2009年11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック

2009年11月 8日 (日)

試合前夜

本当は、11月8日はダンスのフリーとエキシビを観に、NHK杯に行くつもりだった。チケットも早々と確保したのに...。ところが、地元のフィギュアの大会がこの日になってしまったので、速攻で諦めた。そりゃぁ、自分が出る大会なら....諦めるしかないでしょう...リッポン、ごめんね(順位的にエキシビは出られそうもないが...結果論だが...)。

なので、何の心残りもなく、夜が明けたら試合当日となる。早朝から当日練習の貸切があるので、もう寝ないといけないのだが、なんとなく、遠足前の夜の気分である。体はクタクタだが。

9月くらいに、試合出場が決まったのだが、かなり良い準備ができたと思う。昨年の夏からは今年のマスターズ用に2分30秒のプログラムの練習をしてきたので、連盟の試合用(1級クラス)の1分間の曲は、ほぼ1年ぶりに練習する形になった。それでも、2006年2月から4年近くの付き合いのある曲とプログラムなので、なんとか形になっていると思う。もちろん、まだまだ練習が足りない部分は残っているが...。例えば、冒頭のスリージャンプをシングルアクセルにグレードアップしたのは良いが、1Aは両足でしか降りられないし、無理に右足のみで降りるとバランスを崩す恐れがある。なので、次のシークエンスにつなげることを考えると、まだまだ不安が大きい。あと、個々のターンの精度はもっと上げないといけないと思う。

こういう課題は、試合に向けての不安材料というよりも、今後の宿題と捉えている。今、自分ができるだけのことはやったと思う。それでも残った課題は、今後頑張れば良いのではないかと考えるのだ。とにかく、冒頭の1A、ツーフットでも良いから次のステップシークエンスにつなげられること、それが試合の成否の大きな目安だと思う。

得点については、技術・芸術の平均で2.5点の獲得を目指している。でも、正直なところ、予定されているプログラムの難易度では2.0点を越えるかどうかだと思う。得点の上積みのために1Tを1Lzに変えたり、コンビネーションジャンプを増やしたりすることを先生と相談しようかと考えたこともあった。でも、曲の雰囲気や長さ(何しろ1分しかない)を考えると、ゴテゴテとエレメンツを増やすことはできないし、トゥループをルッツに変えるだけでも振付の雰囲気は変わってしまうような気がする。もしも、どうしても勝たねばならない試合なら、がめつくでも得点を伸ばすことは考えるが、今回の試合は、このプログラムを演じる最後の機会になると思うので、集大成として、今の自分ができる最良の構成にしたいと考えている。なので、プログラム構成は、インストラクターの先生と昨年のマスターズの前に修正したままにした。

あとは、どれだけこのプログラムを演じられるか、それで得点に上乗せができるかもしれない。滑走スピードが増していることは、クラブ指導の先生(アシスタントの先生)にも一昨日に言われたが、それでリンクをなるべく大きく使えれば、大人らしい見栄えのする演技になるかもしれない。エッジワークも以前よりは改善しているだろうし、ジャンプの踏み切りもインストラクターの先生にかなり指導していただいたので、その成果がジャッジの印象として得点に反映されれば嬉しい(逆に、マスターズの時のようにマイナス評価になれば落ち込むだろうが...)。

それで頑張って、2.3点くらいかな...と思う。でも、奇跡が起こって、アクセルがちゃんと降りれれば...と思うが、奇跡を期待するよりも最悪の事態にならないように努力すべきであろう。結局、2.2~2.5の幅に得点が収まってくれれば嬉しい。2.5点を超えれば、それは神様のプレゼントと考えよう(まさか、政治的意図がジャッジングに影響したなどと言う人もいないだろうし...)。

などと、とらぬ狸の皮算用をしても仕方ないのだが、できる限りのことはしたので、あとは残りの練習時間で調整をして、しっかり疲労抜きもして、本番であわてないように準備をしてリンクに臨むだけである。

不安要素と言えば、先週の土曜日に右足の膝の裏側の筋肉(ハムストリング)をひどく痛めてしまい、2~3日は膝を伸ばすと痛みが走った。幸い、滑走やジャンプには影響がなかったので、普段通りの練習をして、膝のストレッチを入念に行った。傷ついた筋肉がひきつれを起こしているのか、ストレッチでは酷く痛みを感じた。私の場合は、自分で加減しながらなのでなんとか我慢できたが、膝のリハビリで療法士さんにストレッチをしてもらう場合には、それはそれは痛いだろうなと、気持ちがよくわかった。それでも、傷ついた部分も伸ばさないと可動域が戻らないと思うのだが、とにかく...痛かった。

今週の木曜日に、理学療法士さんにみてもらったが、その時には痛みはだいぶ改善しており、現状なら大丈夫と言ってもらえた。まだ、可動域は戻っていないが、プログラムには影響がないので試合では普段通り動けると思う。

あと、体重は減量が進行中である。9月終わりの中部選手権で子供達の演技を見て、やはりフィギュアスケートには軽やかさが必要だと痛感した。もちろん、子供達のようには演技できないが、それでも重さを観ている方に感じさせないためには、体重は減らさないといけないだろうなと決心した。で、10月の間に、87kgから82kgへ、5キロの減量をした。今現在は、足踏み段階で、82キロ前半に止まったままである。

運動習慣は継続したまま、かなり思い切ったダイエットをしたので、ちょっと辛かった。一時期、あばら骨が見え始めた時にはマズいと思い、節制を少し緩和した。基本的には、3度の食事はきちんと摂り、間食を控え、糖分を含んだ飲料も飲まないという単純なものである。ただ、体重の数値を気にするにつれて食が細くなり、美味しいものを食べる喜びよりも食べずにいて数値が減る方に強い喜びを感じるようになったのには、危機感を覚えた。確信しているが、健康を志すのなら、食べないダイエットはすべきではない。

運動をせずに食を減らして減量しようとするのは、健康を害すると思う。むjしろ、多少肉つきが良くても、元気に体を動かす方が私は健康的だと思うし、魅力的になれると思う。

なので、今は多少の間食はしているし、細くなった食を戻すように意識している。もちろん、それでリバウンドしないように注意もしているが。おかげで、下腹の脂肪の付きが落ち、全体に身体のラインは絞れたと思う。まだまだ、無駄な肉はついてはいるが、それはゆっくり落とせば良い。試合には、ほぼ5キロ減量の82㎏くらいで出られるので、満足している。

そんなこんなで、自分なりに考え、努力して試合に臨めるので、嬉しく感じている。本番ではどうなるかはわからない。マスターズなど試合経験もあるので大丈夫だとは思うが、もしかしたら緊張で大失敗するかもしれない。でも、それはそれで思い出になるだろう。

試合当日は、クラブの先生も、アシスタントの先生(今回のプログラムの大元を振付けて下さった)も、私の出場時間には間に合わないらしい。でも、先日の貸切でアシスタントの先生に現在の出来栄えを見ていただけた。4年間も同じ曲を使っていることに驚かれていたが、まだまだ、この曲で勉強させてもらえることはあると思う。実際には、この試合を最後にクラブを移籍するのでこの曲ともお別れになるのだが、アシスタントの先生にご挨拶と感謝の気持ちを伝えられたので、ホっとしている。あと、名古屋でお世話になっているインストラクターの先生は来られるのだが...今回は、敵側になる(笑)。もともと、違うクラブの先生に教わっているのだが、その先生のクラブ生の子と同じクラスで競うのだ。なので、その子にとっても、インストラクターの先生にとっても、私は敵役(やられ役とも言う)になる。今後、飛躍していくであろう子達のためにも、精一杯の演技をして、やられ甲斐のある役割を果たせたら...と密かに思っている。

万が一、私が勝ってしまったら...(ないとは思うが)...その時には、リヴェンジを待つことにしたい(笑)。

2009年11月 2日 (月)

第35回西日本フィギュアスケート選手権大会 レポート

実は、中部選手権の3日目のレポがまだなのですが...。でも、日を置くと伸び伸びになってしまう傾向がありますので、先ほど帰宅したばかりの勢いを借りて、一気にレポします。

前の前のエントリーで記した通り、本日(11月1日)倉敷に行き、西日本選手権を観戦しました。私と同じクラブではないのですが、地元の選手で、今年からシニアに上がって中部選手権を通過した方がいらしたので、その応援の意味合いもありました。

実は、その前日(10月31日)に、右の太股の裏側の筋肉を伸ばしてしまい、ひどく痛んでいます。幸い、内出血などは見えていないので、内転筋は切らずに済んだようですが、肉離れの状態かなと自己判断しています。それで、本当は西日本選手権も行かないつもりだったのですが、痛みがおさまってきたので、思い切って行くことにしました。

午前中に地元を出発し、名古屋でのぞみに乗り換えます。待ち合わせの間にキヨスクに行くと、中日スポーツに明子選手優勝の見出しがありました。記事の内容は、自宅で読んだ日経新聞のとあまり変わりないのですが、豊橋市の実家でお父様の談話を取材しているのが地元新聞らしさかなと思いました。あと、職場(邦和スポーツランド)でも仕事熱心で、ザンボニーの運転以外は何でもできるくらいに仕事を覚えたとの記述もありました。

確かに、邦和でも明子さんというと、”貸し靴のお姉さん”という印象が強いですし...。そんなに頻繁にカウンターに出ているわけではないと思いますが...。

そんな記事を読みながら、のぞみで岡山まで行き、こだまに乗り換えて、新倉敷駅に着きました。私は、スケートと仕事以外では遠方へ行くことがないので、実は、岡山よりも西に行ったのは初めてでした(日本海側なら、出雲市まで行ったこともありますが)。新倉敷駅からはタクシーで、会場のヘルスピア倉敷アイスアリーナまで向かいました。「○○っけぇ~」という語尾で話す運転手さんと会話して、遠くまで来たんだなぁと思いました。

行きと帰りともにタクシーを使いましたが、会話中で得た情報は以下の通りです。

1.会場のヘルスピア倉敷アイスアリーナは、岡山理科大学や倉敷芸術科学大学など を運営する加計学園が所有している。施設と山を隔てた向こう側に倉敷芸術科学大学がある。

2.会場にはタクシーが待機しているので、帰りの足も大丈夫。主催者側から、依頼があった。

3.高橋大輔選手は、小学生の頃からOHKという地元テレビ局で取り上げられていた。それなので、活躍するようになってからの地元の盛り上がりが凄い。やはり、メディアの力は大きい。

1.については、大会パンフレットの裏側の広告も、倉敷芸術科学大学の健康科学科でした。今後、大学で選手育成をするのかについては、タクシーの運転手さんはわからないと言っていました。個人的には、広報活動というよりも、社会貢献事業の一環なのかな?と思います。

2.については、本当に助かりました。バス路線もないと聞いておりましたし、徒歩では駅に帰り着けない距離ですので、タクシー確保を心配していました。こういう配慮があれば、安心して遠方に観戦しに行けます。ちなみに、タクシー料金は片道2300円くらいでした。

3.については、高橋選手の育ったリンクとの認知が、旧ウェルサンピア存続運動の盛り上がりにつながったと報道された記憶もあります。ですので、選手ー地域ーリンクの結びつきは大切であり、マスコミもそれに一役買うことがあるのだなと感じました。

タクシーの運転手さんと話をしながら、15分くらいで会場に着きました。リンクは、山の中腹のリゾート施設のような場所にありました。玄関を入るとチケットを売ってました。3日間通しで1000円ですが、私は最終日の最後の種目である選手権クラス女子のFSしか観られません。それを察したのか、チケット販売の担当の方が、「あと2時間くらいしかないけどいいですか?」と尋ねてくれました。で、その方が...”アイスガールズ2007”というシンクロの番組に出場した、岡山チームフォセットの方でした。番組をよく覚えていたのですが、今年のマスターズにも出場しており、その時に少しだけお話したことがありました。でも、先方は私のことなんぞは、全く覚えていなかったようです。

気を取り直して会場に入ると、最初に目に入ったのは、毛糸の帽子を被った、宮本賢ニ先生でした...。前を通していただき、比較的空いているスペースに場所をとりました。とにかく、びっくりしたのですが、観客席がないのです。一般客はリンクサイド(ジャッジと反対側のロングサイドと、ジャッジに向かって右側のショートサイドのみ)で立ち見の状態でした。若干のパイプ椅子は用意してありましたが、それに座ると目線が低いので全然観られない状態です。しかも、遅れて来た私は右側のショートサイドの端の方で観るしかなく、思いっきり傷だらけのホッケーフェンス(いちおうアクリル製ですが)のために遠くで滑る様子は心の目で見るしかなかったです。しかも、絶えず霧がたちこめているし...。

でも、この場所は二つのラッキーな点がありました。

ひとつは、ストレートラインの端に近いので、ステップシークエンス中の選手達のエッジワークがとても観やすかったです。しかも、リンクサイドの目線だったので、とても迫力のある観戦ができました。ジャンプに入るスピードや高さもしっかり、自分の目で確認できました。

もうひとつは、一番端だったので、選手出入り口に接していたことです。演技の前後の選手達と目を合わせたり声をかけることは控えていましたが、なぜか井上はるか選手が私のすぐ横(一般客エリアと選手エリアとを隔てる柵をはさんでですが)に陣取ったので、演技を終えた選手達がそこに集まり、皆で応援し合う様子を見ることができました。前のエントリーでも記しましたが、倉敷翠松高校の大熊奈生子選手と一緒に、村元小月選手の演技中の応援は、とても温かいものでした。ストレートラインでの入りでは、村元選手は、あきらかに井上選手たちをチラっと見ていたと思います。

愛知県勢の後藤亜由美選手の演技も一生懸命応援していましたし、演技後は後藤選手も一緒になって話していました。後藤選手の出身は一宮中日FSCで、関西とのつながりはわからないのですが...なんにしても、関西の選手達のつながりはホットな感じがしました。

演技そのものも、西高東低の傾向を感じます。中部選手権ではレフェリーの藤森先生がスケーティングスキルの高さを講評で言われていましたが、この大会では、印象に残った選手は関西勢の方々が多かったです。前のエントリーで書きそびれたのですが、おそらく淀粧也香選手だと思うのですが、”オペラ座の怪人”で体の捻りを上手にキープしてのバックアウトスパイラル(支持なしのポジションだったと思います)など、あまり他の選手のしない技術を見せてくれ、意欲とレヴェルの高さを感じました。

スタンドスピンのポジションでも、ブロークンレッグのような感じなのですが、フリーレッグの膝を横に伸ばしているものをしている選手もいました。関西勢か中部勢か、記録をしてなかったのでわかりませんが、バックスパイラルでのチェンジエッジをする選手もおり、他の選手のしない業に挑戦する意欲の現われなのかなとも思いました。もっとも、バックでのチェンジエッジは以前からする選手はおりますが...。でも、綺麗に行うのは難しい技術だと思います。

ジャンプは、あまり確度が高くなかったと思います。踏み切り時に氷を削る音を聞いていると、氷があまり均質ではなく、結構柔らかめなのかなと想像しました。それで踏み切り後が抜けてしまうのかもしれません。実際に滑ったことがないので、想像でしかありませんが...。

最終の列車の時間が迫っていたので、澤田選手の演技は見ずに帰りました。ちょっと残念です。6分間練習はチラっと見たのですが、身体が絞れてきており、ジャンプの思いっきりも良くなったのではないかなと感じました。演技を見てないので、大雑把な印象でしかないのですが....。

中部選手権はテレビ中継もありますし、愛・地球博記念公園アイススケート場という立派な(もちろん観覧席付き)会場で行いますが、観客と選手との距離は結構あります。でも、今回のように演技中の選手を応援する選手達の息遣いを感じ、リンクと同じ目線で観ることのできる大会も面白いなと感じました。もちろん、テレビ中継は入っていませんが、本田アナウンサー率いる、チュッキョフィギュアのスタッフ達は来ており、曽根さんや水津選手達にインタビューをしていました。愛知県勢の行くところ、どこまでも追いかけていそうな感じです。

2009年11月 1日 (日)

西日本選手権の帰りです

倉敷のリンクは遠かった。それと、得点表示の掲示板がなく、座席もない(パイプ椅子が少々)ので、結構きつい観戦でした。

神宮での東京選手権に似た感じです。

上位選手の印象を順位が上の選手から記します。でも、順位は手元記録によるものですので、不正確なのはご容赦下さい。
村元小月
キレのある抜群の演技。後半ループが抜けたと思うが、ジャンプをことごとく決める。リンクのショートサイドで井上選手と大熊選手が、演技中も「さっちゃんガンバ!」と声援を送っていた。

後藤亜由美

長久保コーチは来ておらず(中国ですね)。邦和の女性の先生が一人リンクサイドにいる。もう一人、選手入口近くにいらした。
ルッツがダブルになる
他にもジャンプミスがあったと思う。曲がエキゾチックなのだが、リズムがとり辛そう。演技後、井上選手達と合流して関西弁で話している。

井上はるか

しっとりとした雰囲気の演技。ジャンプの調子も良く、曲想に乗ってグイグイ進むサーキュラーが印象的

中村愛音

ジャンプはほとんどがパンクか転倒。リズムが狂っており、力無く終わる。西日本落ちもあるのでは?と感じた演技だった。

日置 檀

前半はスピードに乗って綺麗にまとめる。腕を長く使えるのが印象的。後半にジャンプミスが出る。

水津 瑠美

体が絞れてジャンプもまとまってきたような印象。3Tが綺麗。太腿は、やはり外側に張っているように見える。

大熊奈生子

表現の豊かさは、醍醐の系譜なのだろうか。曲の感じを掴んだ、上品な演技。井上、後藤選手と一緒にいたが、よくしゃべる二人の先輩たちをだまって見ていた。

正式な結果は、連盟のリザルトページを見て下さい。

アルケミスト

今から、西日本選手権の応援に倉敷へ向かうので、短く...です。すみません。

9月の終わり、中部選手権2日目を観た帰り道、パーキングエリアで休憩しながら携帯で打ち込んだのが、「鈴木明子選手のSP」というエントリーだった。たぶん...誰も感じてくれなかったと思うが、ランビエールファンの知人から教えてもらった”アルケミスト”という小説の文体を意識して作ったのだが...。

その小説は、神学校を中退して羊飼いになった少年が、メルキゼデク(確か、旧約聖書に出てくるセム族かどこかの司祭だったと思う。族長アブラハムがソドムを滅ぼした時に祝福にかけつけた人だったような...)と出会って、羊を捨ててエジプトのピラミッドを目指して旅する話だった。その少年が羊と共に過ごしていた地方が、”アンダルシア”だったのだ。小説に描かれる、照りつける太陽とむせかえるような草花の香り、そして涼しげな木陰、その雰囲気と明子さんのSPの世界がそっくりだったように思えた。

小説の中盤で、聖地巡礼を夢見ながら達し得ないでいるクリスタルガラスの店主と少年は出会うが、私自身は、モリコロで一足先に明子選手の演技を目撃できたことを、この時には誇りに感じていた。別に、たまたま...だったのだが...。(飛行機や新幹線で現地まで来た方々の苦労を思えば、私なんて東名一本だし) そして、一ヵ月後に、それこそ、日本中のフィギュアファンが「あっ」ということを信じていた。

実際には、”アンダルシア”よりも”ウェストサイド・ストーリー”の方がインパクトが強いのかもしれないが、私は鈴木明子選手の今シーズンのSPは大好きだ。もちろん、中国杯優勝に導いたFSが凄いのはわかるが。

明子選手の環境は激変するかもしれない。かつて、フランス杯を制した15歳の真央選手が一夜にして国民的アイドルになったように。中部選手権の後、「次は中国杯ですね」と声をかけたら、笑って応えて下さったが、もう、そういうやり取りもできなくなるのかもしれない。

でも、明子さんは、明子さんでいてほしい。凛とした冷気から夢と幸せを紡ぎだすアルケミストとして、氷上で演じ続けてほしいと思う。真央選手とも、安藤選手とも違う、24歳の明子選手だからこそ弾けられる笑顔で、世界中の人々を「あっ」と言わせてくれると、信じている。

本当に、おめでとうございました。次も、頑張って下さい!!

2009年10月24日 (土)

全力で”アウト!”を聞きに行く

人生の中では、絶望的な局面を迎えることもよくある。

それでも開き直って前に進めば、周囲に助けられながらなんとかなることもあるが、予想以上に状況が悪化して、にっちもさっちもいかずに負けを喫することもある。

失職、中退、失恋...と、挫折ばかりの人生だったし、「負け!」の声を聞きながら送ってきた日々でもあった。それでも、”捨てる神あれば拾う神あり”というか、前を進んでいれば助けて下さる方々もいらしたので、今を得ているのだと感謝している。

フィギュアスケートにしても、いつまで、どこまでできるのかは全然わからない。ネットで大人気(?)の湘南乃風の歌にあるように、”その手ヨボヨボになっても”フィギュアを続けられれば最高だと思う。でも、自分の性格から考えると、どうなのかな?とも思える。実際、何度も「もう辞めます」と言って周囲の方々に心配をかけてきた。今年のマスターズも、引退試合のつもりで臨んでいた。仕事との両立が上手くいかず、ボロボロの気持ちになり、リンクに通えない時期もあった。

でも、先生が待っていて下さったので、なんとか辞めずに続けることができた。

今は、その気持ちに感謝しつつ、頑張っている。どこまで頑張れるかはわからないが、とにかく頑張るつもりである。仕事との関係でボロボロになっても、今日を得ているのはフィギュアのおかげとも考え直し、安易に「辞める」ことは口にしないことに決めた。逃げてもなんにもならないと思うのだ。

いい歳をした大人なので、目標も何もない。頑張っても、目指すゴールはないにひとしい。その意味では、絶望的なレースのようにさえ思う。ただ、ひとつだけ、無謀な思いだけは持っている...。  全日本選手権に先生を連れていきたい...。

それが、いかに馬鹿げていて、口にするのも憚るものかは、言われなくてもわかっている。自身の年齢や社会的状況、そして今後の可能性を考えても、万に一つの可能性もないだろう。その大会がいかに大きく、出場権を得るためにどんな条件をクリアしないといけないかは、わかっているつもりである。自分だって観戦者としては何度も会場に行っているのだから...。

それでも、選手として指導者にできる恩返しは、大きな大会に連れて行くことだけだと思う。そのことを、鈴木明子選手から教わった気がする。私だって、連盟に登録されている選手であり、低級とはいえバッジテストを課題として日々を過ごしている。今はローカルな大会を目指して濃密な時間を過ごしているし...。そして、いかに高い峰を見つめながら日々を過ごしているか、それが人生では大切であることも、過去の経験から教えられてきた。もちろん、無理かもしれない、というよりも、無謀であろう。でも、安西先生は言っている。

最後まで・・・希望を捨てちゃいかん。

あきらめたらそこで、試合終了だよ。

どちらにしても結果は出るだろう。「無謀な挑戦は無理でした」と口にする日が来るかもしれない。ホイッスルの鳴らない試合はないのだから...。でも、だとしたら、自分で試合を終わらせる必用はないのだろう。たとえ、負け確定の試合でも。負けのコールを聞くために試合をしているとしても、全力を尽くした方が良いと思う。もしかしたら...可能性があるかもしれない、大逆転が隠れているかもしれない。結局そういうのがなかったとしても、自分から潰すことはないと思うのだ。

気分としては、大投手を目の前にしてバッターボックスに立つ感じである。おそらくは、空振りの三振、死球を受けたら死んでしまうかもしれない。上手く当てたとしても球威に負けてボテボテのゴロになることは目に見えている。でも、全力を尽くすしかない。”アウト!”を聞くだけになるかもしれないが、一塁に向かって走るしかない。イチローなら、渋い内野安打になるところが、自分では悪あがきにしかならないかもしれない、でも、全力で”アウト!”を聞きに行く、それしかできないから...。そんな風にジタバタしていれば、別の選手達が夢を果たしてくれるかもしれない。そうしたら、全力で応援しよう!!

同じ思いを、真央さんに抱いている。「たとえアウトでも、全力で走り抜けて!」と彼女に伝えたい。そう言うと、二つの反論が来るような気がする。

一つは、真央選手はいつでも全力を尽くしている。それなのに、全力でないような言い方はないのではないか?というものである。その思いに対しては、私からは反論できない。言われるとおりだと思う。ただ、頑張っている選手達にも「頑張れ!」としか言えない、負けまいと歯を食いしばっている方々にも、「負けないで下さい」としか言えない、応援する者とはそういう立場なのだ。だから、選手本人が一番思っているであろう、「最後まで全力を」という言葉を、今、記すことしか、私にはできない。

もう一つは、金メダルを目指しているトップ選手に”アウト”とは何事か、という反論である。これについては、見方は様々だと思う。私は、真央選手の置かれた状況は楽観できないと感じている。現在、ロシア杯のSPの結果までがわかっているが、本当に辛い。何かきっかけがあればとか、幾つかの問題が解決すればとか、そういう局所的な事柄で状況が打開できるものではないと感じている。2005-06シーズンのシニア転向以来トップグループを走り続けていた真央選手だが、ここに来てヨナ達に離され、後続の馬群に沈みかねない状況だと感じている。

でも、金メダルの望みが絶たれたわけではない。新聞の見出しに載る「信号」の色が何色になろうと、イギリスのブックメーカーの掛け率がどう変わろうと、それは傍観者の予想でしかない。分析によって確率は大きく変動するかもしれないが、結果は試合が終わるまでわからないのである。だから、目標をどこにもっていくかは別としても、試合(それが全日本選手権で終わるかもしれないが...)で自分の演技が終わるまでは、全力を尽くすことを願うし、私も一生懸命応援しようと思う。自分達で試合を終わらせることはないのだから。

目標は大切だと思う。私の話に戻すが、非常に恐れ多い無謀な気持ちをもっているとしても、それは見果てぬ夢であり、胸に抱く想いであり、目標ではない。現在の目標は、技術的な面では幾つかあるが、試合に関しては、次の大会(旧採点)で2.5点平均を上回ることである。そのために、一つひとつのエレメンツの精度をあげるように個々の練習をし、同時にプログラムを滑り込んでいる。

真央選手にしても、バンクーバーオリンピックで一番高い表彰台に上り、君が代を笑顔で聴いている姿を、私は見たい。これは、トリノよりも前から抱いていた夢であった。でも、現実から考えれば、今は国内代表権を獲れるか、それを真剣に考える段階だと思う。GPFどころではないのではないだろうか?(異論は多々あるとは存じます)

逆に、国内代表権を獲れれば、2月に向けて戦略を立て直すこともできるかもしれない。でも、とにかく真央選手には走り続けてほしい。本人が一番願っていることだとはわかっているが、そう言わずにはおれない。そして、どんな結果であれ、走り続けた先で、笑顔を見せてくれれば....たとえ”アウト”であっても、次の打席があるはずだろう。その前に、守備で勝利に貢献するかもしれないし。もちろん、バンクーバーも始まっていないのにソチに期待する愚を犯すつもりはない。それこそ、試合を自分で潰すことだろう。でも、たとえ負けたとしても、次があることを信じるのは、良いことではないだろうか?全力は尽す=死ぬ気で頑張るというのと、本当に死んでしまうのとは全然違う。自分を追い込むところまで真剣になったとしても、人から追い込まれて駄目になってはいけないのだと思う。退路を断って前進するとしても、行った先で終了では寂しすぎる。

その気持ちをもって、真央選手に言いたい。「バンクーバーでの活躍を、信じています。」と。

そして、この思いを胸に抱きながら、自分も頑張ろうと思う。たとえ、アウトになっても...。

2009年10月 2日 (金)

中部選手権のレポ、少しお待ち下さい

すみません。大学院のスクーリングの準備に追われております。

少しずつ、すこしずつ、鋭意作成中ですので、来週には3日間のレポが揃うと思います。

※2日目までレポ終わりました。あと、3日目を作成します('09.10.11.)

(このエントリーは、レポが揃ったら消します)

2009年9月27日 (日)

'09中部フィギュアスケート選手権大会 2日目

※申し訳ありません、書きかけのエントリーを間違えてアップしてしまったみたいです。もう出してしまったので、書きかけを随時更新していきます。すみません。

※大会から間が空いてしまったので不完全ですが、一応全部書き終わりました('09.10.11.)

平成21年9月26日(土)の大会2日目のレポートです。

この日は休日出勤命令が出ていたので、泣く泣くノービスAクラスの観戦を諦めた。クラブの選手達が出場したので応援したかったし、将来を嘱望されている選手達が揃っているカテゴリーなので楽しみにしていたのだが...。

クラブの選手は好成績を修め、全日本ノービスへの出場権を獲得したとうかがった。とても嬉しい。だからこそ、本番に応援できなかったのが残念だった。ならば、全日本ノービスは?と思うのだが、八戸なのでちょっと無理だろう。

女子ジュニアにも、クラブから今年ノービスからあがったばかりの選手が出場していたのだが、こちらも時間が間に合わず、結果だけ知ったのだが、かなり頑張ったようである。私は村上佳菜子選手の演技が終わった後に会場入りしたようであり、楽しみな選手の演技をことごとく観ることができなかった。

でも、女子ジュニアの後半の演技は観ることができた。

印象的だったのは、大庭雅選手(名東FSC)と近藤里奈選手(グランプリ東海クラブ)。大庭選手は初めて観たのだが、軸の美しいジャンプとスピン、それに腕の動きが優雅でとても綺麗な演技をしていた。近藤選手は、スピンの名手として有名なのだが、SPでも存分に持ち味を発揮していた。圧巻だったのは終盤で、同じポジションを維持しながらも曲の抑揚を表現していた部分。スピンそのものに表情がなければ、ああいう表現はできないと思う。それと、スケーティングが非常に美しく、しっかりとエッジに乗って線の太い(この場合は良い意味で)トレースを描いていた。決して重いスケーティングではないのだが、ジュニア特有の繊細さの中に、しっかりとした基本技術がうかがわれ、私達大人初心者にはこの上ないお手本のようなエッジワークであった。

(すみません、シニア男子のレポを忘れていました)

ジュニア女子が終わると、すぐにシニア男子の3選手が練習滑走を始めた。その前の整氷から3グループ目にあたるので、3グループ毎に行っている整氷のサイクルから考えれば、なしで当然なのだが、クラスが変わっても整氷がされないことに、釈然としない思いを抱いてしまった。

最初の滑走が小塚選手であった。ジミ・ヘンドリクスの”Bold as love”とパンフレットに書いてある。バンクーバーオリンピックを目指す小塚選手が、なぜジミ・ヘンドリックスの曲をSPに選んだのかがわからない。お世話になっている方にその疑問を話したところ、ジミ・ヘンドリクスはカナダと馴染みが深いらしいとのことだった。Wikipediaでカナダとの関係を調べてみたが、特に見当たらず、シアトル出身(私も行ったことがあるのだが、カナダ国境に近く、観光で行き来ができるらしい)ということや、ウッドストック(やはりカナダ国境近く)のフェスティバルに出演したことくらいしか思いあたるものはなかった。

演技はTHE ICEでも観ていたが、試合でも魅了される素晴らしい演技だと感じた。特に、リズムセクションをしっかり聴いており、(やや乱暴なたとえだが)腰の入った動きなので、メロディーラインの揺らぎに翻弄されずに演じきっているという印象が残っている。演奏の締めの一撃で、うつ伏せた顔をガッと上げるのは、あまりロックぽくないと思ったが、そんなことはPCSには関係ないだろう...。

男子3人の演技に続いて整氷が終わり、いよいよシニア女子のショートプログラム。

今回は、鈴木明子選手の演技はもちろんだが、全日本選手権でも活躍している大学生勢と、ジュニアから上がってきた高校生勢の争いが注目と感じていた。昨年もジュニアからあがったばかりの後藤亜由美選手が優勝したし。後藤選手も高校生シニアの一人である。大学生スケーターの目玉は、やはり水津瑠美選手だろう。2年ほど前に、神宮のシンクロチームの発表会を観に行ったが、その時に同じ神宮の選手ということでゲスト出演してナディアを披露していた。その水津選手が、まさか、中部のブロック大会に出場するようになるとは思わなかった。それこそ、「ようこそ! モリコロへ!!」という感じである。

にしても、ある意味では寂しい大会である。水津選手と共に中京大学の1年生で宮本明日香選手が出場しており、会場ですれ違った時、「お姉さんはお元気ですか?」と喉まで出掛かってしまった。面識なんて何もないので、もちろん自粛したが...宮本亜由美選手のいない中部ブロックなんて...と思ってしまう。曽根さんはお元気そうだった。中京大中京高校のスケート部の関係で、パリっとしたスーツを着て会場でいつもの通りの声援をされていた。それと、会場内で恩田美栄先生もお見かけした。このリンクが拠点のクラブを指導されているが、今日も帽子を被っての観戦だった。たぶん生徒さん達だと思うのだが、子供達が次々と先生の周りに集まってくるのが印象的だった。私が初めて中部選手権を観た、'05年の邦和での大会は、トリノ代表権をかけての恩田選手の戦いの幕開けであったことを懐かしく思い出す。

様々な意味で、”I miss you(この場合は複数形).”と言いたい今年の大会でもあった。

そんな、少しブルーな気分を粉々にしてくれたのは...もちろん、鈴木明子選手。SPのタイトルは”アンダルシア”とパンフレットにはあるが、曲は'07ー'08シーズンのSPであった、”ファイヤーダンス(リバーダンスより)”と同じだと思う。”アンダルシア(リバーダンスより)”は、”ファイヤーダンス”とは別の曲とご指摘を頂きました。ありがとうございます。)

ただ、振付は更に洗練されていた。印象的なのは、前半のキャメルの後のトゥステップ。フラメンコの雰囲気を醸しつつ、ジャッジ席向かって左側からツツッと脚を寄せながら数歩進んでいく。ただ、ストレートラインはその後に予定されており、少しだけトゥステップを見せるだけだが、それが更に観る人の心を惹きつけるのではないかと思う。

多く語らずとも、「是非観て下さい」と言いたくなる、素晴らしいプログラム。おそらく、彼女のマスターピースとして語られていくのではないだろうか。

技術的な感想を記せば、フリップの跳躍の高さが非常に増している。空中での軸も非常にタイトで、危うさを微塵も感じさせないジャンプだった。昨シーズンの全日本を始め、SPのジャンプ(ルッツかフリップ)で着氷が上手くいかずに出遅れ、それが最終順位に響くというケースがあったと記憶している。それへの対応として、SPのジャンプの精度を上げているのかなと思う。

そして、スケーティングの速さと滑らかさと力強さは半端ではない。採点システムの調子が今ひとつ良くないようで、各選手の得点発表までに時間が空くことが多かった。前に演技した選手の得点が出る間(SPの滑走は7番目でしたが、1グループ5人で演技していたので、第二グループは6番滑走の石原瑠衣選手からだったと思います)、バックエッジからのワルツスリーを流していたが、何気ない足ならしの滑走の早さと力強さにはびっくりしてしまった。

この、ほんの数分、本番演技の直前の時間だけで、観る人に強い印象を与えるくらいの存在感とスケーティングが鈴木選手に備わっていると感じた。もともとファンではあるが、こういう実感は今シーズンが初めてである。それだけ、地力をつけたのだと信じている。

他の選手達の印象を思い出すと、日置 檀選手の演技が良かったと思う。前年のTHE ICEやジュニアで出場した試合では、あまり良いジャンプを観た覚えがなかったのだが、今回はタイトな軸に力強さも備わったトリプルジャンプを跳んでいた。オレンジ(だったかな?)の衣装が脳裏に残っている。多分、それだけ印象的な演技であったのだろう。曲は”Scotto&Frans Passodoble”とある。フィギュアの試合で時々耳にする曲なのでググってみたところ、”Scott & Fran's Paso Doble ”が正しく、ダンシングヒーローという映画のクライマックスで使われている曲のようである。

後藤亜由美選手はパンフレットに”Vamos A Bailar”とある。昨年と同じジプシーキングスの曲。昨年は確か”Gipsy Kings”と書いてあったと思うが、今年は曲名になってるのがちょっと面白い。昨年の中部選手権の後で、編曲を担当された先生にお話を伺う機会があったのだが、ヴォーカル部分を抜いてプログラム用の編集をするのにすごく苦労したと、教えて下さった。ヴォーカルもすごく格好良い曲なので、エキシビションで取り組んでくれないかなと思う。

水津瑠美選手は、演技よりも大腿部の外側に筋肉がついているのが気になった。バレエなどダンスの経験のある人なら理解してもらえると思うのだが、その部分は太らせてはいけないことになっている。もっとも、バレエでは大腿四頭筋(腿の前側)にも筋肉がつくことを嫌い、専ら内転筋(太腿の内側)の強化を勧めるのだが...。

スピードスケーターなら、大腿の外側にまで豊かな筋肉がつくのだが、フィギュアスケーターでそこを発達させる理由や原因がわからない。私の気のせいなのだろうか...。

演技は、ポーズのとり方が美しく、良い意味で試合慣れしているように思った。コンビネーションで3T+3Tを降りたと思う。もうプロトコルはとっくに出ている(現在10月11日です)ので確認したところ、セカンドジャンプがダウングレードされていた。あと、アクセルも抜けたのは観てわかったが、プロトコルでは”A”でベースバリューも0なので、スリージャンプと認定された(シングルアクセルなら、前半0.8後半0.88のバリューはあるーもっとも、SPの必須要素ではないので得点には加わらないと思うがー'09.10.11.追記)ようである。

中村愛音選手は、昨年のヴェルディのレクイエムの鮮烈さを思うと、少し印象がボヤけていた感じがした。吹奏楽の経験のある身としては、”Armenian Rhapsody”というタイトルに反応してしまい、「アルメニアンダンスとの共通点は...?」と、そればかり気になってしまった。ちなみに、私は、パート1を高校生のコンクールで吹いたことがある。あと、地元の高校の全国大会でのパート2は歴史的名演と言われており、今でも鮮烈に記憶に残っている。

あと、中村選手で”?”と思ったのは、パンフレットにある、趣味覧の「ショッピング、柔軟剤」との記載である。柔軟剤が趣味というのがよくわからない。演技とは関係なさそうだが、中部選手権のパンフレットは読んでいて面白い。

浅田舞選手は棄権であった。シニア選手権が始まる少し前に、お世話になっている方からその情報をいただき、整氷の時に行きあった知人夫妻にお伝えした。ご主人が舞選手のファンだと覚えていたので...。そうしたら、「じゃぁ、入り口に居た人たち気の毒だね」と奥様がおっしゃった。詳しく尋ねると、雰囲気的に舞選手のファンというのがわかる男性の集団が会場の出入り口に集結していたとのこと。

それはともかくとして、真央選手との姉妹そろっての全日本選手権出場がかなわなくなるのが、とても寂しい。私が観始めたのは、2005年の代々木の全日本からだが、Wikipediaによると、姉妹揃っての出場は2002から連綿と続いていたようである。それが途切れるのはやはり残念である。棄権の理由はわからないのだが、再起を願っている。

Sany0001 Sany0002 おまけの画像1 愛・地球博記念公園 西駐車場からの観覧車

おまけの画像2 西駐車場からすぐの池の向こうにある、アイススケート場と屋内プール(中央より左側がスケート場) 

2009年9月26日 (土)

鈴木明子選手のSP

一月もすれば、グランプリシリーズでテレビ中継をされるのだから、多少早く観ることができたからと言って、エバることはないのだろう。

でも、今晩だけは、感謝して言いたい。「私たちは明子さんのSPを観ることができた」と。一足先に聖地を見てきたのに似た誇らしさを感じている。

そのプログラムは、

本当に素晴らしく
フラメンコのカスタネットが魂を刻み
細かいトゥステップと手の表情が暑い日差しに陰を作り
アンダルシアの耳に馴染んだメロディーと共に、明子さんは宙に舞う。

そんなプログラムだった。鈴木明子は代表権を勝ち取れるかという議論は空しい。「明子さん、バンクーバーに行くべきです。そして、そのSPを世界の人々に披露して下さい」と言わずにはおれないプログラムだった。

結論。

世界中の人々が、幸せになれるプログラム、だと感じた。

2009年9月25日 (金)

'09中部フィギュアスケート選手権 第1日目

初日はノービスBの男女の競技だった。仕事を終えて、19時30分くらいに会場(愛・地球博記念公園アイススケート場)に着く。18時で公園自体は閉演時間になるので、それ以降は西駐車場を使うことになる。

ここからだと、観覧車が目の前に迫っている。暗い中にそびえる姿は、少し迫力がある。反対を向いてリンクを目指すと、池の向こうにスケート場(温水プールと併設)が見えてくる。ただ、全ての窓にカーテンが閉じているので、遠くからでは競技を開催しているのかどうかはわからない。随分近づいて、やっと人(主に子供)の出入りが見えてくる。

普段は、池の端にあるエントランスから入ってチケットを買い、そのままリンクに入る。でも、今日はもちろんゲートをくぐることはできない。ゲートのところで売っているパンフレットを購入したら、エントランスの向こうにある急な階段(エスカレーターもあり)を登って、一度外に出てすぐにある、2階席入り口から入りなおさないといけない。

その入り口の壁に沿ってクランク状に行くと、会場が見えてくる。今日は、客席の7割くらいは埋まっていたのではないだろうか?もちろん、選手とご父兄など関係者がほとんど。私のように、応援でもなく(今日は一緒に練習させてもらっている選手の方々は出場していない)、ただ観戦に来る人は、そうそういないと思う...多分...。リンク中央には、モリゾーとキッコロの絵が入っている。試合やアイスショーではお馴染みなのだが、普段のリンクではあまり見かけない絵である。特別な時だけ入れているのだろうか?

ノービスBというカテゴリーは、小学校3~4年生が対象なので、私もわざわざ観に行くのはちょっと躊躇した。今年の中部選手権は、ノービスAが激戦になるように思うのだが、それは明日(9月26日土)の試合で、この時間は仕事が入っているので観られない。別に、その代わりに今日行ったというわけではなく、自分なりの理由があって観に行った。

スケートを続ける以上、つきものだと思うのだが、相変わらずジャンプの踏み切りやスピンの軸の癖が抜けずに苦労している。今は、シングルループの両足踏み切りを右バックアウトだけに直すのと、スピン全般の軸とシットのポジションの改善(というより、少しでもマシになるように)が深刻な課題である。スピンは、2ヶ月ほど前からやっと耳鳴りやめまいの症状が消えたので練習を再開しはじめたばかりである。それまで全然練習していなかったというツケもあるし、もともと下手くそだったというのもあるのだが、壊滅的な酷さだと、自分でもわかっている。なので、軸を意識して2回転、3回転ができるようにという段階からの練習をしている。今、バッジテストを受けなおしたら、多分1級はとれないだろう...(汗)。

ループジャンプを始め、全てのジャンプで空中での軸の取り方は課題になっている。先生からは、特にループの踏み切りの欠点を指摘されることが多い。でも、自分の頭では修正のイメージはできているのだが、それを氷上で実践することが全然できない。右バックアウトだけで踏み切ることへの恐怖心が、まだ抜けていないのだと思う。陸上なら、10キロ近いおもりを背負っていても、右片足でヒョイっと跳んで回れるのに...。恐怖心がある以上は、無理はできない。ここで無理やりに焦ると怪我をすると思う。

なので、成功のイメージを沢山持つことにした。

もちろん、陸上でも氷上でも自分の練習をするが、やはり上手な人達のお手本を沢山観て練習すれば、改善の早道のように思ったのだ。で、ノービスBの選手達の演技がお手本になるかもと思って、今日は観戦に来た。応援ではなく、勉強で来た。

この意図は正解だったと思う。すぐさまループが正確に跳べて、スピンの軸が保てるほど簡単ではないが、今の小学生選手達のレベルの高さに驚嘆してしまった。本当に見ごたえのある演技が多かった。ノービスは、Aは毎年観に行っているが、Bは初めてではないかと思う。小さい子達なので、コロコロ転んで演技自体も幼さばかりを感じるものではないかと思っていたのだ。そういう自分の先入観を恥じるくらいに見事な演技ばかりであった。

フィギュアスケートは、バランスと限界のスポーツであることをひしひしと感じた。スパイラルでふらつきそうになっても、しっかり6秒間ポジションを維持したり、足替えのシットスピンで失速しても軸を保ち続けてキャノンボールを2回は回ったり、ジャンプがツーフットになってステッピング・アウトしても、そんな素振りは見せずにちゃんとチェックするなど...とにかく、小さな選手でも最大限の努力をして演技することの大切さを心得ているのだと感じた。

机上で理想を語れば、どんなことでも言える。フラつくようなスピンはよくないとか、ツーフットでは減点されるとか、クリーンな演技を求める声、それ自体は貴重である。でも、現実にミス(ごく小さなものであるが)をした時に、それでも演技を続ける努力というのは、実は並大抵なものではない。転倒しそうになってもこらえるのも大変だが、それで崩れそうになったリズムを持ちこたえさせ、演技に破綻をきたさないというのは、もっと大変であり、大事なことではないかと思うのだ。練習の段階からそのような努力を続け、その積み重ねの上に、クリーンプログラムはあるのかもしれない。

ノービスBの選手達の演技中の努力、頑張り、そういう体験の積み重ねの果てに、世界選手権やオリンピックでのスタンディング・オベーションがあるのかも、と言いたくなるくらいの頑張りを、選手達にみせてもらった気がする。半端ない世界であった。たとえ小学生達の試合でも。

で、課題のスピンとループだが...”体重が軽いのは得だろうな”というのが、正直な感想である。自分の下手さを体重の重さで言い訳しても仕方ないのだが、軸をまとめるのなら、やはり体重は多すぎない方が良いのかもしれないと、小学生の選手達の演技を観ながら感じた。でも、この問題は、もう言っても仕方ないし、減量に関してはかなり努力している。そのおかげで、腹周りも結構スッキリしてきた。まだまだ下腹に脂肪は残っているが。なのに、体重そのものは...絶望的である。一生懸命運動して、間食もとらず、ジュースも控え、食事のカロリーにも気を遣っているのに、体重は2キロ増えて87キロになった...。ダイエットのためのエントリーではないので、このことは保留にしておくが、体重が多い分、フィギュアスケートでは色んな苦労をするだろうなと、小学生達の演技を観て、つくづく感じた。

もちろん、体重の問題から筋トレを否定する気持ちはない。ただ、徒に筋肉ばかりを増やすとパフォーマンスにはマイナスであることも否定はできない。フィギュアスケートのパフォーマンスにあった筋トレは大切であろう。筋肉が脂肪を消費するのだから、適度な筋トレはダイエット効果もあるはずである。

ただ、小学生達の演技の素晴らしさは、軽やかさにあるのかなとも感じた。実際には、かなり頑張っているのだが、それを前面に出さずに演技するスキルも持ち合わせているのかもしれない。エレメンツにこだわらず、音楽や振付の一部としてこなせるだけの技術を、既に持っている選手達であるとも感じた。きっと、何度も何度も練習し、もう当たり前のようにできるから、自信をもって演技できるのではないだろうか。あるいは、失敗しそうになってもカバーできるゆとりも持てるのではないだろうか?

軽やかさには、体格から来る外面的なものと、繰り返す練習によって自然と身についた内面的なものがあるように思える。私の身体も、まだ絞れるので、外面的な軽やかさに近づく努力は続けたいと思う。体重は減らないかもしれないが...。でも、同時に、繰り返し身体を動かすことで観についてくる自然な動き、そういう内面的な軽やかさは、大人でも習得できるかもしれない。そこから、軸の保持や正確で思いっきりの良い踏み切りが得られるかも...しれない。

結局、小学生の演技を手本としても、特効薬のような成果は得られなかった。一生懸命、観たのだが...。でも、身体を絞り、繰り返し練習すれば、いいことがあるかもしれないと、希望は与えてもらえたような気がする。

最初に記したように、明日(9月26日土)、大会二日目のノービスAの試合は観られない。でも、仕事を終えて、ジュニア選手権の途中からは観戦できると思う。シニアも楽しみなので、今日と同じように腹を据えて観て、勉強したいと思っている。

2009年9月18日 (金)

筋トレ異談

MSNのビューティースタイルの特集に、”美しいラジオ体操”というのがあった。

ラジオ体操といえば、今年のマスターズで曲と振付にとりいれた方の演技が印象に残っている。その方の動作も美しかった。そういう興味もあったので、特集をみてみた(リンクはこちらです)。

ざっと見てみたところ、バレエエクササイズとラジオ体操をミックスさせたもののようである。「基本となる4つの動き」という項目があるが、基本1の股関節のストレッチは、主にハムストリングのストレッチでありバレエそのものの動きではない。でも、基本2のつま先伸ばしは”タンジュ”、基本3のバランスは”デガジェ(ジュテとも言う)”、基本4の円の動きは”ポールドブラ”であり、いずれもバレエの基本的なエクササイズである。

足底を意識した膝の屈伸である”プリエ”がないのが不可解なのだが、基本的なバレエエクササイズを理解したうえで、ラジオ体操をやってみようという意図なのだろう。

もしかしたら、この動作をやっても、どうしてこれがバレエ的な動きというのかは、理解しずらいかもしれない。特に基本3のバランスは、軸足で片足バランスをとることに集中してしまい、つま先を空中へ投げ出すという本来の動作を忘れてしまうかもしれない。ただ、このページには、「バランス」のポイントとして、とても大切なことが書いてある。

足を上げると全身に力が入ってくるが、力を抜いてリラックスして行うよう、心掛けよう

片足を上げる(というか、放り出すのだが...)と、バランスを崩すまいと軸足の方に力を入れたくなるのが自然である。でも、説明では「力を抜いてリラックスして」と要求している。いわゆる、余分な力を抜くということだろう。

どうすれば、力を入れずにバランスが保てるのか?は、フィギュアスケートでも問われるポイントである。私自身はつくづく思うのだが、そのために筋トレが必要なのである。

誤解している人は多いようだが、筋トレは、力を入れるためでなく、力を抜くために行うトレーニングである。少なくとも、ダンスやフィギュアスケートではそうだと思う。逆に言えば、確信を持って言えるのだが、十分な筋力がなければ脱力はできない。

疑問を感じるのならば試してほしいのだが、片足を前方に上げてバランスをとる時に、背中を丸くし、膝をまげて、だらしない格好でやってみたらどうだろうか?おそらく、軸足のふくらはぎにズシンと重みを感じるだろう。これでは、リラックスしてバランスをとっているとは言えない。

反対に、頭をまっすぐに立て、背筋もピンと伸ばして片足バランスをとってほしい。同時に、上げた足のつま先と膝もピンと伸ばし、シャンとした気分で立って(片足だが)みたらどうだろうか?おそらく、重みがふくらはぎ一箇所ではなく、体の様々な部分に程よく分散して、比較的楽にバランスがとれるはずである。この時に、基本4の真ん中の写真のように、両腕を横に、大きな円を描くように拡げてみれば、更にバランスがとりやすくなると思う。腕を拡げる時はダランと肘を落とさず、肩と二の腕に適度な緊張感を保つ方が、全身はリラックスしやすい。

私見で申し訳ないが、リラックスした動作とは、力を抜くことではなく、力を分散させることであると考えている。局所的な筋肉を緊張させるのではなく、動作に必要な様々な筋肉を協働させることで、無理なく自然に動作することが、リラックスの本来のあり方であろう。この分散における分母は、動作に使う筋肉の量である。単純な計算で申し訳ないのだが、片足でバランスを保つのに必用なエネルギーが100とした場合、そのエネルギーを産み出す筋肉量が10の場合、それぞれの筋肉は10ずつ仕事をせねばならない。もしも、筋肉量が20あれば、それぞれの筋肉は5ずつの仕事で済む。個々の筋肉がしなければならない仕事が少ないほど、リラックスに近い状態であると私は考えている。

だから、バランスをとる場合に、背中や首筋はサボっており、ふくらはぎだけが仕事をしないといけないとしたら、それはリラックスとはほど遠い状態のはずであるし、非常にバランスがとりずらい状態でもあるはずである。全身に豊かな筋肉が備わっており、それぞれが上手に調和して動作する時こそ、余分な力を抜いてリラックスした動作ができるのではないかと私は考えている。だから、全身の様々な筋肉を養うトレーニングは欠かせないと考えている。

少し視点を替えて考えてみる。

筋トレ不要論のなかで、見落としているのでは?と感じるのは、骨と骨とをつなぎ合わせているのが筋肉である、ということである。筋肉の働きは様々あるのだが、動作のための力を発揮する以上に大切なことがあるのを忘れてはならない。それは、力の伝達である。

フィギュアスケートを習っている大人の方々と話すと、エレメンツの習得にはそれほど筋力は要らない、タイミングと力の入れ具合がわかれば、ほんの少しの力でもできると言われることがある。それ自体は、私も賛成である。むしろ、力任せに跳んだり、回ったりする方が非効率的であり、習得から遠ざかるかもしれない。

フィギュアスケートのトゥジャンプは、梃子の応用のようにも思うし、背筋はかなり必要なのだが、その力の発揮は一瞬である。タイミング良く踏み切れば、背筋もそれほど使わずにシングルならば降りられるかもしれない。でも、梃子の応用を思い描く時に忘れてはいけないことがある。

ティッシュペーパーをよじって作ったこよりで、ゴルフボールを動かすことができるか?

例えば、割り箸のように堅い素材ならば梃子をつくれるかもしれない。でも、割り箸の袋をこよりにして、それで何かを動かそうとした時、そのこよりは力を伝えてくれるか?という問題なのである。

動作をする時も同じ問題がある。たとえばジャンプをする時、跳躍を産み出すエネルギーも大切だが、その力を足の裏から頭の先までスムーズに伝えることができなければ、きれいに跳ぶことはできない。ましてや、フィギュアスケートのようにジャンプと同時に回転運動をするとしたら、生み出した力を正確に伝達する動きがなければ軸を保てずに、あさっての方向に飛んでいくだけであろう。

この力の伝達には、骨格が大きな役割を果たす。しかし、骨自体は無力である。骨と骨との間をつなぎ、ある骨から別の骨に力を伝えるのは筋肉である。筋肉が遠心力や慣性力(滑走中の動作では無視できない)に負けずに骨格をしっかりと保てなければ、せっかく生み出された力も正確に伝達されず、意図した動作は失敗するだろう。

正確なジャンプのためには、ただ高く跳び、速く回れば良いというものではないと思う。むしろ、いかに正しい姿勢を保てるか、踏み切り前の滑走→踏み切り時→滞空の間→着氷→ランディング後の流れ これらの時々でスムーズに姿勢を変化させる(=姿勢を崩そうとする力に負けない)ことこそ、正確なジャンプの秘訣なのではないかと思っている。

筋肉は、エネルギーを生み出すだけでなく、状況に応じてエネルギーを伝達していくためにも必用なのである。効率よく、余分な力を使わないためには、姿勢保持に十分な筋力がなければならない。ただ、このことについては、あまり言われていないように感じている。動作中の姿勢保持に、どのくらいの筋力が必要かについては、実際の感覚に委ねないといけないと思う。少なくとも、私は十分な筋トレが必用だと感じている。実際、ジャンプ・スピンだけでなく、体幹の筋肉を増やすことによってバックでのサークルはかなりやりやすくなった。

最後に、子供達をひきあいに出して筋トレ不要論を言う意見について考えてみる。

確かに、子供は筋トレをしない方が良いと思う。若干のトレーニングまで避けるべきかはわからないが、骨格が十分に発達しておらず、筋肉自体も繊細な成長期以前の子達には無理をさせるべきではないと考えている。おそらく、成長段階に応じた適切なトレーニングがあるのだろう。

では、別に筋トレをしていない子供達がなぜ、大人よりも格段に上達が早いのだろうか?というよりも、なぜ、自分達大人は上達が遅いのか...なのだが...。

理由は色々あるし、いわゆる臨界期の問題もあるのかもしれない。ただ、それを言い切ってしまうと、大人の上達を悲観せねばならない気もするが...。

私が意識しているのは、二つの理由である。

ひとつは、体重の軽さである。骨や筋肉の発達途上であるということは、当然体重が軽いことを意味する。私は勝手に、「相対筋力」という言葉を作っている。絶対的な筋力であれば、子供よりも大人が勝っているはずである。腕相撲をすればわかるかもしれない。でも、筋力を体重で割った値を仮に求めたとしたら(オートバイで言う、パワー・ウェイト・レシオのような)、大人は子供よりもかなり劣っているはずである。

基礎代謝早見表(リンクはこちら)によると、基礎代謝基準値(一日の基礎代謝を体重で割ったもの)は年齢が増すに従って低下している。基礎代謝の半分以上は筋肉が影響している(ソースはこちら)ので、筋肉量と体重とを比較した、相対的な筋力で言えば、やはり大人はかなり劣っているのではないかと想像するのだ。

しかも、運動エネルギーは速度と質量の二乗に比例するのだから、体重が2倍になったら、それを制御するために必要なエネルギーは4倍になるのだと思う...(違ってたらご指摘下さい、高校では物理は習ってません)。

要するに、子供に比べて大人は、体重ほどに筋肉は増えていないし、体重が増えれば増えるほど運動が大変になっていくのである。だから、子供達が、筋トレもせずにヒョイヒョイと上達するからと、大人も同じようにしていたら、どんどん置いていかれるだけだろう。

もうひとつは、選別に関することである。

子供達も、皆等しく上達しているわけではないと思う。上達が遅かったりして、スケートに興味を持てなくなる子達もなかにはいるし、それで辞めていってしまう子達もある。子供だから上達が早いのではなく、上達の早い子達が最終的に残っていくという選別の仕組みもあるのではないだろうか?もちろん、なかなか上達しなくてもスケートが好きで、みんなと仲良く練習している子もいる。どの子もダブルやトリプルが跳べるわけではない。

それに比べ、私達大人は諦めが悪い。上達しないからといってスケートを辞めることは、なかなかしないと思う。私など、なんかい辞めると言っては撤回しただろうか...。あまりにみっともないので、恥ずかしいのだが...。「下手は下手なりに頑張る」が自分のモットーだが、そうやってリンクにへばりついているので、上達する(子達が残る)子供達と、下手(なのにしぶとく続ける)大人という構図が鮮明になっていくのではないかと思うのである。それに、社会人が子供達と同じくらい練習できるわけがないのだから、上達に差があって当然だと思う。

結局のところ、筋トレをしなくてもどんどん上達していく子供達をモデルにして、自分達の練習法を考えるのは避けた方が無難なのだろう。体格も、性格も、自由になる時間も、全然違うのだから。ならば、子供達にはできず、自分達ならば可能で、オフリンクでもできる練習は?といったら、結局は筋トレも候補にあがるのではないだろうか?有酸素運動やストレッチも大事だが。

まとめると、次のような感じである。

  1. リラックスして動作するためには、全身に十分な筋肉が必用である。(力の分散)
  2. 生み出した力を効率良く使うには、姿勢を保持する筋力が必要である。(力の伝達)
  3. 子供に比べて大人は体重の割りに筋力は乏しい。(相対筋力の問題)
  4. 子供だから上達するというよりも、上達した子が残るのである。(選別の問題)
  5. 下手でも残るのなら、大人なりの努力も必要では。(日々のトレーニング)

私は、フィギュアスケートには筋トレは必用だと思うのだが、筋トレをしなければフィギュアができないかと問われれば、そうではないと答えると思う。最終的には、各自の納得の問題であり、それぞれに納得できる努力なり楽しみなりができれば良いと思う。

ただ、「筋トレによって力任せになるのが嫌」という話を以前聞いたことがあったので、そうではないのでは?と考えたのが、このエントリーである。特に、力の伝達としての筋肉の働きについては、少しでも参考にしていただけたらと願う次第である。

«セプテンバー

バナー

フォト
無料ブログはココログ