リスクが増えるというのは良いのだが、十分な表現ができなくなる、というのはわかりにくいかなと感じた。なので、それについて少し考えてみたい。

荒川静香さんを始めとして、世界で活躍するフィギュアスケーターには、とても美しいY字バランスをとれる方々がいらっしゃる。あのポーズは、バレエでは”ピエ・ダン・ラ・マン(手の中に足という意味らしいーだとすると支持なしのポジションは違うのだろうー)”というが、柔軟性とバランスが調和したポジションの一つだろう。単に体が柔らかいだけでは、あのポーズはとれない。特に氷上では、ピンと張った緊張感からくるバランスが保てなくてはあのポジションで滑ることは無理だと想像する。

で、どこを緊張させるか?だが、体の一部分に力を込めるのではなく、例えば頭の頂点から軸足までとか、あるいは下腹部からフリーレッグの足先までとか、根元から頂点に至る複数の線を同時に緊張させる必要がある。”Y”の字が、接地する一本の軸と斜めに宙へと延びる線で構成されるように、Y字ポジションも軸となる足→体幹→頭のラインと、体幹からフリーレッグの足先に伸びるラインの両方が同時に緊張していないとバランスはとれない。この時、体の軸はどこにあるかというのは非常に難しい問題で、陸上でこのポジションをとってみると(氷上では私はできない...レンシュウシマス)足→頭のラインよりやや外側に軸があるように感じる。仮に、フォアやバックのインエッジのスパイラルでこのポジションがとれる選手がいたとしたら、それはとんでもないことかもしれない。実際いるのだが...。

トリノでの荒川静香選手は、SPの中盤でY字ポジションのスパイラルをフォアインからアウトへとチェンジエッジさせ、フォアアウトで”支持なし”を保った。荒川選手ならではの柔軟性と十分なスピードがあったのでできる演技なのだろうけど、エッジを代え、更に支持無しで保つ時にどんな風に軸が移ったのかを考えるのも勉強になる。Y字だけでなく、スパイラルのノーマルポジションでも、フリーレッグを軸足の内踝につけた単なる片足滑走でも、軸がしっかりとれなくてはそのポジションを保つことはできない。

同様に、軸の意識がなくては腕を大きく広げたり、上半身を屈めたり、フリーレッグを思いっきり振り上げることもできない。忘れてはいけないことは、氷上では踏ん張りがきかないということだ。陸上なら簡単にキックをしたり背伸びをしたりする。それは、足の裏で地面に接して体重を支えることができるからだ。でも、氷上では体重からくるエネルギーを氷へと逃がせば簡単にバランスを崩す。氷上でもストップしてからの動作ならトゥピックを氷に突いたり、エッジで氷を削れば踏みこたえることはできる。でも、滑走中にそういうことはできない。例えば、スィングロールのように滑走しながらフリーレッグを前後に動かすためには、体幹の軸を起点にして、そこにエネルギーを貯めなくてはならない。スィングして生じたブレや余分なエネルギーは足へと流すのではなく、まずは体の軸で受け止めることが大事になると思う。

白状すれば、ここの部分は確信がもてずにいる。多分、スィングで生じたエネルギーも、結局は滑走のエネルギーに上手に変えていくのだと思う。自分で滑っていても、フリーレッグを前後にスィングした方が、ロール(半円を描きながらの滑走かな?)がしやすいし...。でも、単純に脚のスィングに振られるのではなく、体幹でしっかりコントロールしなくては上手に滑れないとも思う。なので、軸が保てなくてはきれいなスィングロールはできないと考えるのだ。

あと、滑走中に体を伸ばしたり屈めたりするのは、結構難しい。当たり前だが、上半身を動かせばエッジにかかる重心の位置は動いてしまう。滑走中はフォアは踵側、バックは爪先側に重心を乗せるのが基本なので、そこから重心が動けば滑れなくなってしまうのだ。それでも、優雅に上体を躍らせるというのなら、やはり軸を中心として重心のブレを吸収せねばならないのだろう。この時の軸は、頭から足先までの線としての軸線だけでなく、上半身と下半身を分ける面にあるであろう、あるポイント、上半身の忙しさを下半身にはあまり伝えないようにするために緊張させないといけない部分(よくわからないのだが...)が大事になるように思う。おそらく、「丹田」と言われるところに近いと思うのだが、不勉強なので明確には言えない。腰の中央あたりに力を込める点があるように感じるのだが...勉強し直したらまた記します。

なんだか、グダグダな表現になってしまったが、十分に上半身を動かしたり、手足を大きく使うためには、特にフィギュアスケートでは体の軸を意識することが大切になる。繰り返しになるが、十分な踏ん張りがきかない場所で演技せねばならないので、エネルギーを貯めて、上手に逃がすためのポイントを体に作ってあげないと簡単にバランスを崩すのだ。そのポイントが、「軸」になると私は感じている。バランスを崩せば満足な表現はできない。なので、軸を保つことが、十分な表現の前提になるという考えである。

最後に...自分の体験を感覚的に表現したところが多々ありますが、あくまでも大人初心者の素人ながらの考えであることをご容赦下さい。上記の駄文を読んで、少しでも参考にしていただけたら幸いですが、むしろ迷いが深まると感じる方々は、素人のたわごとと流して下さった方が益になると思います。

軸について

軸については、とても奥深い事柄なので一回のエントリーでどこまで考えることができるのかはわからない。考えながら、随時進めていけたらと思う。ブログも練習も...。

「軸ができてる」とか「軸が細い」など、フィギュアの練習では、「軸」という用語をよく耳にする。特に大人の場合は、軸ができない、あるいは軸が太いなど困難な壁として悩む時に口にするようにも思える。私にとっても、体の「軸」を意識することはイコール、フィギュアの難しさを実感することでもある。

ただ、若干だがバレエを習った経験があるので、体に軸を作る訓練は少しだけアドバンテージがある。だからといってスピンが綺麗に回れるわけではない(スピンは嫌いです...)のだが、軸に対する基礎的な意識は、スケートから入った大人の方々とは異なるものがあるんじゃないかと...思っている。それが過剰な自意識というか、自惚れになったらみっともないが。

軸への意識があってもスピンができないのは、ひとえに自分が下手で鈍いからなのだが、例えて言えば、いくら計算ドリルが得意でも数学の応用問題ができるとは限らないのに似ているとも考えている。

話題がそれるのだが、私は陸上トレーニングは結構一生懸命やっていて、走るのも好きだ。いずれは、それがスケートの技術向上にも役立つと信じてはいる。でも、毎日走っているからといって、ジャンプやスピンがたちどころに上手になるわけではない。下肢筋力や持久力の強化にはなっていると思うが、ジャンプならジャンプで必要な筋肉を上手に使えるようになるためには、やっぱりそのための専門の練習をしなくてはならない。応用問題を解けるためには、計算ドリルばかりではダメで、幾つもの問題にあたる必要があるのと一緒だと思う。むしろ、暗算は苦手でも電卓片手に難しい問題をスラスラ解ける人は沢山いると思う。

では、なぜ基礎訓練が必要なのだろうか?

答えは沢山あるのだが、「軸」に関して言えば、軸を保ち続けるのに不可欠だからだ。もう少し陸トレの話を続けさせてほしいのだが、走るにしても、マラソンを目指す人のランニングとフィギュアの練習での走りでは、少しニュアンスが違うと思う。マラソンを目指す人は、所定の長距離をなるべく速く走り抜けるためのフォームを追求していると想像する(私は全然経験がないのだが)。でも、少なくとも私は、上半身をしっかり起こして、なるべく姿勢を良くして走る。ちょうど滑走する時の上半身のように、前傾や横ブレを極力抑えて安定した姿勢で走るようにしている。坂道などは結構苦しい。でも、下半身を激しく使っている時にも上半身は優雅さを失わない、それがフィギュアスケートなのだと思う。優雅だから楽勝というのではない。全然違う。むしろ苦しいし、辛い。でも、練習でその段階を沢山経験していれば、プログラムを滑る時に役立つ。どう役立つかと言えば...

「苦しくなっても、軸を失わないですむ」

と思うのだ。演技の後半で大きく崩れる場合、もちろんスタミナ切れとか下半身に疲労がたまって跳べなくなったとか、そういう問題が生じていると思う。でも、そういう状態になった時に何を失うかと言えば、体の軸だとも思う。ちょうど、ランナーが疲労を覚えると顎が上がってきたり、上半身が左右に揺れ始める、そういうのに似た状態にフィギュアスケーターがなることもあると思う。スピードランナーにとっても重大だが、フィギュアスケーターにとっても,十分な表現ができなくなるとか、転倒の危険が大きくなるという意味で深刻だろう。結局のところ、フィギュアスケートの演技においては、「軸」の問題はジャンプ、スピン、ターンといった個々のエレメンツだけでなく、スケーティングや踊りといった演技全体に関わる普遍的な事柄なのだと、私は考えている。そういう話はあまりされないのだが。

そして、演技全体を通しても、あるいは長時間の練習をしても、スタミナが切れない、あるいは軸を失わないだけの筋力を維持するために、私は陸トレをしているのだと思う。それは、計算ドリルが単に計算力を身につけるためだけでなく、長時間の学習を可能にするだけの集中力を養うのに役立つのと似ているかもしれない。

まとめると、「軸」はフィギュアスケーティングの始めから終わりまで関わる普遍的な事柄であり、それを維持するには基礎的な体力が必要、ということだと思う。

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